小さい時からずっとお世話になっている病院の小児科に９月20日より入院して、気管切開をして呼吸器をつけ、胃に穴を開けてそこから腸に直接栄養を入れる腸ろうを形成して、「クリスマスには家に帰ろうね。」を目標に頑張ってきました。２度の手術を乗切り、呼吸器をつけて呼吸が楽になると笑顔も出ていました。しかし、癌の勢いは強く、最高の医療スタッフの懸命の治療と、ともちゃんの頑張りにもかかわらず、帰らぬ人となりました。

　ともちゃんの遺骨はしばらくお家で冬ごもりをした後、例年ならお出かけシーズンの始まる頃、2017年３月25日に京都府N市の西山山麓にあるお墓に引越しました。ともちゃんのお墓からは、家族での最後の遠出となった天の橋立まで続く京都縦貫道が遠くに見え、眼下にはともちゃんが通ったH園の送迎車やM支援学校のスクールバスが通るバス道が眺められます。

　ともちゃんは27年という短い人生でしたが、その中には目をキラキラ輝かせて、満面の笑顔を見せてくれた素晴らしい時間がたくさん詰っていました。ともちゃんのスマホやタブレットの中には、書きかけたままアップしていなかった、ともちゃんの日常がいくつも残っています。特に晩年はてんかんの大発作がコントロール出来ていたこともあって、一つ楽しいイベントが過ぎると、また次のイベントを計画するという状態でした。ともちゃんと一緒に、ゆっくり振返ることが出来ずにいたことが心残りでしたが、この２年半の間、ともちゃんの思い出を振返りながら、ともちゃんの生きてきた軌跡、ともちゃんの日常を綴ってきました。

　ともちゃんの成長過程で、多くの方々が、ともちゃんの発達段階に応じて働きかけて下さって、ともちゃんの世界をどんどん広げて下さいました。発達がゆっくりのともちゃんは、保育所を経て、養護学校に通う中で、少しずつ表情が豊かになり、笑顔を見せてくれるようになりました。笑顔がどんどん多くなり、満面の笑顔は、ともちゃんのトレードマークになりました。学校の授業の中で、行事で、ともちゃんは「楽しいよ！」と表情で、笑い声で、表現してくれていました。健康面には十分配慮して頂いて、中学部では岡山に、高等部では広島に、新幹線で修学旅行にも行きました。

　社会人になってからは、Ｈ園のメンバーとして、仕事を頑張る楽しみも知りました。特にポスター係は意欲的に取り組んでいました。頂いたボーナスでお買物をすることも嬉しいことでした。Ｈ園での日常活動、行事やお出かけの他にも、Ｈ園の支援センターからのヘルパーさんとのお出かけも喜んでいました。特に、ヘルパーさんとの公共交通機関を使ってのお出かけは、平日の昼間、比較的空いた時間を狙って、繁華街やテーマパークを楽しんでいました。

　心身に重い障害を持ち、経管栄養、在宅酸素で生活しているともちゃんにとって、医療的なバックアップは不可欠でした。養護学校でも、Ｈ園でも、自宅への訪問でも、多方面で看護師さんに支えて頂きました。ともちゃんを最後に看取って頂いた病院の小児科は、ともちゃんが小さい時から何度も入院していた病院です。10歳の時には命を助けて頂いて、それ以来、経管栄養、在宅酸素の装備をつけて、自宅で、楽に安全に生活できました。京都に引越してからも、何かにつけて頼りにさせて頂き、それに応えて下さっていました。ずっとお世話になってきた先生のチームで、最後まで手厚い医療と看護が受けられたことは、とても有り難かったです。ともちゃんも、最後まで目標を持って頑張っていました。

　生前、ともちゃんがお世話になった多くの方々に、心より、感謝申し上げます。ありがとうございました。ともちゃんは短い人生でしたが、沢山の人々に支えられて、楽しんで生きていました。それだけに、ともちゃん自身も、もっともっと長く人生を楽しんでいたかったに違いありません。

　もしも、知的にも身体的にも重い障害を持っている子供の親御さんやご家族が、ともちゃんホームページを見て下さっているのでしたら、是非お伝えしたいです。障害を持ってしまったことは不幸かもしれないけれど、この先の人生は決して不幸なわけではありません。沢山の人達の助けを借りて、子供さんの人生を豊かにすることが出来るし、子供さん自身が心地よく生きている姿は、家族にも大きな喜びを与えてくれます。

　残念ながら、ともちゃんのスマホやタブレットの中に残っていた「ともちゃんの日常」の原稿は、すべてアップしてしまいました。残っていた「ともちゃんの日常」の原稿をちゃんとした文章にしていく作業は、ともちゃんがいないことを改めて実感することなので、最初は辛い気持ちがありました。でも、その時の思い出に浸ると、細かい記憶が蘇り、ひととき、ともちゃんが健在であった頃に戻れる楽しい作業でもありました。特に、天気の良い時に、誰もいない墓地で、ともちゃんのお墓の縁石に腰を下ろして、スマホで「ともちゃんの日常」を文章にしていく作業は、ともちゃんと語らいながら作業をしているようで、心地良かったです。また、どこかに、アップしそびれている原稿を見つけましたら、その時はアップしたいと思います。永らくご愛読いただき、本当にありがとうございました。