ともちゃん の日常26


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2003年8月12日以前(ともちゃんの日常25へ)

2003年8月

16日(土)
「大和路へぐり」

23日(土)
「春日大社神苑」

31日(日)
「堺、ハーベストの丘」

2003年9月

7日(日)
「四国でお遍路さん」

15日(月)
「神崎、ヨーデルの森」

21日(日)
「神戸、フルーツフラワーパーク」

28日(日)
「淡路島、イングランドの丘」

2003年10月

4日(土)
「運動会 2003」

2003年11月

2日(日)
「神戸市立農業公園ワイン城」

24日(月)
「和歌山城」

2003年12月以降(ともちゃんの日常27へ)


2003年8月16日(土)

お父さんの夏休みも残り2日となりました。今日はお盆明けの16日の土曜日ですから、Uターンラッシュの真っ只中でしょう。高速道路はどこも渋滞です。こういう時の取っておきお出かけ先として、以前から探しておいたのが奈良県生駒郡平群町にある道の駅「大和路へぐり」です。

 近くの田舎シリーズとして、生駒山麓の田園風景の中を散歩して、道の駅でミルクの注入(両親は食事)とお土産の買物をすれば、ともちゃんも両親も満足でしょう。予想通り道は空いていたので、スムーズに道の駅に着きました。山麓の狭い田んぼの稲は青々と生育していますが、少し視線を移すと山の斜面は宅地造成されて、びっしりと住宅が立並んでいます。近くの田舎シリーズに加えるには、ちょっと街過ぎるような・・・

 道の駅は朝市をやっていてお客さんが一杯、駐車場も一杯でした。しかし、近くの住宅地から野菜や生花を買いに来た人たちなので駐車場の回転は早く、すぐに空きができました。以前行った能勢の道の駅でもそうでしたが、最近は近くの住宅地の人たちが新鮮な野菜を求めて、道の駅をショッピングセンターのように利用しているとTVで報道していたことを思い出しました。

 まずは道の駅のレストラン「くまがし」に入って、ともちゃんはミルクの注入、両親は食事をしました。いつもながら、ともちゃんのミルクの注入時間が三度の食事の時間とずれているおかげで、レストランは空いています。窓際の席に陣取ると、ここからは道路を挟んですぐそこにある山とその麓の水田、点在する古い民家だけが見えて、癒される遠景です。その前には朝市に合せて出店された手作りコロッケを揚げる露店、楽しめる近景です。

 まだ朝の時間帯だったので、両親は朝定食を注文しました。朝定食には鮭、玉子焼きと、ともちゃんの食物アレルギーのアレルゲンが2つも入っていましたが、空いていたために4人がけのテーブルの隅に定食を置いて、両親はともちゃんの抱っこと食事を交代で行いました。車椅子にセットしたイルリガートル(ミルクを入れた袋)をかけるポールは今回も役立っています。お母さんが、「久しぶりの和食の朝食はおばあちゃん家に行ったようでうまいな。」とご飯をお替りしながら言うのを聞いて、ともちゃんはタイミングよくギャハハと笑いました。

 道の駅のもう一つの楽しみはお土産買いです。お土産コーナーの狭い通路を車椅子で行くと、ともちゃんは笑顔できょろきょろと物色しています。お父さんと相談して、ここのシンボルでもある「くまがし」(どんぐりの一種)のブローチと、竹で作った鈴を買いました。その後も少しウロウロして、「こんな究極の渋いキーホルダーがあるで。」とお父さんが見つけてきたのは、燻し銀風の八角形のものです。裏には元山上千光寺とありました。

 コロッケの露店はお客さんがずらりと並んでいたので諦めましたが、ともちゃんも両親もおいしく食べてお腹満足、楽しく買物をして気持ちも満足でした。ここまでのところは・・・

 次はお散歩に行きましょう。当てはないのですが、「近くの田舎」なので、何気ない寺社でも公園でも自然の中で楽しいでしょう。道の駅に来るまでに。「中央公園」という表示も出ていたし、渋いキーホルダーでご縁がある「元山上千光寺」にも興味津々です。来た道を戻りながら、標識を探しました。

 竜田川沿いの山間の国道で、左の上り坂方向に「元山上千光寺」の標識を見つけて、脇道にそれました。坂道を山の上に上ってびっくりです。さほど新しくはない住宅地に出てしまいました。同じくらいの区画に様々な家がびっしりと建ち並び、その間を宅地造成の道路が走っています。直進すると道が細くなる交差点に出たので、運転手のお父さんは広い方の道に左折すると、それこそ住宅地の真ん中に出てしまいました。

 少し住宅地を走りましたが、とてもお寺があるような雰囲気ではありません。諦めて引返しましたが、これがケチの付きはじめでした。来るときに見たと思った「中央公園」の標識にも、第二阪奈道路を下りてすぐに見た「むかいやま公園」の標識にも出会わないまま(もちろん来たときとは向きが違うので同じ標識を見るということはありませんが)、第二阪奈道路のインターチェンジまで戻ってしまいました。お散歩どころか、水分補給のために駐車するところもありません。

 第二阪奈道路の入り口付近も車でウロウロしましたが、生駒高校へと続く階段に行き当っただけでした。仕方なく、近鉄生駒線の線路横の道に(通行量がほとんどない上に、通行の邪魔にもならないようなので)車を止めて、車の中で水分補給を行うという情けない結果になりました。

 帰ってから、ちょっとプンプンのともちゃんを抱っこして、地図を前にした両親が反省会(?)を開いています。「住宅地の中に入っていった時に、左折せんと、そのまま真っ直ぐに行ったら千光寺があったんとちゃうん。」、「いや、あれはすっごい細い道やったで。対向車が来たらすれ違いもでけへん・・・あっ、やっぱりまっすぐ行くんやったわ。そやけど、すごい山道やで。しかも、道の駅から住宅地までの距離と同じだけ、山道を行かなあかん。」、「そら、ともちゃんにはあかんわ。」、高野山と芦有道路での経験から、ともちゃんは山道では車酔いすることが分っています。

 同じ住宅地の中に中央公園北というバス停もありましたが、「中央公園」というのは普通の公園だったのかもしれません。むかいやま公園というのはグラウンドや体育館、テニスコートを備えた運動公園のようでした。この辺りは近くの田舎というにはだいぶん街という感じで、お父さんの夏休み最後のお出かけにしては、ちょっと残念な結果でした。まあ、こんなこともあるわな、ともちゃん。

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2003年8月23日(土)

今日のお出かけはともちゃんの根性の勝利です。夏の疲れも、お出かけしたいという気力ですぐに回復してしまいました。今週に入って、ともちゃんは痰が多くなってきていて、吸引をしてもなかなか切れませんでした。食事中もフガフガと呼吸しにくく、食事が進まず、いつも通りの量が食べられない日もありました。ウトウトと眠くなり、ぼーっとしてることが多くなり、5分程度の昼寝を1日に2回した日もあります。ちょっと夏の疲れが出てきたようです。ここで無理は禁物です。ともちゃんの様子を観察しながら、マイペースで過ごしました。

 お父さんの夏休みも終り、明日の日曜日は休日出勤です。ともちゃんもそろそろ新学期のことを考えて、家で体調を整えたほうがいいでしょう。「夏休み、たくさんお出かけしたら、ちょっと疲れてるやろ。今度のお父さんのお休み(今日のこと)はおうちにいよか。」と言われて過ごしていました。週初めは、さすがに、ともちゃんも納得していたことでしょう。しかし、水曜日の昼寝の後くらいから、元気を取戻し、木曜日、金曜日は絶好調で過しています。週初めに十分休養をとって、短期集中で一気に体力の回復を図ったのでしょうか。

 木曜日からのともちゃんの「元気やで。」のアピール(行動で示しただけではなくて、お父さんやお母さんに「なあーん、なあーん」と笑顔で積極的に話しかける)に応えて、今日も近場にお出かけすることになりました。行先は奈良、春日大社神苑。ここは万葉植物園(万葉集にゆかりのある食用、染色等の栽培植物を中心とした植物園)になっていて、この夏休みのともちゃんのお散歩に、植物園つながりの一環として、行ってみたいと思っていました。

 奈良までの道路での唯一の難所、第二阪奈と阪奈道路の合流地点の混雑も大したことはなく、スムーズに奈良市内に入りました。残暑厳しい奈良公園は観光客もまばらで、鹿も木陰で休んでいます。3年前の夏にも一度訪れたことのある春日大社駐車場、この駐車場に面して神苑東受付があります。受付のすぐ近くに車を止めて、緑深い神苑を塀越しに眺めながら、まずは車の中でミルクの注入をしました。

 今回はすぐ後に神苑の散策を控えているので、後部座席を開けることなく、通常の座席で注入したのですが、ちょっと工夫を凝らしました。今までは、この状態(車中)で注入をするときは、お母さんがともちゃんを抱っこして、運転席に座っているお父さんがミルクの入ったイルリガートル(袋)を手で持って、車の天井に付くまで高く上に掲げていました。イルリガートルの中のミルクは点滴と同じようにポタポタと落ちて、ともちゃんの鼻腔から胃へと通じているチューブを通じて、ともちゃんの胃の中に納まります。

 今日は、車椅子に取り付ける注入用ポールを、上半分を運転席の窓から外に出して、うまく車内に立てかけました。ポールの先に掛けたイルリガートルは、車の外で車の屋根より高く吊下げられていて、スムーズにミルクが流れ落ちてきます。イルリガートルの口は巻き込んでワイヤーで止めているので、ごみが入る心配もありません。おかげで、お父さんは楽になりました。

 さて、神苑のお散歩です。奈良時代に創建された頃からのお庭で、万葉植物園として開園されたのも昭和7年と長い歴史があるものですから、車椅子で園内を行くことができるか心配でした。事前に問合せたところ、行けない場所もあるけれど、車椅子でも大丈夫ということでした。今までの新しい植物園とはちょっと趣が違って、楽しみです。行ける所まで行ってみましょう。

 東受付から入って、遊歩道を右側に向いました。苑内は鬱蒼と茂る樹齢の古そうな木々の間に、名札のつけられた万葉植物が植えられています。蝉の声に包まれて、黄色の蝶が舞う自然の森の中を散歩するようで、ともちゃんもニコニコと楽しそうです。やがて、神苑の中央を東西に横切る中央の通路にぶつかりましたが、ここには段差があって車椅子では通路に下りることができませんでした。東受付から入った場合、車椅子での散歩はこの通路より北には行けないので、苑内の南側を回ることになります。

 迂回路である木立の間を抜けて、苑の西側に向います。木の根っこが大地に張っていて、車椅子では移動しにくいのですが、お父さんが頑張って操作して、車椅子は進みます。ガタガタと揺れるのが、よけいに冒険心を誘うようです。ともちゃんは揺れに大喜びしていました。宮柊二の歌碑のところまで行き、引き返しました。今度は藤棚のある方に向いました。通路を覆う藤の枝がかなり下まで垂れていて、車椅子の日傘を擦ります。ともちゃんにとってはジャングル探検です。藤の花が咲く頃にくればそれは見事な光景でしょう。こちらの道も菖蒲池のところで引返しました。

 ともちゃんが回ったエリアは椿、藤、菖蒲のエリアです。残念ながら、いずれも花の季節を外れていたので、華やかさはありませんでしたが、代りに長い歴史が育んだ濃い緑色の自然を満喫しました。散歩途中、ともちゃんの車椅子の前を、黒くて長い蛇がしゅるしゅると横切って行きました。お父さんにはしっかりと見えたのですが、お母さんが見た時はもう去っていました。ともちゃんはどうだったのでしょう。「蛇さんが前を通ったん、見てたか。」と聞いても、ともちゃんはへらへら笑っています。

 お散歩を楽しんだ後はお土産です。3年前にも訪れたお土産屋さんに行きました。まず雑貨小物がいっぱい並んだ棚のほうへ行って品定めです。そこで、お父さんと、五重塔の形をした、いかにも奈良という金属製キーホルダーを選びました。隣のコーナーにはご当地キティちゃんもいます。奈良ではキティちゃんはもちろん鹿の被り物を着ていました。小さなぬいぐるみは最後の1個がちゃんと残っていて、ともちゃんのものになりました。

 奈良からともちゃんの家までは、高速道路を使うとあっという間に着いてしまいます。その短い時間の間にも、ともちゃんは短い昼寝をして、お出かけの予定は無事終了しました。お出かけで満足、気分も爽快。後は疲れを残さないように、ゆっくりと過ごして、29日の登校日に備えて欲しいです。

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2003年8月31日(日)

明日から新学期、8月も今日でおしまいというのに、厳しい残暑です。でも、そのお陰でともちゃんの体調は絶好調、お出かけの季節はまだまだ続きます。恒例の「子供は宿題で忙しい夏休み最後の日曜日」(だから道路は空いている)のお出かけは、「堺・緑のミュージアム ハーベストの丘」に決定です。近畿の植物園シリーズはひとまず終了して、今度は農業公園を訪れてみました。

 ハーベストの丘は低い山の斜面に作られています。高速を下りて片側1車線の狭い府道を行き、「ハーベストの丘前」の交差点を真新しい道路へと左折すると、右手前方の斜面に明るい色の建物群が見えます。この新しい道路はハーベストの丘に行くための道路のようで、左手に駐車場が見えるとその先は行止り。駐車場から園内へと道路を越える歩道橋のすぐ側にある車椅子スペースに車を止めました。

 焼付く日差しの下、入口ゲート付近の花壇や噴水、明るい茶色の建物が鮮やかです。お土産屋さんもいくつもあって、帰りのお土産選びが楽しそうです。さあ、園内はどんなところでしょう。園内地図を確認し、飲食店や体験館の間を抜け、芝滑りゲレンデの歓声の横を通って、吊橋を目指します。

 実を言うと、お母さんは農業公園へのお出かけは気が進みませんでした。農業公園というと、ソーセージ作り、パン作りなどの体験教室と、牧場エリア、自然の中で子供が遊ぶエリアで構成されているというイメージがあるからです。通常の食事は取れず、おまけに食物アレルギーがあるので食材にも注意が必要、アレルギーのために動物は苦手、走り回って遊ぶこともないというともちゃんには、全く縁がないところだと思っていました。

 TVでハーベストの丘のCM「のんびりんぐ、のんびりんぐ、家族みんなでのんびりんぐ・・・」が流れると、「どんびりんぐ、どんびりんぐ・・・」と替歌にしていたお父さんが、「まあ試しに行ってみようや。」と言うので、今回のお出かけ先になりました。お母さんとしては、ともちゃんの散歩が楽しくできるかということが気になっていました。

 写真で見た深い谷に架かる長い吊橋は本格的な造りなので、車椅子で安全に渡れるかどうか不安でした。悪路でタイヤを取られたとき、坂道で上体が傾いたとき、車椅子のバランスが崩れてヒヤッとした感覚を思い出します。車椅子の体勢を立直す精神的な余裕と物理的なスペースがあれば対処できるのですが、吊橋の上で車椅子のバランスが崩れたらと思うと、とてつもない恐怖に襲われます。

 問題の吊橋はワイヤーの手すりの内側にネットが張ってありました。お母さんが気になっていた踏板の継ぎ目の段差もなく走行はスムーズです。橋の途中で歩行者と車椅子がすれ違えるだけの幅もあります。「大丈夫そうやから、行ってみよか。」、お父さんが車椅子を押して、そろりそろりと吊橋へ踏出しました。橋のたもと付近はしっかり固定されているようで、揺れは全くありません。難なく渡り始めました。

 少し行くと、吊橋特有の大きな揺れを感じるようになりました。吊橋の揺れの周期と歩く周期は全く無関係なので、一歩足を下ろすごとに踏みしめるはずの踏板が思った位置より高かったり、低かったり、下から押上げられたり、沈み込んだりします。多くの人がそれぞれに踏板を踏むことによって吊橋に力を加えますから、吊橋の揺れはさらに複雑になります。

 ともちゃんも吊橋の揺れを感じていることでしょう。橋の中ほどで、反対側から来た人とも無事にすれ違いました。手すりを持ってゆっくりと渡っている人もいました。無事対岸に到着、ホッ。ここふれあい広場は動物がたくさんいるエリアで、動物園の臭いがします。右手では柵から首を出したラマがお出迎え、左手には馬が見えます。

 動物とふれあうことはできないけれど、毛が飛んでくるほどは近付かないで、動物を眺めましょう。シープハウスでは牧羊犬による羊の追込みショーの真っ最中でした。「ともちゃん、見てみ。羊を犬が追ってるで。」、あれあれ、ぶちの犬は仕事をしていますが、黒い犬は斜面に腰を下ろし、お尻を観客に向けて用足し中。ぶち犬が羊を追い込んで、羊がいなくなってしまってから、黒犬はようやく動き出し、申し訳程度に羊がいなくなった場所をウロウロしていました。

 ともちゃんのミルクの注入は、テラス席のあるレストランで行いました。猛暑対策のため、車椅子の枕の部分に保冷材(デパートの地下食品街でくれる小さいもの)を敷き、日傘を差して園内を来ましたが、日陰に座ってミルクを飲むと生返った心地がしたでしょう。車椅子を押していたお父さんもアイスコーヒーとソーセージで、お母さんはかき氷とハーブ鶏で生返りました。

 後半はコスモスのお花畑と菜園の作られた丘陵の斜面を下まで下り、吊橋で渡った小川の下流を普通の橋で渡りました。車で来るときに見えていた斜面です。コスモスは少しだけ花が咲いていて、見ごろにはまだ早いようです。菜園にはなすび、とうもろこし、サツマイモなどともちゃんも食べている野菜が植えられていました。暑くても、ともちゃんはニコニコとお散歩を楽しんでいます。

 小川を渡ると左手にゴーカートのコースが現れました。斜面の底まで下っているので、今度は再び吊橋のところまで、坂道を上ります。お父さんは汗びっしょりです。ポッポッポと音が聞こえてきて、前方からハーベストトレイン(タイヤで走る汽車型の乗物)がゆっくりとやって来ました。車椅子を道の脇に寄せて、すれ違いました。ともちゃんは園内の端から端までお散歩したことになります。

 お楽しみのお土産選びは雑貨屋さんで香りのついたテディベアのストラップを買いました。誕生月によって色違い、香り違いの熊がいました。ともちゃんの7月は真っ白で足の裏だけが黄緑の熊で、ゆりの香りでした。ピンク色で可愛い熊はコスモスの香りですが、別の誕生月です。どっちにしようと迷ったあげく、「今日はコスモスを見たしな。」、「ともちゃんはコスモスっ子やしな(赤ちゃんの時に通っていた保育所がコスモス共同保育所という名前なので)。」などと理屈を付けて、ピンクの熊を買いました。

 お姉ちゃんのお土産にソーセージを買いに入ったお店で、牧場限定、牛の着ぐるみを着てミルク缶を持ったキティちゃんを発見。ここでご当地キティちゃんに会えるとはびっくりでした。でも、ともちゃんって得やねえ。しっかり牧場キティちゃんのぬいぐるみも買ってもらいました。入場ゲートの外のカフェテリアで水分の注入を済ませて、ハーベストの丘を後にしました。

 農業公園はともちゃんのお出かけ先にはちょっと不向きかなあと心配していたお母さんの考えは見事に裏切られました。予想以上にお散歩コースは広く起伏に富んでいて、ともちゃんも両親も、お散歩、ミルクの注入、お土産のお買物とたっぷりと楽しみました。実りの秋、「農業公園のお散歩も面白いよ。」というわけで、今後近隣の農業公園へのお出かけがシリーズ化されることになりました。

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2003年9月7日(日)

夏休み気分が抜けないともちゃん一家は、今年2度目となる四国を目指してのお出かけをしました。今回は徳島県、四国八十八ヶ所巡りの第一番札所、霊山寺でお遍路さんをします。香川県に讃岐うどんを食べに出かけて以来、家族揃ってすっかり四国が気に入っていて、道路が空く時期にもう一度訪れようと計画していました。

 夜間の呼吸管理があるために宿泊旅行がままならないともちゃんにとっては、日帰りとはいえ一家揃っての家族旅行なので、昨日からお菓子やらペットボトル飲料やらをたくさん買込んで、家族中みんなが浮かれています。ともちゃんもお父さんやお姉ちゃんと「なあん、なあん」とお話をして、今日のお出かけのことを聞かされていました。

 ともちゃんの行動を見ていると、本当に言葉を理解しているのではないかと思わずにはいられません(ともちゃんの脳の損傷の程度を考えると言葉自体を理解することはできませんから、本当は雰囲気や相手の感情を感じ取っているのでしょう)。昨日からともちゃんも浮かれていたことは当然としても、今朝は一家で寝坊(早起きのともちゃんの家では5時半起きでも大変な寝坊です)してしまったのに、お粥を45分で食べるという早業でカバーしてくれました。明らかに気持ちが積極的になっているのが分ります。

 朝早く出発して、道が空いていれば、四国に渡るまで2時間です。明石海峡大橋はもう何度も渡っています。淡路島もともちゃんにはおなじみです。「ともちゃんのよう知ってる淡路島の海やで。」、それでも海が見えると不思議とはしゃいでしまいます。ともちゃんもニコニコ嬉しそうです。大鳴門橋は3度目の通行ですが、今回は特にきれいなグルグル渦巻きの渦潮が見えました。

 高松自動車道を板野インターチェンジで下りて県道(鳴門池田線)に入ると、「第一番札所」や「第二番札所」などと大きく書かれたお遍路さん向けの道路案内表示がいくつも出ていました。この辺りには第1番から第7番までの札所が集中していて、ほとんどがこの県道に沿って点在しています。お遍路さんが歩いていると絵になるようなのどかな田園風景の県道を霊山寺へと向いました。さすがに炎天下では歩き遍路さんには出会いませんでしたが・・・

 第二番札所を通り過ぎて、一番札所のすぐ手前の巡礼用品屋さんの駐車場に入りました。ここでは、お遍路さん装束一式を売っています。お遍路さんの格好をしたマネキン人形が見本を示して立っています。巡礼バスツアーのお客さんも、ここで装束を購入してそのまま服の上に着用して、お参りへと出かけて行きました。ともちゃんもお遍路さんグッズで身支度を整えてからお参りしましょう。

 ともちゃんは、菅笠と持鈴と腕輪数珠(ピンク色で巳年生厄除け御本尊入り)を買いました。車椅子の枕に頭を置いて、枕ごと菅笠をかぶると、ともちゃんの小さな頭にはちょうどぴったりです。持鈴は車椅子の(短く縮めた)注入用のポールの先に取付けました。数珠を腕にはめて、小さな車椅子お遍路さんの出来上り、とってもよく似合っています(菅笠は梵字を前にするのだと後で教えてもらいましたが、前後が逆なのはご愛嬌です)。

 持鈴は揺れるたびにチリーンチリーンとよく澄んだ音が響きます。ともちゃんは鈴が鳴るたびに笑顔がこぼれます。霊山寺と書かれた提灯の下、お遍路さん装束のマネキン人形もいる記念撮影スポットでともちゃんも撮影を済ませて、境内へと進みます。

 門を入るといきなり短い階段がありました。よく見ると、左側に回ると階段を避けて通れることが分るのですが、わざわざ「車椅子の方は左側よりお通り下さい。」と書かれていることに好感が持てます。車椅子でお参りされるお年寄も多いのでしょうか。本当は巡拝作法があって、口をすすいだり、手を洗ったりするそうですが、ともちゃんは省略させていただいて、本堂へ進みました。

 本堂には階段があるので、お姉ちゃんが代わってお灯明をあげました。蝋燭には一本に一つづつ「お願い事」が書かれています。お姉ちゃんは自分のを選んでから「ともちゃんは何がいい。『身体健全』か? 『病気平癒』とは違うやんな。」ともちゃんは身体に障害がありますから、既に「全てが健やか」ではありません。でも、残っている全ての身体機能全部が、もちろん内蔵も脳も、これからずっとずっと長い間健やかであることを願ってお祈りしました。

 ミルクの注入は門前のうどん屋さんで行いました。こじんまりした店内ですが、まだ11時前なので空いています。ここは讃岐うどんという看板を掲げている訳でもなく徳島の普通のうどん屋さんでしたが、麺にはやはりコシがあって、醤油色をした汁は昆布だしが効いていて、関西のうどんとは一味違っていてとてもおいしく頂きました。生卵が入ったうどんを食べるのが主な目的でついてきたお姉ちゃんも大満足でした。

 12時前にさっさと帰路に着くのがともちゃん流です。帰りの水分補給は淡路島南パーキングエリアで行う予定でした。しかし、ともちゃんは四国を離れる頃には目が細くなってきていました。「ともちゃん、寝そうやから、寝てたら淡路島南はパスして。」お母さんは小声でお父さんに囁いたのですが、地獄耳のともちゃんは聞きのがしません。このあとは寝るものかとしっかり目を開けていました。

 しかし、ミルクの注入終了から1時間以上経っていないために、淡路島南は結局パスして、水分補給に立ち寄ったのは明石海峡大橋手前の淡路サービスエリアでした。ともちゃんがスナックコーナーで水分注入している間、お姉ちゃんは広いお土産コーナーを見てまわって報告です。「ともちゃん、明石のたこベビーキティちゃんがおるで。めっちゃおっきいのもおるけど、非売品って書いてあったわ。」、ともちゃんは霊山寺門前のお土産屋さんで既にお遍路さんキティのタオルを買っていましたが、お父さんにたこベビーキティのぬいぐるみLを買ってもらいました。

 四国八十八ヶ所巡礼といえば、ともちゃんのお祖母ちゃんも一昨年から昨年にかけて、バスツアーで巡っていました。後日、電話でともちゃんも第一番札所霊山寺まで行ってきたことを話しました。電話口でオーオーと言うともちゃんに、お祖母ちゃんは「ともちゃんは今から(八十八ヶ所巡礼に)行ってたら、ちょっとずつでも、お婆さんになるまでには全部巡れるなあ。」と言ってくれました。

 札所は辺境の地にもあるので、実際にはともちゃんが八十八ヶ所全部巡ることは難しいでしょう。でも、全部巡った最後にお参りする高野山には、もう既に昨年の夏行っています。この辺がともちゃん流・・・かな。

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2003年9月15日(火)

今年の秋のお出かけの目玉は農業公園。2回目の今日は、神崎農村公園ヨーデルの森でチューチュートレイン(タイヤの車輪を持つ汽車型の動力車が客車を引っ張る乗物)に初めて乗りました。

 例年にない残暑のお陰で、ともちゃんの体調はいまだ絶好調が続いています。しかし中国自動車道から播但連絡道へと走る車の窓から見える田んぼの稲穂は、僅かながら、でも確実に黄色くなっていました。田んぼだけを見ていても気付かないのですが、畦道の雑草の青々とした緑色と比べると、黄色味を帯びているのがよく分りました。実りの秋はもうすぐそこに近付いています。

 黄色のセンターラインで片側一車線の自動車専用道、播但連絡道を中国山地に向って走ります。路肩が広くなって「チェーン着脱所」と書かれた場所があるので、冬は雪深いのでしょう。しばらく行くと雪除けのトンネルもありました。両側の田園も狭くなり、針葉樹の山肌が迫ってきます。「ここまで来たら農村公園と言うより、山村公園やな。」、本当にヨーデルの「森」です。随分と遠くまでやって来たような気がします。

 ヨーデルの森は、山と山が左右から迫る谷間にありました。この狭い谷間に播但連絡道と国道が並行して走り、その真ん中にヨーデルの森があります。駐車場には既にたくさんの車が止っており、小さな子供を連れた家族連れがぞろぞろと入場ゲートに歩いていきます。お母さんはすっかり気もそぞろ、ともちゃんも早く車椅子に乗換えましょう。

 大阪では暑い暑いと思っていましたが、さすがにここまで来るとひんやりと涼しく、空気が爽やかです。半袖Tシャツ1枚、半ズボンのともちゃんは、ちょっと寒く感じるかもしれません。タオルケットを掛けて行くことにしました。ゲートを抜けたら、まずは腹ごしらえ(ミルクの注入)から。水辺のテラスのファーストフード店に行きたかったのですが、水辺に下りるのに階段があったので諦め、豆腐工房の前のテラス席に着きました。

 杉木立の濃い緑を眺め、森林浴をしながら注入をすると、ミルクの納り具合もいつもとは違います。タオルケットで包まれて、お父さんに抱っこされているともちゃんはご機嫌です。ちょっと悔しいのは、ともちゃんには大豆アレルギーがあるので、豆腐工房の前ですが「豆腐は食べないもーん。」ということでしょうか。ともちゃんのミルクの注入の間に、両親も食事をしました。ともちゃんの代りに、お母さんが豆腐ドーナツをとてもおいしくいただきました。もちろん、ともちゃんの口に入ることのないように注意しました。

 さて、南北に細長い園内のメイン通りを北に向って散歩します。左手には棚田を模したジャブジャブ池というのがあって、小さな子供たちが下着姿で元気に水遊びをしていました。ずぶ濡れで走り回っている子もいますが、ともちゃんはぶつからないように、濡れないように注意して進みましょう。右手に小さなストラックアウトのお店があるのを見て、小川の散歩道へと出ました。ここまで来ると、山の谷間を本物の小川が流れています。

 橋を渡って、園の西側斜面にあるコスモス畑を見に行きましょう。たくさんコスモスの苗が植えてあって、緑の葉が青々と茂っています。花の時期にはまだ少し早くてチラホラ咲きでしたが、様々な色のコスモスが見られました。坂道を登ってゆくと、チンチーンと鐘を鳴らして、後からチューチュートレインがゆっくりとやって来ました。

 のんびりと走る姿がとても楽しそうです。この坂道を登りきったゴーカートや乗馬があるエリアにチューチュートレインの乗降場があって、入園ゲート近くの乗場との間を往復しています。ともちゃんが乗降場に着く頃には、入園ゲートに向けてちょうど発車するでしょう。「ともちゃん、お母ちゃんとチューチュートレインに乗るか。お父ちゃんが車椅子と荷物を持って走って追っかけたるわ。」、「でも、大変やで。距離もかなりあるし、息切れるで。ともちゃんが先に着いたら、(車椅子がないので)座ることもでけへんし。」・・・

 チューチュートレインに乗せてあげたいけれど、車椅子があるのでやっぱり無理かなあと考えながら、両親は車椅子を押しながらゆるやかな坂道を登って行きました。動物ふれあい広場に差掛かりました。豚がゴロリと寝ています。羊は檻の近くにやって来て、ともちゃんに顔を見せてくれました。少し先にはチューチュートレインが停車しています。既にお客さんが乗込んでいますが、まだまだ座席は空いています。よく見ると、客車のドアの幅は折りたたんだ車椅子がぎりぎり通れそうです。

 車椅子も荷物も一緒に、ともちゃんとチューチュートレインに乗れたらいいなとお母さんは思いました。運転手さんを探して、車椅子も一緒に乗せてもいいかを尋ねてみました。嬉しいことに快く承諾してくださいました。運転手さんの言葉を聞いて、ともちゃんも思わずにっこり笑顔がこぼれます。ともちゃんにとっては、本当に久しぶりの園内(遊園地内やパーク内)の乗物です。ともちゃんも両親もわくわくします。

 さあ、乗込みましょう。2両目の後ろのほうが空いています。ともちゃんはお母さんに抱っこされて一番後ろの席に着きました。隣には吸引器とリュックサックを置いています。ともちゃんの一つ前の席にお父さんが座り、車椅子の座位保持部を横に、折りたたんだ台車部を膝に乗せました。さあ出発。登ってきた道をゆっくりと走り出しました。ともちゃんは移り行く景色、頬に感じる空気の流れにキョロキョロと顔を動かして、しばらくまわりを眺めては、ニコーッと笑顔を浮かべています。「チューチュートレイン乗ってんねん。おもしろいなあ。」・・・

 車体が長くて客車を2両も引いているのに、狭い道や曲り角もチューチュートレインは難なく軽やかに走行していきます。視線が高くなるので、来た道も新鮮な風景に見えます。心地よい振動が伝わってきて、ともちゃんの興味は尽きません。トレインはジャブジャブ池の反対側を通り、終点に着きました。予想外の楽しい時間を味わいました。何度もお礼を言って、チューチュートレインを後にしました。

 最後はお土産屋さん、かわいい動物の絵と「ヨーデルの森」の文字が書かれたカウベルがいくつか置かれていました。デザインやサイズが異なる3つの音色をともちゃんに聞いてもらいました。その中で、聞くとパアッと笑顔が溢れた一番お気に入りの物を買いました。動物の絵は、今日ここでともちゃんが見た羊の柄です。お母さんは、お土産屋さんの隣の産直野菜のマーケットで不揃いでも新鮮で格安のトマトをたくさん買って大満足でした。

 初めて通る播但連絡道ともお別れです。名残惜しいので、往路からちょっと注目していた播但道の小さなサービスエリア、市川サービスエリアに寄って水分補給をすることにしました。しかし、狭いスナックコーナーはちょうどお昼の混雑の時間で、中に入ることすらできない状態でした。残念ですがあっさりと諦めて、駐車場の車内で水分補給をして大阪への帰路を急ぎました。お出かけは、「ちょっとがっかり」もあるけれど、「とってもよかった」がいっぱいあるから楽しいもの。今日の「とってもよかった」の一番は、何と言っても、チューチュートレインでしょう。

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2003年9月21日(日)

台風がやって来て、一足飛びに季節は秋になりました。先週までは半袖のTシャツ1枚でお出かけしていたのに、今日は半袖Tシャツの上に長袖を2枚着ても寒そうです。ともちゃんは、目的地のフルーツフラワーパークに着いてから、お母さんが念のために持って来たフリースの上着を羽織りました。

 お父さんが会社の親睦行事で11月に神戸市立フルーツフラワーパークに行くと聞いたともちゃんは、それを出抜いてフルーツフラワーパークに行くぞと思い出発しました。「台風がもたらしている雨は東に移動して、今日は大阪以西は曇でしょう。」という天気予報を希望的に信じて神戸にお出かけしてきましたが、時々小雨がぱらついています。

 六甲山系の北側に位置するフルーツフラワーパークは、今までともちゃんが訪れた豊かな自然を満喫するための農業公園とは趣が異っています。駐車場の入り口で入場料金と駐車料金を一緒に支払って中に入るのですが、その料金ゲートからして立派なお城の造りです。駐車場のすぐ前には、「神戸おとぎの国」というミニ遊園地もあります。

 パークの中心部には中世ヨーロッパのお城を模した形の展示館、ホテル、バーデハウス(温泉)、音楽堂やバーベキュー場などの建物群があって、それらは回廊でロの字型につながっています。そして、その外側に様々な果樹園が広がり、季節ごとのフルーツ狩りができるようになっています。今の時期は梨狩りと栗拾いを催していました。「ちょっと、ここらで栗拾い」(NHK教育の「ピタゴラスイッチ」を見たことがある人には分りますよね)といきたいところですが、天気と時間の都合でともちゃんには無理そうです。

 駐車場から建物郡を目指して花壇の前を行く途中、総合案内所の前にチューチュートレイン(タイヤを持つ汽車型の動力車が客車を引く乗物)が止っているのを見つけました。ともちゃんはヨーデルの森でチューチュートレインに乗って以来、チーンチーンと鐘を鳴らしてゴトゴトゆれながら園内をゆっくり走るこの乗物が大好きになりました。これは絶対に乗りたいものです。

 発車まであと10分あります。他のお客さんはまだ誰も来ていません。運転手さんに断って、車椅子や酸素ボンベ、吸引器などのともちゃんお出かけグッズを客車に積込みました。ここのチューチュートレインは1両目の1番前の席が車椅子用で座席の前のスペースが広く取ってあったので、車椅子を折畳まずにそのまま乗せることができました。ともちゃんはお母さんに抱っこされて、座席に着きました。

 パーク内一周に出発進行。ともちゃんは移り変わる景色にキョロキョロしますが、冷たい風が顔に当って表情がこわばってしまいます。トレインは建物群の外周を回ってから、バーベキュー広場の横を通り、果樹園の方に向います。途中、近くの水田の黄色くなった稲穂が見えました。先週よりぐんと色付きが進んでいました。収穫の秋となるためには、気温が下がるのも仕方ないのかもしれません。

 チューチュートレインはガタンガタンと大きく揺れながら進んで行きます。ともちゃんはタオルケットに包まれてトレインに乗っている感触を感じてはいますが、風の冷たさに顔をしかめたり、咳込んだりに忙しくて、なかなかゆっくりと景色を楽しむことができません。トレインが果樹園を過ぎてパークの端っこにある牛舎までやって来るころになって、ニカーッと笑顔を浮かべました。ともちゃんは「チューチュートレイン乗ってるで。」と嬉しそうです。

 帰り道は往路の分まで十分に楽しむつもりだったのでしょう。けれど、今度はしゃっくりの攻撃にあって、ともちゃんは落着いていられません。15分かかって園内を一周してトレインが止ってから、吸引をしてしゃっくりを止めました(ともちゃんのしゃっくりは吸引器で吸引をすると止ります)。しゃっくりが止ったとたん、爛々と輝かせた目でお母さんに訴えてきます。「もう一周乗りたいよ。」、でも、もうミルクの時間なので、残念ですがこれでおしまいです。

 お城の回廊を進んで行くと、向うから楽しそうな人たちがやって来ました。あれあれ、黄色くて細長い顔をした人と、赤くてまあるい顔をした人、いったい誰でしょう。そう、着ぐるみの顔を付けたバナナさんとリンゴさんです。車椅子上のともちゃんを見つけて、顔を覗込んで、あいさつをしてくれました。ともちゃんは最初はきょとんとしていましたが、一緒に写真撮影をすると、両側にバナナさんとリンゴさんがいるのが嬉しくて、ギャハハハと大笑いをしていました。

 ミルクの注入はフルーツフラワー館で行いました。この中に飲食店があるだろうと思って入ったのですが、はずれ。係の人にミルクの注入をしてもいい場所を尋ねて、この館の1階の大きな鳥のオブジェの前の椅子で注入させてもらいました。本来は押し花教室の会場らしいのですが、このときは何も開催していなかったので、特別に許可して頂きました。室内で腰を下ろすと、ほっと落着きます。

 せっかく来館したのだから、2階の展示も見ておきましょう。大きくて立派な外観の割には、展示品は少な目でした。大きな収穫祭の壁画と果物についてのパネル展示を食後のお散歩がてら、見て回りました。今日のように肌寒くて小雨も降るときには、屋内に展示があるのはとてもありがたく思います。

 回廊をぐるっと回って入口横のお土産屋さんに向う途中、ワイン・ビール館には何があるのだろう、温室にはどんな花が咲いているのだろうと中に入ってみたくなります。けれども、ともちゃんはもう帰る時間が迫っています。残る楽しみはお買物、お土産屋さんの店内をお父さんと見て回りました。チューチュートレインの中から牛を見たともちゃんはまず神戸牛キティちゃんのタオルを選び、それからバラの香りのするピンク色のテディベアのキーホルダーを買いました。

 今日のお出かけは予想以上の寒さと小雨という悪い天候条件でしたが、フルーツフラワーパークが建物群のある農業公園だったので助かりました。園内も(屋根のある)チューチュートレインで回ることができて、よかったです。チューチュートレインに乗れて楽しかったというだけではなくて、この天候ではとても車椅子での屋外のお散歩は無理だったでしょう。このまま一足飛びにストンと秋になってしまうと、ともちゃんの冬籠りの季節到来です。また残暑に戻って、ゆっくりと秋になって欲しいなあと、夏娘のともちゃんは願っています。

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2003年9月28日(日)

秋晴れの行楽日和の今日は、今シーズン最後の遠出、淡路島の「淡路ファームパーク イングランドの丘」に出かけました。朝から意欲的なともちゃんは、車に乗込むと「ええか、出発するで。」の声に「ホン」と勇ましく答えました。

 すっかりおなじみになった明石海峡大橋ですが、毎回、高まる期待感を胸に淡路島へと渡り、充足感に満されて戻ります。張切った後少し休憩していたともちゃんも、明石海峡大橋を渡るころから目を爛々と輝かせて、表情が豊かになってきました。今日の海峡は曇っていますが、所々とても小さな領域に日が射しているのでしょう。灰色の磨りガラスのような海面の一部に、銀色のビーズを明りの下でぶちまけたように細かい波頭がキラキラと輝く領域が見えます。

 淡路島を走っていると再び青空が現れました。今までも、淡路鳴門自動車道には観光バスが多かったのですが、今日は一段とたくさん見かけます。淡路島の田んぼは畦に真っ赤な彼岸花が咲乱れて、すっかり秋の装いでした。稲刈りが済んでいるところも少なくありません。刈取られた稲が束ねられて、田んぼの中で互いにもたれ合うように立てかけられて、干されていました。

 イングランドの丘は田園地帯にありました。駐車場のあるグリーンヒルエリアからイギリスの湖水地方を模した湖があるイングランドエリアまでは少し距離があるので、無人自動走行システムのバスIMTSが無料運行しています。ともちゃんは見学時間に限りがあるのでグリーンヒルエリアには寄らず、早速イングランドエリアに向かいました。バスはひっきりなしにやってきます。車椅子が乗込めるようにスロープを架けてもらって、車椅子に乗ったまま運転席のすぐ後ろに納りました。

 運転席はと見ると、何と大きなぬいぐるみのコアラが座っています。「コアラさんがバスを運転してるわ。」、車椅子上のともちゃんは嬉しくて、満面の笑顔で大きな口を開けてニコニコしています。2~3分でイングランド駅につくまでの間、ともちゃんはコアラの運転席の後ろでバスを楽しみました。「でもな、コアラさん、手を広げたままで、ハンドル持ってなかったで。ハンドル持ってないのに、ハンドルが勝手に回ってハンドル切れるねんで。ちょっと怪しいなあ。」・・・

 グリーンヒルエリアにはコアラ館があって、本物のコアラが飼育展示されています。それで、コアラはイングランドの丘のシンボルでもあるのです。それにしてもと、ともちゃんは思っているかもしれません。「こんなコアラさんが居ったら、うちの車に来てもろて運転してもうたら、お父さんも私の隣の席に来てゆっくりしながら帰れるのに。」、コアラのぬいぐるみが盗まれないように(乗客にいたずらされないようにかな?)、運転席は透明なアクリルボードで囲われていて、中には入れないようになっていました。

 少し遅くなったので、急いでミルクの注入をしましょう。ともちゃんもお腹が減ったでしょう。イングランドエリアに入ったところに食べ物工房が集っていて、屋外にテーブルと椅子がたくさん置かれています。パラソルの下に陣取って注入を始めました。近くに子供用の100円乗物があって、時々音楽が聞こえます。注入中のともちゃんは音楽が鳴ると喜んで笑っています。

 ともちゃんの注入の間に両親もソーセージやピザを買ってきて、ともちゃんの邪魔にならないようにして食べました。目の前にパン工房があって、このエリアに入って来る人が次々に大きなパンを買って行きます。お母さんも焼きたての栗パンをその場で食べるつもりで買いましたが、切れ目は入っておらず、ともちゃんの顔くらいあるパンにその場でかぶりつくのはちょっとはばかられるので、お土産にしました。

 石窯で焼いたという栗パンは帰ってからお姉ちゃんも一緒に食べましたが、冷めてもとてもおいしかったです。お土産にするのなら、普通は帰りに買うはずなのに、みんなイングランドエリアに入って来るなり買っていきます。とてもおいしいので、みんなが帰る夕方になったら売切れてしまうのでしょうか。ちょっと謎です。

 食後は湖の周りにある遊歩道を車椅子で散歩しました。このイングランド湖水地方風の景観こそが、イングランドの丘の名前の由来になっているのでしょう。湖には本当の湖水地方にもあるナローボート(幅が狭めの小型客船)が浮かんでいます。足こぎスワンのボートも同じ湖にあるのですが、湖面をロープで区切って、ナローボートと足こぎスワンがぶつからないようにそれぞれの領域分けをしてありました。CMに出てくる足こぎスワンの爆走を思出して、なるほどと納得しました。

 ともちゃんは湖に向って右側の動物のいるエリアから回りました。羊と書かれた檻の横からワンワンと犬の声がしています。ここでも羊の追込みショーがあるようです。湖水に架かる橋を渡って左側の岸に出ると、そこには菜園が広がっていて、今はさつま芋堀り体験を実施中でした。そういうところは(イングランドではなく)やっぱり愛すべき日本です。

 ほとんどの人たちは、ここから遊びの広場の方に流れていきます。でも、ともちゃんは湖の遠端にあるイングランドの石造りのお城の塔のようなモニュメントを目指します。しばらくは湖は木々に隠れていますが、車椅子で揺られて行くともちゃんはごきげんでした。石造りの塔、農業公園の端までやって来ました。ここまで来る人はあまりいません。ここで湖は途切れていて、ぐるりと周回することができますが、その先にはまだ水草のたくさん浮く自然の湖が続いていました。

 対岸を戻りましょう。こちら側は水際に道が続きます。柵はあるのですが、脱輪しないように、転ばないように注意しながら進みます。木が水辺に張出して生えているところはぶつからないように潜り、柵の下に本物のアヒルがいるのを見た後、広い道に出ました。ここで出会ったのがユメハッチ号です。ユメハッチ号は蜂の形をした動力車が客車を引くチューチュートレインのような乗物で、淡路花博で活躍していたものを移設したそうです。

 今回、ともちゃんはすでにコアラのバスに乗っているので、ユメハッチ号には乗らずに車椅子でお散歩しました。「淡路島の蜂は苦手やもんなー。」、実際、ともちゃんはあわじハイウェイオアシスや兵庫県立淡路島公園で蜂の多さに早々に退散するという目に合い、今日も駐車場で車の中に蜂が入ってきてそっと出て行ってもらったという事件が起っています。ユメハッチ君には何の恨みもありませんが、蜂はもうこりごりです。

 淡路島の南までやって来た上に、車椅子で園内一周散歩までやってのけたものですから、すっかり時間が経ってしまいました。急いで入ったお土産屋さんで、ともちゃんはカウベルを見つけました。ヨーデルの森でともちゃんが気に入ったものと全く同じもので、「イングランドの丘」と書かれています。この秋、農業公園めぐりをしているともちゃんとしては、ぜひ「ヨーデルの森」、「イングランドの丘」と揃えたいものです。コアラのバスに乗ったので、コアラの柄を選んで買いました。

 「コアラのバス、面白かったな。でも、ちょっと怪しかったなあ。」、「楽しかったな。またお出かけしよな。」とたくさんの思い出と満足感に浸りながら、明石海峡大橋を戻りました。けれども、お母さんには一つ反省があります。イングランドの丘に着いて、駐車場でともちゃんの紙おむつを交換してズボンを履かせていた時に、ともちゃんの頭が座席の下にずり落ちてしまいました。

 ともちゃんがおむつ交換の時には、いつも頭の下に岡山で買った桃太郎クッションを敷いているのですが、今日はクッションの端っこのほうにともちゃんの頭がありました。その時にすぐ置直せばよかったのですが、ずっと見ているし、すぐ終るしと思いながら、そのまま作業を続けていました。その時、イングランドの丘の園内放送が聞こえて、お母さんはそちらに気を取られてしまいました。

 車の外のお父さんの方を見てしゃべりかけようとした時、お父さんが「あっ、ともちゃん、拾ろたろ。」と叫んで、ドアを開けました。ともちゃんは、下半身を後部座席に残し、上半身が座席の下にずり落ちていました。座席の下には吸引器が置かれていて落差は30cmほどで、吸引器がキルティングの袋で覆われていたことは幸いでした。助け上げられたともちゃんは、びっくりしたのと狭い場所に頭が落込んで動かせなかったことに緊張したのとで、引きつった顔で泣き笑いをしていました。

 大事に至らず、ほっとしました。しかし、大きな事故の前には、小さいミスが何倍も生じていると言われています。お出かけは両親にとっても楽しいものですが、自分自身が呆けてしまわないで、十分に注意したいものだと身を引締めました。

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2003年10月4日(土)

2学期最初の学校行事、運動会に向けてともちゃんはとても張切っています。夏休み最後の登校日では、昨年の運動会のビデオを見て、その後のミルクの注入の時に先生やお母さんと昨年の運動会の話をしました。それ以来、ともちゃんの学校での気分はすっかり運動会に染まっています。今年も元気で運動会に向けてがんばるぞという感じです。

 ともちゃんが出場する種目は「100%君ならできるはず?」という中学部全員で行う演技です。2つのパートからなり、前半はアニメ「忍たま乱太郎」のオープニングテーマに乗って、みんなでパラバルーンを上げたり下げたりします。後半は、バルーンを置いて「君ならできるはーずー、君ならできるはーずー」(タイトルは?)の歌に合せてダンスをします。

 ともちゃんは早く運動会の練習に参加したいと思っていたので、ミルクの注入の後、初めて練習に参加できたときは大喜びをしていました。2年生全員でピンクのバルーンの端を持って(ともちゃんの場合は車椅子を押してくださる先生が端を持って)動かしたのですが、バルーンがフワフワと大きく膨らんで浮上がった時は、特にワーッと楽しそうに笑っていました。それ以後の練習でも、目の前でゆっくりと動くバルーンは、ともちゃんのお気に入りです。

 予行演習も、ちょっとしんどかったのに頑張りました。演技中、緊張が強く笑顔が出ないなあと思っていたら、演技終了後に運動場の隅に引上げた途端、全身がガクガクとなる大きなけいれん発作が起ってしまいました。「演技中はしんどかったけれど、頑張ってこらえていたんやね。偉かったね。」と、先生やお母さんにうんとほめて貰いました。

 さて、今日はいよいよ運動会本番。ともちゃんは運動会なのがよく分っているかのように、朝から張切っています。今週は隔日に登校もできて、学校でも家でも「もうすぐ運動会。楽しみやねえ。」という気分を高めていったのですが、こんなともちゃんを見ると本当に周りの雰囲気をよく感じ取っているなあと感心します。今朝は脳がとても活性化しているようです。興奮していて緊張が強く、足をピンピン突っ張っています。軽い硬直のけいれん発作が何回も見られます。

 「足突っ張って緊張してたら、ご飯(お粥ペースト)食べられへんやんか。リラックス、リラックス。身体柔柔(やわやわ)しいや。」となだめられながらも、ハフハフとたくさんの空気を一緒に飲込みながら、ともちゃんは比較的早いペースで朝の予定を終えました。お父さんのビデオも、お母さんのカメラも、準備万端です。外は運動会日和の晴天です。でも、それだけに朝の気温は低く、ともちゃんは長袖の校内服(学校指定のジャージの上下)の上にフリースの上着を羽織って、お父さんの車に乗込みました。

 「遅刻をしても、10時半のともちゃんの出番までには登校します。」と先生にお話していたのですが、ともちゃんの朝の頑張りと、お父さんの手助けのお陰で、思っていた以上に早く登校することができました。久しぶりに、みんなと一緒に朝の会に参加しました。ともちゃんは、嬉しくて仕方がありません。終始ニコニコしています。特に先生が「今日はクラス全員が揃って、嬉しいです。」とおっしゃった時には、「私も参加できて嬉しいねん。」というように大きな口を開けて笑っていました。

 運動会には開会式から出場できます。運動会は一応紅白に分かれて競っているので、赤組のともちゃんはみんなと一緒にグラウンドの端の赤組のテントの中で待機しています。時々先生やお友達の話しかけに応じて笑顔を見せ、左足をぴんぴん突っ張っていました。高等部の生徒が入場行進のための行進曲の器楽演奏を始めました。ドーンドーンと太鼓のリズムが響き、「ヤングマン(YMCA)」のメロディーが流れると、わくわく感が高まります。ともちゃんも嬉しくてたまらない様子で、入場してきました。

 日陰では空気がひんやりと感じられたので、ともちゃんは開会式にも上着を羽織っていきました。けれども、雲一つない空から降注ぐ太陽光線はジリジリと肌を焼き、暑くて汗が噴出してきます。今日はバルーンの動きがよく分かるように日よけや日傘は使用せず、ともちゃんは帽子を被って参加しているので、余計に暑くなってきたでしょう。開会式の間に、ともちゃんは羽織っていたフリースの上着を脱がせてもらいました。先生と視線が合った観客席のお母さんは「すみません。脱がせていただいて、ありがとうございます。」と手を合せてブロックサインを送りました。

 開会式の最後に赤組白組のエール交換がありました。にぎやかなこがと大好きなともちゃんには、思いがけない喜びです。昨年までは、応援合戦は昼食休憩後にあったので、ともちゃんはミルクの注入をしていて参加できなかったものです。ともちゃんは大太鼓の迫力のある音に合わせて、目の前で先生に赤色のポンポンを振ってもらうと、満面の笑顔でギャハギャハと大喜びをしていました。

 朝早くから張切って、朝の会、開会式、エール交換に参加してはしゃぎまわったので、興奮がともちゃんの容量を超えてしまったのでしょうか。中学部の演技「100%君ならできるはず?」では、入場してきた時からともちゃんは筋緊張が強く、腕をW字の形に硬直させて、身体のねじれがきつくなっていました。表情も強張っていて、あんなに好きだったバルーンの動きにも反応していません。後半のダンスでも、やさしい3年生のSさんに手を繋いで貰っても、先生にリズミカルに車椅子を動かしてもらっても、それを楽しむ余裕はありませんでした。

 お母さんは、この後大きなけいれん発作が起らないか心配しました。でも幸いなことに、ミルクの注入のためにグラウンドのみんなと別れて教室に入ってしばらくすると、ともちゃんの緊張が緩んできて穏やかな笑顔が現れました。落着いたともちゃんは、グラウンドから聞こえてくる運動会の音楽や歓声を聞きながら、ミルクの注入を行いました。再び外の運動会の雰囲気を楽しんで、笑顔を見せていました。

 今日は、練習の時に比べて長時間運動会に参加できたし、楽しい経験もたくさんできました。ともちゃんは満足そうにしています。途中、疲れてしまって演技が楽しめなかったのは残念だったけれど、演技は練習の時に十分楽しんだものね。初めて紅白エール交換に参加できたのはよかったね。太鼓の音って、聞くとわくわくするよね。今日は長い時間、本当によく頑張ったね。みんなはお昼休みの後、午後からも競技があるけれど、ともちゃんは一足先に家に帰りましょう。興奮を鎮めて、ゆっくりと休養しようね。

 10月24日の後日談です。運動会以来の急激な秋の訪れに体調が優れないともちゃんは、登校もお出かけもできず家で静養しています。ずうっと家にいるのでつまらない時は、運動会のビデオを流してもらって気を紛らわしています。昨夜遅く東京出張から帰ってきたお父さんが、東京駅のNHKキャラクターショップでお土産に「忍たま乱太郎」のおしげちゃんのぬいぐるみを買ってきてくれました。

 ともちゃんは昨夜は痰が多くて眠りが浅く、朝はおしげちゃんを見ても元気がありませんでした。しかし、何度も吸引をして、朝食が終る頃にはおしげちゃんを見てニコニコ笑顔が出るようになりました。おしげちゃんを抱っこしたり、ほっぺたにスリスリしてもらったりしながら何度も運動会のビデオを見て、昼食は進まないもののとてもご機嫌で、表情も豊かに過ごしました。ともちゃんの名前はトモミ、おしげちゃんとは大の仲良しです。

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2003年11月2日(日)

運動会以来1ヶ月ぶりで、ともちゃんはお出かけをしました。秋真っ盛りの行き先は、神戸市立農業公園ワイン城です。先週末からようやく痰も少なくなり、食事も早いペースで食べられるようになって、お出かけするだけの時間的、体力的な余裕が戻ってきました。

 昨日は土曜日なのに、お父さんが会社の親睦会でフルーツフラワーパークに出かけてしまいました。お母さんと後に残ったともちゃんは、大きな声で「オーオー」(私も連れて行ってやー)と文句を言っていました。帰ってその話を聞いたお父さんが、「ともちゃんは、フルーツフラワーパークはもう先に行ったやろ。明日はワイン城に行こ。」と約束してくれたので、ともちゃんは大喜びで気合が入っています。

 しかし、ともちゃんの気分とは裏腹にお天気の方は曇り空です。おまけに、出発した途端に小雨まで降出し、その後は降ったり止んだりの空模様です。フルーツフラワーパークに行ったときのような肌寒い感じがないのが幸いです。今日はお姉ちゃんも一緒で、久しぶりに家族揃ってのお出かけとなりました。お姉ちゃんの「レストランで食事をしよ。」という提案で、ワイン城に到着するとすぐに曲りくねったスロープを上がりレストランを目指しました。

 レストランは開店したばかりなのでしょう、ともちゃん一家が一番乗りでした。窓際の席まで案内されてレストラン内を横切るときも、ともちゃんは嬉しくて仕方がないといった笑顔をして、興味深そうにキョロキョロと周りを見回していました。いつもは屋外のテーブルやサービスエリアのスナックコーナーなど明るく開放的な場所でミルクの注入を行っているので、レストランの室内の雰囲気が珍しいのでしょう。

 せっかくのレストランでの食事ですが、ともちゃんは全くいつもと変りなくミルクの注入を行いました。運ばれてきた両親やお姉ちゃんの食事を見て、匂いを嗅いでいたともちゃんはちょっとがっかりです。でも、周りのテーブルがお客で埋って賑やかになると、また華やいだ気分が戻ってきました。早く食べ終えたお父さんにもたれて、笑顔を振りまいたり、ちょっとはにかんだおすまし顔を見せたり、甘えています。

 レストランを出ると、食事中降っていた雨がうまい具合に上がっていました。ロの字型に配されているの建物の外側に出て、食後のお散歩を楽しみました。ブドウ畑を通って、展望台まで行って見ましょう。建物のある小高い場所からブドウ畑の方向に坂道を下ると、鶏小屋がありました。「これが、おネエがさっき食べた鶏やな。」と言うと、これがともちゃんには大うけで、ギャハハハハと大笑いしていました。

 ブドウ畑のブドウの木々に実は既になく、葉もすっかり枯れていました。ブドウの木の通路側には、柵代りなのか支柱代りなのか、様々な種類のバラの木が植えてあって、まれに1輪の花をつけている木がありました。咲いているバラの花を探しながら広大なぶどう園の横を行くのですが、ともちゃんはずっと上機嫌で、お姉ちゃんの話しかけによく笑って答えています。

 しばらく行くと陶芸館の先に満開のコスモス畑がありました。この秋の農業公園めぐりでは、どこを訪れてもコスモス畑がありました。ちらほら咲きの頃から始って、ここに来て満開です。コスモス畑を背景に写真を撮ろうとしたのですが、ほんの今までごきげんだったともちゃんの表情が固まっています。はしゃぎつかれたのでしょうか。しかし、サボテン温室ではまた元気復活。お父さんがサボテンにぶつかりそうになったのがおかしかったのか、ギャハギャハ笑っていました。

 今度は牛舎がありました。牛が見えます。「これが、お父(とお)がさっき食べたハンバーグやで。」と言うと、ハイテンションのともちゃんはやっぱり大笑い。展望台に到着しましたが、ピラミッド型の展望台には階段しかありません。それで、登るのは諦め、隣にあるバラ園を回って、来た道を戻りました。ゆったりと散歩ができました。曇り空でしたが、穏やかな気候で、和やかな時間を家族みんながともちゃんと共有しました。

 大人のお土産はワインですが、ともちゃんのお土産は何にしましょう。お土産屋さんには神戸限定の風見鶏キティグッズがありました。ともちゃんは鶏を見て大笑いしたことだし(風見鶏とは違うけれど)、これにしましょう。でも、残念ながらぬいぐるみはなくて、「ぬいぐるみはまた今度買ったるわな。」という約束で、風見鶏キティタオルを買いました。お姉ちゃんは、アフタヌーンティーのお菓子スコーンを買いました。

 ワイン売場に行くと試飲をしています。お母さんはブルーベリーなどのジュースとワインを混ぜたアルコール濃度の低いワインをおいしい、おいしいと飲んでますが、運転手のお父さんはともちゃんと一緒に後ろに下がって我慢です。その代り、お父さんには上等の辛口ワインをお土産に買いました。

 駐車場に向う途中で雨が降ってきましたが、お父さんが急いで車椅子を押して車の後部ドアの下に入ったので、ともちゃんは濡れずにすみました。なんとタイミングのよい雨でしょう。ともちゃんの散歩時間だけはちゃんと上がっていてくれました。後は車の中で水分補給をして帰るだけです。楽しかった余韻を残し、雨の中を帰路に着きました。

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2003年11月24日(月)

冬も間近となって、ぐんと寒くなってきました。ともちゃんのお出かけは、せめて少しでも暖かい地方にしようと、今日は和歌山城に行きました。ともちゃんは、お父さんのお休みごとにお出かけを期待していたので、本当にお出かけすると分ると、「アーー、アアーー」にこにこしながら喜びの声をあげています。

 阪和自動車道の両側の山肌の木々の紅葉も進んで、緑色の中に黄色や赤色が混ざっています。しかし、今年は日照不足で、紅葉の進み方が悪いのだそうです。本当なら、もっと色付いている葉が多いのでしょう。和歌山に向う途中も、時々「ナーン」と小さく声を出して話しかけていたともちゃんでしたが、和歌山市内に入ると目を輝かせて活発に活動し始めました。

 抱っこされたまま足をピンピン突っ張ってドアポケットに残っていた空缶をキック。「誰や、暴れん坊将軍してるのは。お父ちゃんには、なんか蹴ってるの分ってるで。」、そう、「暴れん坊将軍」徳川吉宗は、和歌山城の主、紀州徳川家の出身です。テレビの暴れん坊将軍は、ともちゃんが赤ちゃんの頃、お姉ちゃんが好きでよく見ていました。ともちゃんは現在、我家の暴れん坊将軍にして、甘えん坊将軍です。

 和歌山城の周りを1周、いや2周して、駐車場の様子を探りました。南側の駐車場は満車、北側の駐車場はバス専用、それ以外の駐車場に止めるとお城まで遠いしなあと3周目に南側の駐車場の前に来ると、入庫の順番を待って並んでいる車が3台、出庫する車が2台あります。結構、出入りがありそうです。ここに並んで待つことにしました。

 しかし、この後はしばらく出庫がなく、ともちゃんの車の後ろにも一台付きました。もうこのまま待つしかありません。どうせ待つのならと車内でともちゃんのミルクの注入を始めました。ミルクを入れたイルリガートル(経管栄養専用の厚手のビニール袋)は点滴吊下げ棒(棒の先がT字型になって、その端がクルリンと巻いてあるやつ)の先につけて、運転席の窓を開けて車の上に高くかざしました。閉切った車内から旗指物のようなものがにょっきりと出ていて、ちょっと不思議な光景です。

 イルリガートルは口を閉じているので、埃やごみがミルクの中へ入ることはありません。ミルクは高い位置から点滴のようにポタポタと落ち、チューブを通ってともちゃんの鼻腔から胃の中に落ちて行きます。点滴吊下げ棒は運転者席とドアの間に挟んでいるので、お父さんは問題なく運転できます。自動入場機のバーが上がって前の車が進むと、そろりそろりとこの状態で前進しました。

 ともちゃんのミルクの注入をしているので、あせることなく順番を待つことができました。ともちゃんの車の番が来てバーが上がると、旗指物を掲げたまま、ゆっくりと駐車場に進み、奥の駐車位置につけました。駐車場にはたくさんの人たちがうろうろしていますから、ともちゃんの旗指物が余計に目立っているように思えます。こちらを見て、指指してなにやら話している人がいるのをニヤニヤするような愉快な気持ちで車の中から眺めました。

 車を駐車した正面には天守閣への階段が続いています。ここを登るのは諦めて、お城の西側に回りました。大きな石を積んだ石垣を眺めながら行くと、この道は勘定門跡から観光バスの駐車場に出てしまうようです。砂之丸跡の公園を横切ると護国神社があるので、ここにも寄って行きましょう。散歩になってすぐは表情が硬かったともちゃんも、護国神社の参道を行く頃にはすっかり楽しくなっています。

 ここでは鳥の鳴き声がたくさん聞かれて、カラスの声につられてアァーと声を出したり、チュリチュリチュリと響くさえずりにニャハハと笑ったりしていました。階段があったので社殿にお参りすることはできませんでしたが、参道からは念願の天守閣がよく見えました。お城に来た気分にもっと浸ろうということで、追廻門をくぐりました。ともちゃんはすっかりお出かけ浮かれ気分でニコニコしています。

 次はお城の東側を攻めます。駐車場から東側に出ると、いきなり動物園が現れてびっくりしました。姫路城でも敷地内に動物園はありましたが、お城と一体化しているというのは予想外でした。アレルギーのあるともちゃんは水禽園、クマ舎、童話園と動物園の匂いと雰囲気だけを頂戴して、先へ急ぎます。この方向には二の丸庭園などがあるので、庭園を覗けるかもしれません。

 ところが、朝からの曇り空から、とうとう雨が降り出しました。午後から雨模様という予報が大当りです。急いで車椅子に屋根をセットして、ビニールの雨よけカバーですっぽりと覆いました。ともちゃんはカバーで覆われたことも楽しくて、ギャハハハとはしゃいで、足をピンピンしています。長くなったともちゃんの足がビニールカバーの裾を蹴上げるので、カバーが捲れてしまいます。「ピンピンしたら濡れてしまうで。」と言われながら、フリースのひざ掛けで下半身を包んで撤退です。ちょうど、このお城の地、虎伏山にちなんで建てられたと思われる伏虎の像の前でした。

 すっかり本降りになった高速道路をあせらず家路を目指します。水分補給休憩は岸和田サービスエリアのレストランで行いました。ともちゃんが着いたときは、運良く入口すぐ横の窓際の席が開いていましたが、すぐに満席となって10名、15名の団体が座席待ちをしています。スナックコーナーも混んでいたし、みんな3連休の最終日、雨の中帰路を急いでいるのでしょう。

 ともちゃんのもうひとつのお楽しみ、お土産を選びます。和歌山キティちゃんがあるでしょうか。それともここは岸和田なので、だんじりキティちゃんでしょうか。「あっ、たこキティさんやな。これはもう持ってるやんなあ。」と探していると、お母さんが「だんじりキティさんが鯨に乗ってる。」と叫びました。サービスエリアではおなじみの非売品の大きなキティのぬいぐるみです。ねじり鉢巻きをして半被を着たキティちゃんが鯨にしがみついています。

 あったのは紀州路鯨キティちゃん。「だんじりグッズ」の棚に並んでいたので、お母さんは勘違いをしましたが、鯨漁師のキティちゃんです。あれっ、でもお目当てのぬいぐるみがないよ。タオルやキーホルダー、ストラップの小物ばかりでしょうか。ありました、ありました。ワゴンの一番下のかごの目立たない場所に鯨キティちゃんのぬいぐるみがありました。早速お父さんに買ってもらって、ともちゃんも大満足でした。

 翌日のお話です。朝からの雨で学校はお休みしました。お出かけ疲れを癒すのにもちょうどいい休養日です。お母さんから「今日は鯨キティさんで遊ぼな。」と言われて楽しみにしていたのでしょう。ところが、お母さんが忙しくしていて、いっこうにキティちゃんを出してくれません。オーオーオーとともちゃんは大きな泣きそうな声で文句を言いました。「なに泣き声出してんのん。」、「・・・」、「キティさん遊びせえへんからか。」、「ホン」。「ごめん、ごめん」と枕元に鯨キティを初めキティちゃんをたくさん並べてもらって、ともちゃんはにっこり満足そう、キティちゃんに笑いかけていました。

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