ともちゃん の日常23


最初にタイトルの一覧があります。タイトルをクリックすると本文が読めます。
「写真」/「ビデオ」/「スライド」マークをクリックするとそのタイトルに関する写真/動画/連組写真が見られます(「ビデオ」/「スライド」はファイルのダウンロードに1~2分かかります)。
本文の最初にも「写真」/「ビデオ」/「スライド」マークがありますが、タイトル一覧と同じ写真/動画/連組写真です。

「BB(ブロードバンド)」と表示された「ビデオ」をご覧いただく際には、ADSL/CATV/FTTH等の高速インターネットをご利用になることを強く推奨いたします。

2002年8月以前(ともちゃんの日常22へ)

2002年9月

1日(日)
「有馬富士公園」

29日(日)
「播磨中央公園」

2002年10月

5日(土)
「運動会 2002」

9日(水)
「よれよれキティ」

12日(土)
「甲山森林公園」

14日(月)
「明石西公園」

2002年11月

20日(水)
「久しぶりのお出かけは歯医者さん」

2003年1月

5日(日)
「お正月はスペインでドボン」

24日(金)
「お留守番(1)」

30日(木)
「お留守番(2)」

2003年3月以降(ともちゃんの日常24へ)


2002年9月1日(日)

夏休みのおまけとも、新学期最初の日曜日ともとれる今日は、兵庫県立有馬富士公園に行きました。鳴門や備前に行った時の渋滞がうそのように中国自動車道は空いています。「今日は、子供はみんな、家で夏休みの宿題をしてるからとちゃうか。」とお父さん。

 有馬富士公園は、昨年の4月に出来たばかりの新しい公園で、山を切り開いて作った三田市のニュータウン近くにあります。高速道路を下りてからは、ニュータウン内の道路を通って公園に向かいましたが、有馬富士公園は新しすぎてカーナビで表示されず、ニュータウン内は幹線道路と住宅道路が全て立体交差になっているために、運転しているお父さんは道に迷って苦労しました。

 住宅地を出外れた所に公園はありました。山裾の原野に駐車場やパークセンター(公園管理事務所)が作られていて、遠景には三田の山並みがそびえています。自然豊かな中に、そこだけ新しくて洒落た人工的な空間があるというところが、いかにもニュータウンらしさを感じさせます。

 まずは、車椅子駐車スペースに車を止めて、ちょうど後部ドアから見える三田の山々を眺めながらミルクの注入をしました。注入中のともちゃんを抱っこしたお父さんと、隣に座ったお母さんは「あれが有馬富士かな?」、「いや、もう少し遠くのあっちの山と違うか?」と谷の向こうに富士山のように格好のよい山、有馬富士を探していました。

 注入が終ると、ともちゃんが楽しみにしている公園内のお散歩です。車椅子を押して公園案内図を見上ると、駐車場の目の前、両親が谷底だと思っていたところには池があるようです。散歩コースは色々あるのですが、池の端まで「ガーデン階段」を下って行ってみることにしました。「階段」という名前ながら、車椅子も楽々通れるスロープが併設されています。途中、有馬富士を望む撮影ポイントにはフレーム状のオブジェがあって、ともちゃんもそのフレーム内に収まって写真を撮りました。

 撮影ポイントではなかなか笑顔を見せてくれなかったともちゃんでしたが、緑の中を軽快に下る車椅子の心地良い振動を感じるうちに、いつものニコニコ顔を見せてくれています。人工的に作られたゆるやかな階段状に流れる浅い水の流れをすぐ横に感じながらスロープを下ると、福島大池の畔に到着です。池の水位は下がっていて、池の真ん中の方に水鳥がいました。

 少しだけ湖岸を散歩して、「ともちゃん、今度は山に登るよー。」、「林の生態園」の道を上って行きました。このコースは下りの時の人工的な空間とは異なり、文字どおり雑木林の中を行くようです。ともちゃんはこんな木陰の道も好きです。朝早く来たら、運が良ければカブトムシやクワガタに会えるかもしれません。でも、「マムシ注意」の立札には、ちょっと腰が引けました。

 有馬富士自然学習センターの裏まで上がってきました。このまま駐車場に行くには階段を上らないといけないなあと迷っていると、外で作業をしていたセンターの人が「センターの中に入ったらエレベータがありますよ。」と教えてくれました。ここは、センターの地下1階のようです。ついでにセンター2階の展望テラスに上がってみました。有馬富士をはじめ三田の山々と福島大池が見渡せて、吹き抜ける風も心地良く感じます。

 あれ、1階から池の方向に桟橋のように細く突き出たテラスがあります。ここにも行ってみましょう。これは樹冠テラスといい、雑木林を上から観察するためのものですが、「狭くて、ちょっと怖いなあ。」と言いながら車椅子で端っこまで行ってみました。たくさんお散歩もして、景色も眺めて、自然の中でおいしい空気を吸って(ともちゃんは酸素吸入をしているので、ボンベの酸素とおいしい空気のブレンドですが)、ともちゃんも満足そうです。 

 車に戻って、水分補給をして、帰路に就きました。やはり高速は空いていて、遠くまで出かけたわりには早く家に帰りつきました。ともちゃんはお出かけが大好き。まわりで見ていても、その気持ちは明らかに伝わってきます。2学期が始まっても元気でいたら、9月は2回も3連休があることだし、また家族でお出かけしようね。

先頭(日付一覧)にもどる


2002年9月29日(日)

暑かった夏が過ぎて、朝夕が少し涼しくなってくる頃は、ともちゃんにとって嫌な季節です。季節の変り目が苦手なともちゃんは少し体調を崩し、学校もお出かけもしばらくお休みをして、家で静養していました。今日は久しぶりのお出かけで、播磨中央公園を目指しました。ともちゃんは行きの車の中でも興奮し、目を輝かせて足をぴんぴん突っ張っています。

 3連休が2週続いた後の日曜日は、行楽客も一段落するのでしょうか。中国自動車道はガラガラに空いていて、滝野社インターチェンジまですぐに着きました。その後はカーナビの案内に従って地道を行きますが、まわりには田んぼが多く目につきます。「ともちゃん、お米って知ってるか。いつも食べてるマンマシ(お粥のこと)の元やで。ほら見てごらん。」、稲穂が黄色くなって、頭を垂れています。

 田園地帯から丘陵地帯に入り、滝野町役場や文化会館、図書館、歴史民族資料館といった文化施設群と隣接して、播磨中央公園がありました。播磨中央公園はテニスコートなどの運動施設、野外ステージ、子供の遊具、バラ園など様々な施設が点在する広大な公園で、それらの施設は山中の遊歩道でぐるりとつながっています。

 第3駐車場に車を止め、いつも通り後部ドアを開けて、さっそく景色を眺めながらミルクの注入を行いました。久しぶりのお出かけがうれしくて仕方のないともちゃんは、ミルク注入中もギャハハギャハハとはしゃいで筋肉を緊張させ、身体をねじって足を突っ張っています。抱っこしにくくて困ったお父さんに「暴れたらあかん。暴れる子はお散歩なしで帰るで。」と怒られてしまいました。ともちゃんは一度はおとなしくなりましたが、次はアーアーと大きな声でごねて逆襲していました。

 公園内の散歩は、まず池に沿ってグリーンアドベンチャー(子供の遊具のある広場)に向かい、野外ステージの横を通って展望台に行き、桜の園から別の池にかかる立派な橋を渡って駐車場に戻るというコースをとりました。この公園内には池、それも自然のものとは様子の違う池が多くあります。農業用のため池だったのでしょうか。

 早秋の山中では気の早い木々の葉は少し色づき始め、すすきの穂が光っています。遊歩道のアスファルトの上には時々どんぐりが転がっています。草むらでは秋の虫が鳴いています。ともちゃんには自然の季節感を存分に味あわせてあげたいと思っているのですが、本当の山道を車椅子で行くことはできないので、このような山中の遊歩道はとてもありがたいのもです。

 グリーンアドベンチャーでは、ともちゃんは遊具で遊ぶことはありませんが、芝生の中に桟橋のように突き出た緩やかなスロープを上って行くと、遠くに滝野の街並みが見えました。公園自体が丘陵にあり、そこからさらにスロープを上がったので、とても良い眺めです。さらに遊歩道を少し行くと、思いがけなくSLが現れました。C52という山岳地帯で活躍していた機関車だと説明板にありました。

 公園内の案内板に描かれていた、とんがり屋根の展望台に上がってみたくて、頑張って遠くまで来たのですが、展望台には反対側のバラ園からしか入れないという掲示がありました。フェンスの外の遠くから、ちょっと奇妙な塔を眺めることができただけでした。ともちゃんは長い散歩に少し疲れた様子を見せていましたが、また元気を取り戻して笑顔が戻ってきました。

 今は枯れかかった葉っぱだけの桜並木を通ると、フワッと桜餅のいい匂いに包まれました。桜餅の匂いは、桜の葉っぱの匂いだったのですね。桜餅は食べられないともちゃんにも桜の匂いが分かったでしょうか。注入中に駐車場から見えていた橋を渡って駐車場に戻ります。橋の欄干の両端4個所に置かれている3色の玉のオブジェは、なぜか銀、金、銅の順番に高い位置に配置されているのが印象的でした。お父さんは、銀メダルしか取れなかった人が「銀が一番だ」と設計したに違いないという怪しげな説を唱えていました。

 駐車場に戻って来ました。今日の水分補給地、社パーキングエリアを目指して帰路に就きます。社パーキングエリアは、お父さんも初めてです。パーキングエリアには自動販売機とトイレだけというところもあるのですが、スナックコーナーにちゃんとしたテーブルと椅子があり、お土産も売っていて、おまけに空いていたのでゆったりと使えていいところでした。ただ、水分を注入中に蜂がともちゃんのそばにやってきて、お母さんが必死で追い払わなければならなかったのが唯一の難点でした。

先頭(日付一覧)にもどる


2002年10月5日(土)

「絶好の運動会日和」と朝からテレビの天気予報で何度も聞かされた今日は、ともちゃんの養護学校の運動会でした。ともちゃんは今年から中学部なので、校内服を着ての参加です。校内服は、普通の体操服の上下(偶然にもお姉ちゃんが中学生の時の体操服と同じデザインで、色違い)です。私服で登校した中学部、高校部の生徒は、動きやすい校内服に着替えてから学校で1日を過ごすことになっています。

 ですから、校内服は中学部の象徴で、小学部から中学部に進学した子供達が校内服を着ているのを見て、親や先生は中学部になったんだなあと感慨深く思います。ともちゃんは、登校時間や学校でのスケジュールの関係から、今までは校内服に着替えずに過ごしてきました。今日がともちゃんの校内服姿を初披露する日になります。

 遅刻してお父さんの運転する車で行くともちゃんは、自宅から校内服を着て行きます。胸にゼッケンをつけた、襟ぐりと袖ぐりに青いパイピングの施された白いTシャツと、青色のハーフパンツを身につけて、すっかりお姉さんの気分です。今日は両親が揃っていて、ともちゃんの世話と登校の用意が並行して行えたので、予行演習の時よりもずっと早く出発することができました。

 開会式が始まるまでに、学校に着きました。ともちゃんは白組ですから、白組のテントに入ります。ともちゃんは中学部の午前中の出番、10時40分から始まる団体演技「2002・未来への風」に出て、その後ミルクの注入を行って帰るという予定でしたが、うれしいことに開会式から運動会の雰囲気を味わうことができました。

 高等部の器楽演奏の中、中学部は一番最後にテントを出て、すぐ前のグラウンドに整列しました。車椅子のともちゃんは一番外側に陣取っています。暑い日差しを遮るために、ともちゃんはひまわりの柄の帽子を被っています。校長先生のお話しの間も、ラジオ体操の間も、ともちゃんは時々口を大きく開けて白い前歯を見せ、目を三日月の形にして笑っていました。気分は高揚しています。

 「未来への風」に先立って行われた小学部の競技では、ともちゃんならぬ、ともちゃんが使っていたキティちゃんタンブルフォームが大活躍でした。もうサイズが小さくなって使えなくなったものを学校に寄付したのですが、グルグル回転するように底を加工して、お友達が乗って先生に回してもらうのです。思わぬところでタンブルフォームが役立っていて、とてもうれしく思いました。

 「未来への風」は大きな布の4隅を4人で持って、キロロの「未来へ」という曲に合せて上下にはためかせたり、回りながら隊列を変化させたりします。布は赤、白、青、黄の4色が各2枚ずつあり、ともちゃんは白い布の向って左奥の隅を先生と一緒に持っています。ハタハタと顔の前を横切って上下する大きな白い布のおもしろさを感じたのか、ともちゃんはいい笑顔を見せてくれました。

 予行演習のときは、バギーの日よけを用いていたのですが、日よけや日傘ではハタハタと動く布の臨場感が感じ取りにくいのではないかと、先生とお母さんが相談して帽子を被ることにしたのです。この帽子は小学校に上がる時に頂いたものです。当時のともちゃんには随分と大きくて、そのまま取っておいたのですが、今ちょうどぴったりのサイズになりました。

 布を持った演技に続いて、「バナナボート」の曲を子供用にアレンジした「今日も楽しくなりそうだ」の曲でダンスを踊りました。ともちゃんもバギーに乗ったまま、手を先生に持ってもらって、手踊りをしていました。ここでも笑顔がこぼれていました。ともちゃんは、中学生として校内服で参加した運動会をしっかり楽しむことができました。

 ミルクの注入のために保健室に入ってからも、ともちゃんは興奮覚めやらぬ様子で、ギャハハハと笑っています。応援合戦の太鼓の音を聞きながら注入を済ませ、みんなが昼休みになるころには早退しました。帰りの車の中でも興奮して、昼寝をしようとしません。家に帰ったら、疲れが出ないように落着いてゆっくりと過ごしたいものです。

先頭(日付一覧)にもどる


2002年10月9日(水)

朝晩は肌寒くなったり、昼間は夏の暑さがぶり返したりしながら、段々と本格的な秋に向かうこの季節が、ともちゃんは苦手です。特に急に気温が下がると、喘息が出てきます。ヒューヒューという呼吸音になる大発作こそ最近は起こさなくなりましたが、ゼコゼコと息苦しくて、痰が切れないので何度も咳込みます。食事が進まなくなり、眠りが浅くなって、どんどんしんどくなっていきます。

 数日前の秋の長雨以来、ともちゃんは喘息様の症状が出ていて、今はまた自宅での静養が続いています。今週は特に運動会での興奮によるけいれん発作もあって、のんびりとマイペースで過ごしています。今回のお話は、9月の静養中のある日、ともちゃんがチョビッとお出かけしてゲットしたキティコレクション、ちょっと変ったキティちゃんのお話です。

 長く静養日が続き、体調が少し回復してくると、ともちゃんはお出かけしたくてたまりません。元気なのは昼間の一時だけで、まだまだ本調子ではないことを両親は知っているので、まだ登校もお出かけもさせてもらえません。それでも、お父さんがお休みで家にいたりすると、ともちゃんは空元気を出して、大きな声で「オーオー」と訴えています。

「ずっとおうちではつまらんなあ。ちょっとくらいやったらお出かけしてもええけど、近所の買いモンに一緒に行くか。」、「ともちゃん、食べモンの買出しについて行っても面白くないやんなあ。(実際、スーパーはチルドケースから冷気が来るのであまり好きではないようです。)」、「ともちゃんのもん、買いたいやんな。K市駅前のショッピングセンターの雑貨屋さんにキティちゃんのぬいぐるみがたくさんおったで。お父ちゃんが何でも買うたろ。」

 太っ腹なお父さんの一言でお出かけ先が決まりました。K市駅はともちゃんの家から車で10分位のところにあり、お父さんが通勤に使っているモノレールの始発駅です。私鉄との乗換駅にもなっているので、お父さんには馴染みがあるのでしょう。お母さんも、ともちゃんも、この辺りのお店に行くのは始めてなので楽しみです。

 電車の線路と立体交差する道路下にある駐車場に車を止めて、ショッピングセンターに入りました。1階の入ってすぐのところが目指す雑貨屋さんでした。なるほど一番高い棚にはキティちゃんがずらっと並んでいます。それまで、おすまししていたともちゃんの顔がパアッとほころんで、満面の笑顔に変りました。ともちゃんはキティちゃんの顔を見て識別できるとは思えないので、あまりのタイミングのよさにお母さんはびっくりです。

 ともちゃんにハロウィン装束のキティちゃんを見せながら、お母さんがふと右手の方を見上げ、「うわ、『よれよれコンタキ』みたいなキティがいてるわ。」と声を上げました。「よれよれコンタキ」というのは、ともちゃんのお父さんオリジナルのキツネのキャラクターです。ともちゃんが生れる前、お姉ちゃんのお絵描きの相手をしていた頃から、お父さんがずっと描いているキャラクターです。お父さんはとても絵が下手で、これ以外では「ヘタコ」というタコの絵くらいしか描けません。

 我が家のトイレの前の壁には、お姉ちゃんと一緒にお話ししながら摸造紙に描いた「うさぎのうちゅうせん/よれよれコンタキだいぼうけんいち(『大冒険』とお父さんの名前の『けんいち』を掛けてあります)」という大作が、長い間貼られていたので、ともちゃんの家族にはとてもなじみ深いキャラクターです。三角形の身体、そこから線でヒョロヒョロと描かれる腕や脚、ミトンの手袋の形の手のひら、楕円形の足、それがそのままぬいぐるみになって、キツネの首の代りにキティの首がついています。

 「これにしよう。なっ、ともちゃん、これでどうや。」、大笑いするお父さんとお母さんにつられて、ともちゃんも苦笑い(?)。今日のお買上げは、よれよれキティちゃんに決定です。獅子座生まれのともちゃんは、おまけにライオンの着ぐるみを着た獅子座キティのキーホルダーも買ってもらって、今日の買い物はおしまい、すぐにおうちに帰りました。

 個性豊かなキティちゃんを集めたともちゃんのコレクションとは言え、顔が大きく手足の小さなキティちゃんが多い中で、細い目をして、手足のヒョロヒョロしたよれよれキティちゃんはひときわ目立っています。お姉ちゃんは「私もこれ欲しい。」と言い、お父さんは「車の後部ドアに吊っといたら、渋滞の時も後ろの運転手はなごむでえ。」と言います。そして、ともちゃんは、こんなキティちゃん達に囲まれて、今はおとなしく家で暮しています。

先頭(日付一覧)にもどる


2002年10月12日(土)

お出かけしたい意欲はあるものの、朝の予定を終えるのに時間がかかったともちゃんです。3連休初日の高速道路は混んでいるので、比較的近くにある兵庫県立甲山森林公園に行きました。甲山(かぶとやま)はお父さんの実家近くにある里山で、お父さんは小さい頃家族で何度も飯ごう炊さんに来たことがあるそうです。

 今回のお出かけ自体は、ともちゃんも両親も楽しかったのですが、自然保護とバリアフリーの共存が難しいということを考えさせられた公園でもあります。ここは古くからの公園で、なおかつ甲山の森林をそのまま利用しているために、山中を通る車道から公園内に徒歩で入る入口はいくつもあるのですが、駐車場は非常に少なく、公園入口近くに車を止めることはできませんでした。

 多くの人達は麓の駅から歩いたり、バスで来たり、少し遠くに車を止めて歩いたりと様々な方法で公園内に入るのですが、乗用車はもちろん砂利運搬の大型トラックも往来する山中の狭い車道を車椅子で長く通行することは危険なので、ともちゃんは公園内に入ることをあきらめました。自然を大切にして、ハイカーが集うことを前提とした公園としては、今のままで良いのかもしれません。しかし、最近建設された自然公園はバリアフリー思想が取入れられていることを思えば、ここももう少し障害者に利用しやすいよう考えて欲しいと思いました。

 そんなわけで、車は神呪寺(かんのうじ)の参拝者用駐車場に入れました。この駐車場も大変混合っていたのですが、運良く1ケ所だけ空いていたのです。神呪寺から甲山山頂に登る山道があって、お父さんは子供の頃何回も登ったそうです。ともちゃんが駐車場裏の池を見ながらミルクの注入を行っている間、何度も鐘の音が聞こえてきました。ゴーンときれいに響かず、ガンという鈍い音を聞いて「ここの鐘は、今でも参拝客が自由に撞けるようになっているんやな。」とお父さん。

 注入の後は境内の散歩です。山中にある神呪寺は階段ばかりで、車椅子ではほとんど中に進めなかったのですが、境内への関係車両の進入路になっている短くて急なスロープを通って入口付近だけ見て回りました。視覚障害者の白い杖を奉納する杖塚というのがありました。どこかのお寺には車椅子塚のというのもあるかもしれません。少しの時間だと思って日除けを車に置いてきてしまったので、ともちゃんはずっとまぶしそうに目を細めていました。

 十分にともちゃんの散歩ができるところを探して、次は北山貯水池に行ってみました。車道の脇に車を止めて、貯水池の畔を、今度は日除けをつけて、ゆっくりと行きました。半周ほど行って引返したのですが、行きは甲山を背に六甲山系を眺めながら、帰りは六甲山系を背後にして甲山を見ながらの散歩でした。水面を渡る風が心地よく、ともちゃんも笑顔がこぼれています。

 池には首の長い水鳥がいます。ともちゃんと水面を見下ろしていると、すぐ下まで寄ってきました。「ガァァァガァァァ」お母さんが鳴き声のつもりで声を出すと、鳥もつられて「ボォホォーン、ボォホォーン」。水鳥は、まるでブラスバンドの大きなラッパの練習をしているように響く鳴き声をあげたので、びっくりでした。池の中の人工的に作られた水面からの出っ張りには、亀が2匹甲羅干しをしているのが見えました。

 水分補給は甲山霊園の駐車場に車を止めて、車の中で行いました。さすがに霊園の駐車場は空いています。ここにはともちゃんの曾祖父母が眠っているのですが、今回は駐車場から手を合せるだけで許してもらいました。

 今回、ともちゃんは秋の甲山を満喫しました。本来の目的地の甲山森林公園は車の中から覗き見ただけでしたが、楽しいお出かけでした。

先頭(日付一覧)にもどる


2002年10月14日(月)

このところ、ともちゃんは兵庫県立公園の公園めぐりをしています。明石市には兵庫県立明石公園と明石西公園の2つの公園があって、この2つをはしごするために今日は明石までお出かけです。3連休最後の今日は、一昨日とは打って変って道路が空いていて快適でした。明石を訪れるのは、天文台へ行って以来のことです。

 ともちゃんは張切って出かけてきたものの、車の中では痰が多くて切れにくく、咳込むことがあるので、吸入する酸素の流量を1Lや時には2Lと多くしました。すると、呼吸時の痰の引っ掛かりが気にならなくなるのか、咳込みも治りました。お母さんはいつも以上に注意深く観察していますが、酸素吸入しているともちゃん自身はいたってゴキゲンの様子です。

 事前の予習で、明石公園は明石城址にあることが分っていました。明石公園でミルクを注入して城跡を散歩し、その後で明石西公園に立ち寄って水分補給をする計画を立てていました。カーナビの指示通りにJR明石駅前にある明石城址にやってきました。お壕の石垣が見えますが、ここの石垣は大和郡山城とは違ってかなり低く、お壕も谷底という程深くはありません。いかにも城跡公園といった和やかな風情です。多くの家族連れが公園に入って行きます。

 さあともちゃんもお城に行ってみようと、駐車場に入るべく駅前の通りを右折しました。この道をPのマークで右折して駐車場に入ろうとしてびっくり、反対車線には駐車場に入ろうとする車がずらりと並んで駐車場に空きが出るのを待っています。ともちゃんはこの駐車場に入るのは諦めて、公園内の別の駐車場へと向いました。

 しかし、明石公園のもう一つの駐車場にも空き待ちの列が出来ていました。公園のまわりをぐるりと廻って来る途中、公園内の陸上競技場の横を通ったのですが、小学校の校名らしきものが書かれた色とりどりのゼッケンをつけた小学生と、その家族が大勢集まっていました。小学生のスポーツイベントが開催されているようです。思えば今日は体育の日、それで駐車場も大混雑なのでしょう。

 急遽予定を変更して、明石西公園でミルクの注入を行うことにしました。明石西公園は明石公園から車ですぐの所にあります。ここの駐車場は空いていました。駐車場はレンガ敷き風に作られていて、車椅子用の駐車スペースだけよく分かるようにレンガの色が茶色に変えてあるところに好感が持てました。

 ともちゃんはいつものように後部ドアを開け、後ろ向けにした後部座席に座ってミルクの注入を行いました。ここの駐車場からは芝生広場が見えます。就学前の小さな子供のいる家族連れが、たくさん芝生の上で遊んでいます。お父さんが「今日は明石市の小学生は明石公園に、幼児は明石西公園に大集合いうことになってんねや。」と言って笑っていました。

 芝生広場の右奥にはフラワーガーデンが少し見えています。ともちゃんは、注入が終るとそちらの方に散歩に出かけました。駐車場にいた時は分からなかったのですが、フラワーガーデンでは草花が幾何学模様にくっきりと区切られています。少し高い位置にある通路から眺めると植物の迷路のようで、中世ヨーロッパの貴族のお城の庭のようでした。

 思いがけず珍しくも美しい庭園を見られて、お母さんがともちゃんにかける声も興奮気味です。大きな壁面を水が滝のように流れ落ちる壁泉や、岩がごろごろしているロックガーデンを通って、ともちゃんは四季の森に入りました。おとうさんの背丈よりも高いススキの穂が実っています。ともちゃんは芝生広場のまわりを一周したわけですが、起伏に富んでよく手入れされたコースにはともちゃんも家族も大満足でした。

 満足そうなともちゃんの笑顔を見ながら、お母さんは明石西公園を散歩してよかったと思いました。実は、予習の時点では、明石西公園も西猪名公園のようにスポーツ公園がメインで、申しわけ程度に花壇ゾーンがある公園だろうとたかをくくっていたのです。こんなに充実しているとは、うれしい誤算でした。

 ともちゃんの帰りの水分補給は、明石天文台を訪れたときと同じく第二神明道路の名谷パーキングエリアで行いました。お昼の時間を少し外れただけなのに、高速道路の空き具合を反映してか建物内の座席は空いていて、ゆったりと注入を行うことができました。お母さんはここの明石焼き(電子レンジでチンした明石風のタコ焼きに、うどんの汁をたっぷりかけて刻みねぎを入れたもの)がすっかり気に入りました。

先頭(日付一覧)にもどる


2002年11月20日(水)

 今日はお父ちゃんが会社に行かんと家におる。そういうたら、昨日お母ちゃんが、「しっかりご飯食べて、元気にしてたら、明日どっかに行くで。」と言うてた。朝からお母ちゃんは携帯用の吸引器の充電をしたり、リュックサックに荷物を詰めたりしとる。そうや、きっと、久しぶりにお出かけなんや。

 そう思うとなんか気合いが入るなあ。うまい具合に今日は痰の絡みもあんまりないし、頑張ってご飯食べよ。朝ご飯の間もお父ちゃんの様子が気になって、そわそわしてしまうやんか。お父ちゃんもお母ちゃんも、いつもより早目早目にミルクやご飯を用意して出してくるで。12時20分、お昼ご飯は少し残したけど、もうこれでおしまいや。歯磨きをして、服を着換えるで。外は寒い言うて、たくさん着せてもろた。やっぱりお出かけなんや。

 抱っこで、玄関に置いてあるバギーまで直行。バギーの座るとこ(シーティング)は身体の形に合せて作ったあるから、車椅子よりずっと座り心地がいいねん。車椅子やと、長く座ってると頭が枕から(背骨の曲がっている)右側に落ちるんや。HPに車椅子でお出かけと書いてても、ここ数年はバギーでお出かけの方が多いねんで。

 駐車場の車のとこまで行って、お母ちゃんに抱っこしてもろて車に乗ったで。もう、うれしうてうれしうて、それだけで頬が緩んでしもて笑顔になるわ。本当に久しぶりやもん、車に乗るのは。わーい出発や。どこへ行くんかな。「ともちゃん、えらい喜んで笑ってるで。」、「そんな、にこにこ、にこにこ喜んでてもお出かけとちゃうで。歯医者さんに行くねんで。」・・・

 ともちゃんの歯は、上の真ん中から右に二つ目の前歯が少し欠けてひびが入っています。以前から、虫歯菌に侵されているのか先の方が白濁しているのが気になっていて、集中的に歯磨きを心がけていた歯です。スプーンか歯ブラシを噛んだときにもろくなっていた歯に亀裂が入ってしまったのでしょう。

 奥歯のひどい虫歯については、全身麻酔で治療しなければならない状態なので、全身麻酔を安易にかけたくないともちゃんは、放置したまま様子を見ています。けれども、前歯なら口を大きく開けていなくても、とりあえずの修復は可能でしょう。亀裂が大きくならないうちに、ともちゃんが痛くならないうちに、樹脂か何かで埋めて欲しいと思いました。

 ともちゃんが今日向かったのは、M市の保健センターです。通常は市民検診や、内科小児科および歯科の休日応急診療所としての役割を持っているところなのですが、最近の市の広報紙で障害者の歯科診療を始めたことを知りました。身近なところで診てもらえるなら、こんなに便利なことはありません。

 「障害者の」とあっても、それは「自分で意思表示をすることのできる身体障害者」や「体は元気な知的障害者」を想定している場合が多いのです。それは、多分担当者がともちゃんのような重症心身障害者の存在を知らないからなのです。今回も予約を入れながら、そういうことになるのではないかと危惧していたお母さんでしたが、その心配は無用のものでした。

 十二分に揃ったスタッフの中で、たっぷり診療時間をかけ、ゆったりと診察してもらえました。まず、ともちゃんの様子を面談室で2人の歯科医の先生に聞いていただきました。障害についてはもちろん、出生時のことから日常生活まで詳しくお話ししました。次に診察室に入ったのですが、歯科治療用の背もたれが倒れる椅子ではなく、車椅子のまま(ともちゃんならバギーに乗ったまま)診察と治療を受けられたことは画期的でした・・・

 お出かけや思たら、すぐに着いてしもたところは、保健センター言うらしい。お母ちゃんがぎょうさん書くとこのある問診表を書いている間、お父ちゃんと高い天井のあるホールを散歩してたから、歯医者さんに来たとは思わへんかってん。診察室に入っても、診察椅子には座らんと、バギーに乗ったままやってん。歯医者さんの診察椅子は嫌いやねん。もともと私は抱っこが好きやから、そんな椅子に座らされたらそれだけで緊張してしまうわ。

 診察椅子の横にバギーで陣取ったら、歯医者さんが使う七つ道具の載ったテーブルがグルッと回って来んねんで。リラックスできたから、ゆっくり待ってもろてる間に何度も口を開けたった。その間に口の中をすっかり見られてしもた。お母ちゃんが気にしてた前歯も、ピュピュッと樹脂を塗って、青い光をピカッと当てて固めてもろたよ。

 ミルクの注入も外のお散歩もない短いお出かけは、すぐ終わってしもたわ。でも嫌なことは何もなかったから、楽しかったで。お出かけの帰りの楽しみ言うたら、車の中でお母ちゃんに抱っこしてもろてお昼寝や。学校よりも近くのお出かけやったけど、やっぱり昼寝をしてしもたわ。

先頭(日付一覧)にもどる


2003年1月5日(日)

ともちゃんは2003年のお正月を自宅で穏かに迎えました。マンションの7階にあるともちゃんの家のリビングからは、朝日が望めます。夏の頃なら、ちょうどともちゃんが抱っこされて座っている位置から、生駒山に上る太陽が見えます。冬になると日の出の位置が南に動くので、少し窓から覗き込むようにしないといけないのですが、初日の出を見ることもできます。

 お日様より早起き(元旦は4時に起床)のともちゃんは、お粥を食べながら日の出を待ちましたが、空は灰色の雲で覆われていて、今年は初日の出を拝むことはできませんでした。その代りというわけでもありませんが、ともちゃんは、初めて少しだけお雑煮を口にしました。大根と人参の白味噌仕立て(ともちゃんの分を取分けてから家族用にお餅とかまぼこを入れました)でした。

 昨年は急に秋が深まり、寒暖の変化に弱いともちゃんは、以来長い冬ごもりに入っています。それで、2学期は9月と10月に合せて5日登校しただけでした(72日欠席)。しかし、大きな病気をすることはなく、酸素濃縮器ロボタと吸引器の助けを借りながら、自宅でゆっくりと生活しています。経管栄養の鼻チューブのお陰で、口から食べる量が少ない日があっても、お母さんは安心して過ごすことができました。

 冬休みに入ってからともちゃんの痰はさらに多くなっているので、近くの神社への初詣にも行かず、お正月はずっと家の中で過ごしていました。ボーっとしんどそうにしている時もありますが、ともちゃん自身は割と元気で、お父さんがお休みなのにどこにもお出かけしないことが不満なようです。アアーアーと大きな声でお父さんやお母さんに文句をいうこともあります。

 せっかく家族が揃って過ごすお正月、ともちゃんがつまらない思いをしないようにと、お母さんが今年もボードゲームを買ってきました。今年のゲームは「キャラクター世界一周ツアーゲーム」というもので、サンリオキャラクター(もちろんキティちゃんもいます)がコマになった双六です。

 お正月の間、外は強い西風が吹いたり、雪がちらついたりしていましたが、ともちゃんは暖かい部屋の中でこのボードゲームで遊びました。もちろん、ともちゃんのコマはキティちゃんです。ともちゃんは、お母さんに抱っこしてもらって手にサイコロを握らせてもらい、手をぶらぶらとゆすってもらってから、ポトンとサイコロを落として目を出します。

 この双六は止まった位置(国)や引いたカードによって、色々な指示を受けます。特にコースの半ばにあるスペインに止まると、「ガウディのサグラダファミリア教会に感銘して建築家になる決意をして旅行中断、ゲームオーバー」になってしまいます。ともちゃんは5回ゲームをしたのですが、5回ともスペインで止まってゲームオーバーになってしまいました。

 3回目などは、一旦うまく通り過ぎた後カードを引いて、その指示「2つ戻る」でスペインに止まってしまいました。こうなると、ともちゃんのコマがスペイン近くにやってくると、みんなで騒いで注目するのですが、出してはいけない目を必ず出してしまいます。

 ゲームオーバーになったともちゃんは、お母さんと一緒のコマということにして、続けてゲームに参加していました。ともちゃんは本当のスペインに行くことはありませんが、志摩スペイン村なら1泊すればお出かけ可能圏内です。体調が安定して志摩のスペインまで行ける日がくればいいなあと願いつつ、ともちゃんの穏かなお正月が過ぎていきました。

先頭(日付一覧)にもどる


2003年1月24日(金)

 早寝早起きのともちゃんの家では、一家が全員揃うのは朝です。一足早く起きたお父さんがともちゃんの朝の注入の準備をして、薬やミルクをズラッと揃えてくれるとともちゃんがリビングにやってきます。

 お父さんはともちゃんの食事を作りながら夜の間に乾燥機で回した洗濯物を畳み、お母さんはお姉ちゃんの弁当を作るというそれぞれの朝の仕事をこなしながら、順番にともちゃんを抱っこして薬やミルクを飲ませてくれます。夜にはなかなかお父さんに会えないともちゃんにとって、お父さんとお話をする大切な時間です。お母さんも昨日あったことをお父さんに話しています。

 お姉ちゃんが起きてくると、リビングはもっと賑やかになります。お姉ちゃんも時間に余裕がある時は、ともちゃんの相手をしてくれます。でも、遅刻しそうな時間まで寝ていて、お母さんの「早よ起きんと遅れるで。」で始まる甲高い声の応酬が響き渡るのもともちゃんには可笑しいようで、ケラケラ笑いながら聞いています。

 マイペースで朝の予定をこなすともちゃんの周りの賑いは、お父さん、お姉ちゃんが順番に出勤、登校してしまうと、あわただしく去っていってしまいます。朝7時を過ぎるとともちゃんはお母さんと2人、お母さんに抱っこされて口からお粥ペーストを食べます。

 ともちゃんが元気な季節なら、9時ごろまでにお粥を食べ終って、その後タクシーを呼んで登校するということになるのですが、最近は痰が多くてそういう訳にはいきません。やっと痰が切れて、食事がスムーズに摂れるようになるのが9時頃になるという日もあります。それから朝食を食べ始めるのですから、体力的にも時間的にも登校するだけの余裕はありません。お母さんと1日お留守番です。

 留守番中のともちゃんの仲良しは「ラッパおじさん」。クリスマスにサンタさんにもらった「サックスを吹くキティちゃん人形」で本当は「ジャンピングキティ」といいます。スイッチを入れると「聖者が街にやってくる」の音楽が鳴って、キティちゃんはジャンプをして少しずつ前進します。時々、ジャンプの合間に首を振りながら、歌を歌うのですが、何とその声がルイ・アームストロング風のおっさん声なのです。

 キティちゃんは女の子(声優は林原めぐみさん)のはずなのですが、なぜかこのキティちゃんは声がおじさんです。最初に聞いた時から、その風貌と声の不釣り合いが家族に大いに受けて「おっさんキティ」などと呼ばれていたのですが、今では「ラッパおじさん」という名前で定着しました。

 ラッパおじさんの音楽と派手な動きは、ともちゃんの興味を引付けているようです。抱っこされながらラッパおじさんを見るのが好きですが、お母さんと2人の時はお母さんが用事をしていて1人で布団の上にゴロンを置かれることも多く、そんな時は「ラッパおじさんと遊んどき。」とスイッチを入れてもらいます。

 それから、お母さんの助けを借りてニューッと身体を伸ばすことも、ともちゃんの楽しみです。側湾があって筋緊張が強いともちゃんですが、背骨が曲ったままで完全に固まっているわけではありません。自分で思うように身体を伸ばすことができないので、ストレッチしてもらうと気持ちいいのでしょう。

 足を投げ出して床に座ったお母さんの膝の上に、お母さんのお腹を背もたれにして、足をお母さんの足の上に伸ばした形で座らせてもらいます。お母さんの両手でともちゃんの両腕をそれぞれ掴んで、ゆっくりと上に伸ばしながら、お母さんは上体を後に倒して行きます。お母さんがぺたんと床に背中をつけて、「ニュー」と腕を伸ばすと、ともちゃんもそれに合せて身体をニューと伸ばします。

 こんなこともしながら、食べること、寝ること、排泄すること、身体をきれいにすることなど、生きていくための基本的なことをマイペースで行っていると、もう夕方になります。ガタンと玄関のドアが開いて、お姉ちゃんが帰ってきました。お留守番はおしまい。ともちゃんの周りがまた賑やかになります。

先頭(日付一覧)にもどる


2003年1月30日(木)

土曜日と日曜日はお父さんの会社がお休みなので、ともちゃんの体調がよい季節なら楽しいお出かけ日となります。けれども、痰が多くて登校もままならないともちゃんですから、インフルエンザが猛威を奮う街中へ出て行けるはずもありません。お母さんは近所のスーパーのチラシを見比べ、1週間分の買出しの準備に気合が入っています。でも、ともちゃんは、お父さんとお留守番です。

 平日はお母さんとお留守番、土日はお父さんとお留守番。これでは、お出かけ大好きのともちゃんは面白くありません。今までも、お母さんが出かけてしまったことが分かると「オーオー」と大きな声で抗議をしていました。最近は、お母さんが出かけてしまってから怒ったのでは遅いと気付いたのか、お母さんが出かける用意をし始めると「オーオー」と怒ることが多くなりました。

 ともちゃんが「オーオー」と大きな声を出すと、抱っこしてくれているお父さんも大きな声で「オーオーオー(ほんまやなあ。腹立つなあ。)」と共感してくれます。そして、「ラッパおじさんで遊ぼか。」とラッパおじさんのスイッチを入れてくれます。ともちゃんは、お父さんやラッパおじさんに気を取られて、怒っていたのを忘れてしまったようです。

 バタバタと出かけて行ったお母さんが帰って来るのは、お昼頃です。それまで、ともちゃんはお父さんとテレビを見ながら、ゆっくりと食事やミルクを摂っています。お母さんが帰る頃には、朝寝坊のお姉ちゃんも起きてきて、リビングが賑やかになります。ともちゃんのお留守番はおしまい。家族の揃った休日の始りです。

 そうそう、ともちゃんのお留守番に欠かせないラッパおじさんは、働き過ぎたせいかこのごろ首を振らなくなってしまいました。でもジャンピングとおっさん声は健在で、ともちゃんを楽しませてくれます。

 そんな日曜日のお留守番をしていた1月26日の午後、ともちゃんは微熱が出てきました。28日、29日はお父さんが東京に出張だというのに・・・。そういえば、先週歯医者さんを受診したときに、待合室の後ろの席にいたお兄さんが咳込んでいて、ともちゃんを抱っこしていたお父さんが、広い背中を丸めてともちゃんをガードしていましたっけ。黄色い痰が出ている以外は、全くいつも通りで機嫌もいいのですが、お父さんの出張中に熱を出すのはともちゃんの得意技なので、心配なのです。

 お父さんの出張の前日、ともちゃんはお父さんに抱っこしてもらって眠りに就きました。その時、お父さんが「熱を出さんとお留守番してたら、お土産買うてきたげよ。そやから、お父ちゃんがおらん間に熱出したらあかんで。」という約束をしてくれました。ハハァンとともちゃんは嬉しそうです。さあ頑張ってお留守番です。

 念のために以前貰っていた抗生剤も飲んで頑張ったともちゃん。様子を尋ねるお父さんの電話にお母さんが出ている間に咳込んで、お母さんを慌てさせたりもしましたが、高熱を出さずにいつも通りに過しました。応援に来てくれたお祖母ちゃんにいつもはお父さんがしている家事を手助けてしてもらい、お留守番は無事に終りました。

 30日の朝、ともちゃんはお父さんの顔を見て、お土産をもらいました。「おじゃる丸」と「電ボ」のぬいぐるみです。以前は東京駅の八重洲地下街にキティグッズの専門店があったのに、なぜか無くなってしまったということで、同じ地下街にあるNHKキャラクターショップでおじゃる丸を買って来てもらったのでした。この日、お母さんとお留守番をしながら「ともちゃんのお土産やなあ。」とおじゃる丸を見せると、ともちゃんは満面の笑顔を見せてくれました。おじゃる丸もともちゃんの新しいお留守番友達に加わりました。

先頭(日付一覧)にもどる