ともちゃん の日常38


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2008年6月12日以前(ともちゃんの日常37へ)

2008年6月

15日(日)
「植物園」

2008年7月

7日(月)
「夏なのに体調不良」

20日(日)
「大津サービスエリア」

30日(水)
「歯科治療」

2008年8月

8日(金)
「デイセンターの夏祭」

11日(月)
「お伊勢参り」

2008年9月

6日(土)
「青年学級-夏のつどい」

11日(木)
「フラワーアレンジメントクラブ」

2008年10月

17日(金)
「デイセンターのボーナス」

19日(日)
「近所の秋探し」

2008年11月以降(ともちゃんの日常39へ)


2008年6月15日(日)

先週の土日は、お姉ちゃんとお母さんが連れ立って出かけて、ともちゃんはお父さんとお留守番をしていました。お姉ちゃんが出かける時に悲しそうな顔をしたともちゃんは、お土産を買ってきてもらいました。それはそれでうれしいけど、でもやっぱり「ともちゃんもお出かけしたいよー。」ということで、次の日曜日は「ともちゃんを中心にして、家族でお出かけしようね。」と約束していました。

 今日のお出かけ先は、3度目になる京都府立植物園です。京都に引越してきてから、ともちゃんのお出かけシーズン開幕の頃に出かける、比較的行きやすいお気に入りのお出かけ先です。今年のともちゃんは、痰がまだまだ多くて(5月の連休で痰は収まらず、少なくなったり多くなったりしながら、ぐずぐずと冬からずっと続いています)、車の中でも現地でも、しょっちゅう吸引をしながら行きました。

 久しぶりに家族そろった車の中では、にこやかなおしゃべりが弾んでいます。もちろんその中心にはともちゃんがいます。ともちゃんは、ひとしきりおしゃべりをして、何度も吸引をして、静かに抱っこされています。車が京都市内を走っている時、お父さんが交差点の行先表示を見て「左、金閣寺。右、銀閣寺やて。すごい派手な交差点やなあ。」、さすが京都。でも、ともちゃんの車は直進して、京都国際会館の方向を目指します。

 出発時間が遅かったので、植物園の駐車場が満車になっていることを心配しましたが、春のピークは外れていたので、まだ空いていました。普通の場所に止めてから、探していた車椅子用駐車スペースの位置が以前とは変っていたことに気付きました。植物園に入ったともちゃんは、いつも通りまずはレストランでミルクの注入をします。レストランの席に着くと、ともちゃんはにっこり。どこで食事をする時も、ともちゃんはいつものミルク持参ですが、お出かけ先でみんなで食べる食事は、楽しい雰囲気が加味されます。

 ともちゃんのお出かけは、ともちゃんに無理がないようにするため時間的に制約を受けるので、植物園の広い敷地内を一度で見て回ることはできません。今日は、今まで入ったことのない温室に行ってみましょう。温室の入口には、世界最大の花ラフレシアの標本が展示してありました。ラフレシアの標本といえば、ともちゃんが大阪にいた頃よく行った鶴見緑地公園の温室にもありました。車椅子に座って、常に斜め上方向を向いているともちゃんにとって、細い通路に植物が覆い被さるように茂り、ときに上から垂れ下がっている温室は、不思議な空間のようです。キョロキョロと、首を動かして、よく見回していました。

 食虫植物のコーナーから探検を始めたともちゃんは、南国のフルーツ、青いバナナやパパイヤ、小さなマンゴーがなっている木、ハイビスカスやランなどの色鮮やかな花々、トゲトゲがいかにも痛そうな大きなサボテンの群生などをゆっくりと見て回りました。温室を一周したころには程よく疲れてきて、ともちゃんは眠そうにしていました。帰りの車に乗ると、お母さんに抱っこされて、すぐに眠りに落ちました。「今、どこ走ってる?」、「北大路から西大路に入ったところ。ちょうど京都の北西の角やなあ。」、「そうなんや。京都市内にもまだ知らんところ一杯あるから、また色々行こな。」、目を覚まして、家族の会話をこっそりと聞いていたともちゃんは、お母さんの「また色々行こな」に「うん、行こ!」と同意するように、タイミングよくアハハと笑い声を出していました。

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2008年7月7日(月)

 もう夏だというのに、ともちゃんの体調がすぐれません。この春から夏にかけては全般に痰が非常に多く、頻繁に吸引が必要です。声がかすれて、「ハアーン」としゃべっているつもりでも「(ハー)」っと息をはく音だけが漏れていることが何度もありました。なんとなくしんどいのかボーッとしたり、ウトウトと短時間、何度も昼寝をします。そのために、口からの食事、お粥ペーストが食べられません。1日2回朝・昼と食べているのですが、ボーッとしてゴックンと嚥下できない、口に入れると咳込むなどで、全く食べられない日もありました。冬の間はこういう傾向が強いのですが、この時期になってもこの体調なのは普通ではありません。

 そしてもう一つ、例年と大きく違うのはよく熱を出すということです。2月25日、3月7日、25日、6月10日、16日、28日と熱を出しています。でも、熱は長く続くことはなく、いずれの場合も1日で下がっています。「卒業を祝う会」や「卒業式」の日の熱も、興奮して出たものではなかったようです。ともちゃんは、就学前や小学生の頃はよく熱を出しました。けれど、だんだんと成長するにつれて熱を出すことが少なくなって、中学部や高等部ではそんなに熱を出すことはなくなっていました。今回は、症状からしても、風邪の熱のようです。

 人は、生まれてから成長する間に何度も風邪にかかって、その度にそのウィルスに対する抗体を作る。それで、大きくなる頃には、身の回りにいるたくさんの種類のウィルスそれぞれに対して抗体を持つようになり、だんだんと風邪にかかりにくくなると聞きます。ともちゃんもその通りで、それなりにだんだんと強くなってきたと思っていました。それなのに、今年はよく風邪をひいています。一時的に、ともちゃんの体が弱っていて、一度かかったウィルスに感染しているのでしょうか。それでも、すでに一度かかって抗体のあるウィルスなので、ひどくならずにすぐに治まっているのでしょうか。

 不調とは言っても、ともちゃんの体調は少しマシになっり、かなりひどくなったりとかなり変動しています。実際に、マシになった時は通園したり、新名神や植物園にお出かけしたりもしていました。これを機にぐっと元気になって欲しいと願っているのですが、また痰が多くなったりして落込んでいきます。かなりひどくなった時、痰のからみや食事が全く摂れない様子は、ともちゃんが小学部4年で長期入院をする前の状態を彷彿させます。けれど、今のともちゃんには、経管栄養と酸素濃縮機という頼もしい味方がいるので、そのままどんどん悪くなることはなく、そのうち浮上します。

 お母さんは、ともちゃんが小学生の頃、重症心身障害児の保護者向けの講演会などでよく耳にした「思春期の危機」という言葉を思い出します。ともちゃんのように重い障害を持っている子供は、生命を維持していくということだけに身体機能は一杯一杯で、思春期にホルモンの分泌が変化することにすぐには追従できず、体調を崩すことがよくあるというのです。そして、その危機は思春期の入口、小学校高学年と、思春期の出口、高等部を卒業してから二十歳くらいまでの2度あるそうです。もし、今のともちゃんがそれに当たるなら、無理せずゆっくりと家で養生して、体調が回復するのをあせらず待ちたいと思います。

 それにしても、7月に入って、連日30度を超える夏日が続いています。なのに、週1回の通園は6月12日のスポーツ大会以降お休みしています。そろそろ、ともちゃんの「夏モード全開!」(ともちゃんは、夏が一番体調が安定します)で、まずは通園を目指しましょう。無理は禁物ですが、週1回の通園のペースが作れるようになれば、次はお出かけが待っています。お父さんの夏休みまで、あと1ヶ月になりました。家族のみんなも、ともちゃんとのお出かけを楽しみにしていますよ。

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2008年7月20日(日)

梅雨も明けて、夏真っ盛りの3連休の中日、ともちゃんも家族で琵琶湖博物館へのお出かけを計画していました。でも、ともちゃんにはまだ夕方眠くなると痰が多くなる、夜中に咳込んで吸引が必要といった症状があり、昨夜も何度も咳込んでいました。長時間のお出かけをすると、その後が心配です。昼間は元気にしているので、家で静養というのでは、ともちゃんも怒るでしょう。ともちゃんの体調によって、当日お出かけ先が変更になることは、珍しいことではありません。

 ともちゃんが朝ご飯を食べている間、両親が行先を相談しています。「夏本番やから、水辺がええなあ。」、「でも、いくら水辺でも、炎天下の駐車場に車を止めて屋外の公園を散歩とかはあかんで。今日は35度を超えるねんで。」。「涼しい屋内で、水辺を見ながら注入するのがええわ。」、「ともちゃんは、いつも京滋バイパスを通るやろ。そやから、名神の大津サービスエリアには行ったことがないで。大津サービスエリアに行こ。琵琶湖が見えると思うで。」というわけで、行先は大津SAに決定です。

 横抱きに抱っこされているともちゃんの頭上のパソコンが点けられて、お母さんが大津SAについて調べています。大津SAは、上り線からも下り線からも琵琶湖が眺められるということでした。高速道路の渋滞情報を見てみると、もう既に名神高速上り線は渋滞が始っています。京阪神の人達が、大勢、日帰りで琵琶湖方面に遊びに行くのでしょう。それならば、ともちゃんは下りの大津SAに行きましょう。お父さんが京滋バイパス経由で下りの名神に入る行き方を確認して、準備完了。この間、ともちゃんは「お出かけするなら、よしよし。」と両親の様子を観察しながら、お粥ペーストを食べていました。

 頑張って朝食を食べ終えたともちゃんは、車の中で「お出かけうれしいよ。」のアピールの笑顔を見せた後は、ウトウトしていました。お出かけの時によく通る京滋バイパスですが、結構車が連なっているなあと思うのも夏休みの連休らしいです。石山ランプで降りて、右手に瀬田川、左手に道路際まで迫る石山寺の山並を見ながら北に向って走りました。この道、以前にもともちゃんと通ったことがあります。どこに行った時のことだったか、あれこれ思い出そうとしましたが、結論は出ずじまいでした。ともちゃんは家族の話し声を聞きながら、おとなしく体力を蓄えていました。

 瀬田西インターから名神高速に入ると、すぐ大津SAです。駐車場はとても空いています。午前11時前、下り線の通行量はそう多くない上に、この時間に休憩しようとする人は少ないのでしょう。外食の際は、いつもともちゃんの食事時間がこの時間でよかったとつくづく思います。2つとも空いている車椅子駐車スペースの1つに車を入れて車椅子に乗移ると、ともちゃんはニッコリ笑顔で復活です。エレベータで2階のレストランに上がると、先客は一組だけで、窓際の端っこの席に陣取ることができました。窓を通して、眼下には太陽が照りつける琵琶湖が広がり、自分たちは涼しいレストランで食事をするという希望通りの極楽状態です。お出かけ先で注入をしようと席に着くと、ともちゃんはパアッとうれしそうな笑顔を見せることが多いのですが、今回も華やいだ笑顔ではしゃいでいました。

 琵琶湖を眺めながら、「対岸のように見えるのが琵琶湖大橋。その左側の付け根が道の駅『お米プラザ』。右手の緑が見えるのが矢橋帰帆島かな。手前に見える山は比叡山やな。頂上にテレビ塔や建物があるし。」。そうそう、ともちゃんとのお出かけで、琵琶湖周辺にもたくさん行っています。「端っこの席やから、吸引器やキティリュックも窓際に置きやすくて、ええなあ。」、「そうそう、(以前に行ったレストランで)キティリュック(の置き場所がなくて、立てて)椅子に置いた時は、キティちゃんも一人とカウントされて、お水5個持って来たなあ。」。「グヒャヒャヒャヒャ」、ともちゃんにはこの話が大受けで、大爆笑でした。

 1階のおみやげコーナーにも寄りました。ともちゃんは、お誕生日プレゼントとして、お父さんからは「永久不滅ポイント」を貰っています。お出かけ先で、気に入ったものがある時に、ポイントの範囲内で何でも買ってもらえる権利です。もうすぐ19歳の誕生日でまた新たなポイントをプレゼントしてもらえるので、去年のポイントを使ってしまおうと、おみやげを買ってもらいました。ご当地キティちゃんは京都キティが多かったのですが、大津キティとして「東海道五十三次大津飛脚キティ」のファスナーマスコットと「大津絵、藤娘キティ」の根付けを買いました。それから、ひこにゃんのネックストラップ付きぬいぐるみが目に付いたのでこれもゲット。車椅子のヘッド部分に回してともちゃんの首に掛けてあげると、ひこにゃんを連れ回っているようでいい感じです。

 心地よい環境でミルクも注入したし、おみやげも買ったし、ではさっさと帰りましょうか。上り車線はかなり長い渋滞ができていて気の毒に思いましたが、ともちゃんが行く下り車線は順調に流れていました。高速道路を降りて家に向かう途中に、その時の気温を表示しているところがあるのですが、その示す値は37℃でした。帰宅した時間は午後1時。ともちゃんが、いつも通園施設から帰宅する時間でした。10時出発1時帰着と、ともちゃんに無理のない時間帯で、暑い日なのに涼しいところで過ごせて、なかなか良いお出かけでした。大津方面、これからも調べてみれば、まだまだいいお出かけ先が見つかるかもしれません。

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2008年7月30日(水)

 体調もようやく落ち着き、ともちゃんは「夏モード」に入りました。1ヶ月ぶりに通園も果たし、その後は順調です。通園に先駆けて、体調の整ったともちゃんは、予約を入れていた歯医者さんで虫歯治療も行いました。ともちゃんにとって、生まれて初めての、局所麻酔をかけての治療でした。

 京都に越してくる前の冬、お母さんは、ともちゃんの前歯2本の裏側の凹み、歯茎の際にごくごく小さな黒い点を見つけていました。体調の安定しない冬季は歯科治療には不向きだし、まだまだ糸楊枝の先端で引っかかる程度の小さい穴なので、治療は京都に引越してからにしようと決めて、歯磨きを頑張っていました。こちらに来てからも、養護学校の先生や友達のお母さんに、障害者を診てくれる歯医者さんのことを色々とお聞きしましたが、結局は実際にどこかの医院を受診するには至らずじまいでした。

 ともちゃんが通園しているH園には、定期的に歯科衛生士さんが口腔衛生指導に来て下さっています。ともちゃんもすでに2度診て頂いたのですが、気にしている前歯の虫歯が、ほんの2週間の間にも大きくなっていました。上の前歯は、ともちゃんにとって比較的治療しやすい歯です。いつか歯医者さんに行こうと思っているうちに、治療が困難になっては大変です。あわてて歯医者さんを受診することに決め、予約を取りました。受診するところは、H園に来ていただいている歯科衛生士さんが勤めておられる歯医者さんで、以前から、障害者も診て頂けると評判を聞いていたところです。

 最初の受診日、ガイドヘルパーさんと一緒に支援センターの車で歯科医院を訪れたともちゃんは、入口を入るとギャハギャハと笑顔を振りまいています。お母さんは、「ともちゃん、歯医者さんに来たこと、分かってるんかな。」と思いますが、ともちゃんがしっかり覚醒し、不安感を持っていないことは良かったと思いました。こぢんまりした院内はオープンスペースになっていて、待合室から診察室の様子が窺われます。養護学校の生徒さん達でしょうか、ともちゃんは子供の気配と、穏やかに治療が行われている雰囲気に、「ハハハー」とにこやかに待っていました。

 診察台の横に車椅子を着けて、車椅子に乗ったまま、パルスオキシメータで動脈血酸素飽和度をモニターしながら、診て貰いました。「治療する前歯は痛むかな。」と少し触れてもらいましたが、ともちゃんの反応はよく分かりません。それじゃあと、先生は小さく丸めた脱脂綿に歯科用の冷却スプレーを吹き付けて冷たくしたものをともちゃんの前歯に当てました。虫歯になっていない前歯(正確に言うと、ごくごく小さい虫歯で治療済み)では全く平気なのに、裏に小さな穴が空いている歯では「イーー!!」と言わんばかりに、顔をしかめていました。とてもよく分かるともちゃんの反応に「あー、やっぱり、虫歯痛かったんやね。」とお母さんは納得しました。

 全ての歯の状態をチェックしてもらったり、痛い前歯のレントゲンを撮ったりもしました。先生が、ともちゃんの口の中の粘膜に局所麻酔薬をシュッシュッと吹き掛けていたので、お母さんは、何かなと思っていましたが、麻酔薬のアレルギー粘膜吸収テストでした。ともちゃんの虫歯の状態はかなり進んでいて、局所麻酔を使っての治療になり、悪くすれば神経を抜かなければならないと言うことでした。先生と二人の歯科衛生士さんがともちゃんに付きっきりで、ともちゃんの後ろではヘルパーさんが頭を支えて、側には吸引器を持ったお母さんがいるという万全の状況で、ゆっくりと休憩を取りながらの治療でした。

 さて、いよいよ1本目の治療の日、7月9日。上右2の歯の治療を行いました。歯医者さんを訪れたともちゃんは少しだけ笑顔も出ましたが、前のようにははしゃぎませんでした。歯茎に表面麻酔を塗ってから、チクッと局所麻酔を注射してもらいました。麻酔が効いてくるまでの間に「ちょっと慣れておこうか。こんなんするよー。」と、歯を削る機械を顔の前で回して貰って音を聞いたり、水が出る機械から口の中に水を出してもらったりしていました。削り始めると、治療はどんどん進んでいきます。幸い、神経は抜かずに済むということで、神経を保護した後、詰め物をして、青色光を当てて固めておしまいでした。ともちゃんの状態も良くて、すんなり終りました。

 局所麻酔をかけて治療することになるかもしれないと歯科衛生士さんに聞いたお母さんは、ともちゃんがアレルギー体質であること、重症心身障害者であるために健常者に比べて異常が見つけにくかったり、余力が少なかったりすることで、不安を持ちました。けれど、局所麻酔薬としてキシロカインがあると聞いて、ちょっと気が楽になりました。キシロカインは、経管栄養のためにともちゃんの鼻から胃に通しているチューブを入替える時に、毎週、チューブに塗布して使っているからです。その上で、粘膜吸収のテストも行って頂き、ともちゃんの状態はパルスオキシメータでずっとモニターしていたので、とても有難かったです。

 7月30日、2本目、上左2の治療でした。ともちゃんは、局所麻酔を用いての治療の様子が分かって安心したお母さんとは違いました。ヘルパーさんのお迎えで車に乗込んだ時はうれしそうにしていたのに、歯医者さんに着いたときには笑顔はなく、待っている間は表情を硬くしていました。治療が始まると筋緊張が強くて、フガフガフガという荒い呼吸をして、何度か休憩を取りながら治してもらいました。ともちゃんには、ここが歯医者さんで、「歯を治療するところ」ということが分かったのかもしれません。緊張したけど、頑張ったともちゃんでした。この歯も、とりあえずは神経を抜かずに済んだのですが、前回より穴は小さいものの奥は深く、神経ギリギリまで削っているので、「もし痛みが出なるようなら、連絡を下さい。」ということでした。でも、今のところは大丈夫なようです。

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2008年8月8日(金)

昨日の夕方、H園のともちゃんを担当して頂いている職員さんから、「ともちゃんの様子はどうですか。」とお尋ねの電話がありました。その様子をじっと聞いていたともちゃんは、「明日は通園だ!夏祭だ!」と分かって、ギャハギャハと大喜びしています。その後も、お姉ちゃんから「明日、楽しみやねー。」と言われたものですから、ますます楽しくなってきました。寝室に行ってすぐに一度眠ったものの、隣の部屋でお母さんがH園に持って行くための吸引器の動作試験をしていて、ブオォォォと音がした途端、ギャハハハハと起きてきました。それから、たくさんおしゃべりをして、寝かしつけているお父さんを困らせていました。

 今日は通園施設の夏祭。ちょうど今日からお父さんも夏休みなので、お父さんの運転する車で出かけました。ともちゃんは、自分のグループの部屋に入ると、張切っている気持ちが笑顔となって溢れ出ていました。デイセンターとワークセンターのそれぞれのグループ毎に、ゲームや食べ物のお店を出しているのですが、今はお店の前に行列ができているそうです。ともちゃんは、ゆっくりとバイタルチェックをして、少し混雑が落着くのを待って、会場の食堂に行きました。昨晩から張切りすぎたため、ともちゃんはこれからと言う時に眠くなってしまい、ボーッとしています。

 「どの、ヨーヨーにする?」と聞いてもらっても、「お任せします。」とばかりに、ボワーっとしていたともちゃんですが、手を添えてもらって一番大きく膨らんだ紫色のヨーヨーを釣り上げました。的当ては、ともちゃんのグループのお店です。割箸で作った本格的な輪ゴム鉄砲で的を倒して、その得点によって商品がもらえるというものです。その的の絵柄の大半が職員さんの顔写真になっていてびっくりしましたが、輪ゴム鉄砲で職員さんの心を射止める?のだそうです。キティちゃんの的も作ってもらっていて、ともちゃんは真剣にキティちゃんに狙いを定め(てもらい)ました。でも残念、輪ゴムは隣の的の施設長さんをかすって逸れてしまいました。残念賞でした。

 ワークセンターのグループの一つは出し物をします。歌って踊る「羞恥心」の熱演で盛上がる周りの空気が、ぽんやりとしていたともちゃんにも伝って、思わず笑顔が浮びました。ゲームの間に図らずも休憩を取ってしまいましたが、ともちゃん復活です。それからは、ともちゃんはしっかりと覚醒して、先輩達に交じって炭坑節を踊りました。「楽しいよ!」の笑顔もたくさん出ていて、前半の不覚を取戻すように、しっかりと夏祭を楽しんでいました。景品や食べ物をどっさり携えて、ともちゃんの部屋に戻って来た時も、満足そうに笑っていました。

 ともちゃんがミルクの注入中に、お父さんとお姉ちゃんが迎えに来てくれました。ちょうど硬直発作が起こりかけていたところに、お姉ちゃんに声を掛けられたものですから、ともちゃんはちょっと混乱しましたが、やがてニーッと口元から笑顔になりました。ともちゃんの様子を聞きながら、ともちゃんは食べない食べ物、お父さんは焼きそば、お姉ちゃんはピザ、お母さんはタコセン(お祭りの際中には、かき氷も)を貰って、おいしく頂きました。お姉ちゃんは、いつもともちゃんがパンを買って帰る2階のワークセンターのパン屋さん兼喫茶店に初めて行って、パンを選んだり、ソフトクリームを食べたりしました。

 家族で送迎したので、H園の職員さんには、ともちゃんがどんな家族と暮らしているのかを知って頂きました。また、家族の方は、ともちゃんがどんな部屋で、どのように通園生活を送っているのかを知る良い機会になりました。明日から、ともちゃんは夏休み。H園も来週13日から夏休みになります。夏休みまでの間に、ともちゃんは原則週1回の通園と、週2回ホームヘルパーさんが来てくれる生活に慣れてきました。担当して下さる職員さんや看護師さんとも仲良しになり、通園を楽しみにしています。自分の部屋も分かって、入ると笑顔が出ます。休みが明けてからも、元気でたくさん通園して、色んな活動ができますように。

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2008年8月11日(月)

今日は、以前から楽しみにしていた「伊勢までお出かけ」の日です。今年新しく開通して、すでに下見も終えた新名神高速を通って、伊勢自動車道の終点「伊勢」まで行きます。伊勢神宮内は玉砂利で、車椅子での通行は無理だろうから、おかげ横町にでも行ってみようと最初は話していました。でも、相当の混雑が予想される上に、ともちゃんのお出かけとしては時間的に目一杯なので、ちらっとでも伊勢神宮(内宮)の森が見えたら、満足して引返そうという計画です。もちろん、ともちゃんに無理をさせないことが第一ですから、お盆で道路が渋滞していれば、途中で引返すということも十分ありえます。

 まずは朝早く出発できるように、このところすっかり朝寝坊になったともちゃんの生活のリズムを直すところから始めました。以前は5時前には起きていたともちゃんですが、最近は夜寝に行く時間がどんどん遅くなっていました。その上、「明日は楽しいことがあるぞ。」と分かると、ともちゃんは興奮してなかなか眠ってくれません。夏祭り前夜の前科もあったところなので、昨夜は6時半に寝室に行きました。作戦は大成功。ともちゃんは8時前にはぐっすり眠り、朝4時半に起きたので、計画通り8時に出発することができました。

 車に乗ってすぐ眠ったともちゃんは、京滋バイパスの途中で機嫌良く目覚めて、ニコニコしながら、「ハーン、ハーン」、「ヌオーン」、「ハム」とたくさんおしゃべりをしながら、ドライブを楽しんでいます。朝の渋滞情報で唯一心配だった「瀬田東」での渋滞は、名神との合流地点で少し混雑しているだけでした。これなら大丈夫。新名神に入り、前回目指した甲南PAも、甲賀土山ICも、今回はあっという間に通り過ぎてしまいました。新名神は山腹の高いところを通っていて、途中横切る谷間では高い高架橋になっており、谷底深くに集落が小さく見えています。そのせいでしょうか、延々長いと覚悟していた鈴鹿越えのトンネルは、意外に短かったです。

 伊勢ではゆっくりできないので、伊勢自動車道にある行き(下り)の安濃SAでミルクの注入を行い、帰り(上り)の安濃SAで水分補給をすることに決めていました。高速道路は空いていたのに、SAの駐車場は結構埋まっていて、建物の前にはたくさんの人達がいます。夏の行楽で伊勢志摩方面に向かう人達は、みんなここでゆっくりと休憩しているのでしょう。このSAの建物群は、駐車場から階段を上がったところにあるため、車椅子駐車スペースは、駐車場の端から曲りくねった坂道を上ったところにありました。車椅子駐車スペースは建物群と同じ高さで、車椅子でも楽に移動ができました。

 あらかじめネットで調べてあって、ここのレストランでは、お父さんは「特選松阪牛焼肉定食」、お母さんとお姉ちゃんは「伊勢うどんと手こね寿司のセット」を食べることを楽しみにしていました。ところが時間が早すぎて「伊勢うどんと手こね寿司のセット」は、まだやっていませんでした。食券売場であれこれ悩んだ末、選んだメニューは、お姉ちゃんもお母さんも奇しくも同じ「松阪牛とろろ丼」。理由も同じで「軽くて安いメニューがないのなら、せっかくここまで来たんだし、名物の松阪牛を食べよ。」でした。10時前、朝食メニューを食べている人がパラパラといる店内で、ともちゃんは松阪牛の香りに囲まれてミルクを飲みました。

 ネットで調べている時、下りの安濃SAには「伊勢限定キティグッズが揃う」とあったので、食後は勇んでショッピングコーナーへ行きました。キティコーナーが作られていましたが、もうかなり売切れてしまった感がありました。そんな中から、ともちゃんは、香りを堪能した松阪牛キティの根付けと、残り少なくなっていたお伊勢参りキティタオルを買いました。ともちゃんが、伊勢ドライブ記念に買うぞと意気込んでいた伊勢キティのぬいぐるみはなくて残念でしたが、帰りのSAに期待しましょう。

 伊勢自動車道を終点まで走ります。深い山の景色に囲まれながら、「ともちゃん、大阪にいた頃、阪和道路から湯浅御坊道路を通って、和歌山の御坊や南部に行ったやろう。今は、その紀伊半島の反対側を、走ってるんやで。」、そうこう話しているうちに、南に向かっていた伊勢自動車道は進路を東に変えました。高速を降りた後は、標識に従って国道23号線を内宮へと向かいます。ところが、あと1kmで内宮というところで急に車が多くなってきて、ノロノロと連なってきました。内宮の駐車場に入ろうとする車の列でしょうか。ここまで来て、渋滞に巻込まれたくはありません。

 内宮まではまだ少しあるのですが、左側に参拝者用の無料駐車場が現れました。お父さんのとっさの判断で、渋滞の列から逸れてこの駐車場に入りました。お父さんは、この駐車場を横切って内宮が見える五十鈴川の河原に出ようと考えました、ところが、どんどん進んでいくと、何と五十鈴川の河原まで駐車場になっていました。ここで降りて、五十鈴川を背景に、証拠写真を撮りましょう。「あっ、おかげ横町の前の橋が見えるわ。」、カメラを構える家族の声に、モデルさんのともちゃんは自分だけ背中になって見えないので、ちょっと不満そうです。お姉ちゃんに、車椅子を方向転換してもらい、「ほら、あれのことやで。」と教えてもらうと、うれしそう。河原を吹く風が心地よく感じられました。

 まだ午前中ですが、満足して帰路につきました。上りの安濃SAで水分補給をして、お土産も見ます。朝からガッツリと食事をとった家族は、「さすがに、もう何もいらんわ。」という状態でした。それで、ともちゃんの水分補給は車の中で行いました。その後、ともちゃんは車椅子に乗って、ショッピングコーナーに行きました。「伊勢キティちゃんはいるかなあ。」と楽しみに行ったのですが、グッズのところにいたのは「伊勢エビレッド」など「みえけんジャー」というご当地オリジナルキャラでした。

 行きのSAでもっと買ったら良かったなあとちょっとがっかりしていると、ガチャガチャのカプセルトイの中に、東海キティ巾着があったので、2回やってみました。ともちゃんが、手を添えてもらってガチャガチャ回して、出てきたのは琵琶湖ナマズキティとシークレットのピンクナマズキティでした。本当は伊勢エビキティが欲しかったけれど、琵琶湖もお馴染みだし、まあ良いか。そこへ、家で食べるための伊勢うどんを買いに行っていたお姉ちゃんが「ともちゃん、キティちゃんのプラスチックの丼が付いた伊勢うどんがあったから、買ってきたで。」。また一つ、いい伊勢土産ができました。

 ともちゃんは、帰りの車中でも、また楽しげにたくさんお話ししています。行きは隣で眠りこけていたお姉ちゃんも、帰りには起きていて相手をしてくれるので、一段とにぎやかでした。「伊勢がこれくらいで行けるのなら、東名阪経由の名古屋はもっと近いで。」、次の遠出の行先も決り、ともちゃんは夏を満喫しています。

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2008年9月6日(土)

 ともちゃんが夏休みに入る頃、養護学校のPTA青年教室部から卒業生に宛てた「夏のつどい」の案内が届きました。内容が、懇談・ゲーム・焼きそば作りとあったので、参加するのは焼きそばをモリモリ食べられる元気な人達が多いのかなあと思いながらも、ともちゃんも両親と一緒にミルクの注入セットを一式持参して、久しぶりに養護学校を訪問するのを楽しみにしていました。高等部から転入して、訪問生として過ごしたともちゃんは、この地域での知合いがとても少ないので、色んな方と顔見知りになれることも、期待していました。

 それなのに、8月末からまた風邪のような症状で、H園の通園やヘルパーさんの訪問をキャンセルする日が続きました。「夏のつどい」を担当されている先生から、「(ともちゃんが)焼きそばを食べられないのなら、何か別の物を用意した方が良いでしょうか?」というお尋ねの電話を頂いたり、担任の先生から「会えるの楽しみです。」というメールを頂いたりしながらも、「体調によっては、行けなくなるかも。」とお母さんはこっそり覚悟していました。ところが、そこはともちゃんの底力です。「夏のつどい」前日はヘルパーさんに来てもらえる位に回復し、たくさんおしゃべりもして、楽しく過ごしていました。

 「夏のつどい」は午後1時からなので、ともちゃんのいつもの日課とは順番を変えて、午前中にできることは次々にこなして、お父さんの車で出発しました。いつもなら、車に乗るだけでともちゃんはお出かけを喜ぶのですが、今日は車に乗るなり眠ってしまいました。お母さんは、学校に着いた時にともちゃんがどんな反応を示すか楽しみにしていましたが、着いた時もまだ眠くてボーッとしていました。午前中に頑張らせすぎたかなあとお母さんは反省です。校舎に入る時に、高等部の時に担任だった先生とお会いして一緒に中に入り、訓練の先生にもお会いしたのですが、目は覚めてきたけれどちょっと状況がわからない感じのともちゃんです。懐かしい長い長い廊下を行く内に、やっと笑顔が出ました。

 長い廊下の突き当り、寄宿舎の食堂が今日の会場です。寄宿舎の前には、すでに車椅子の人達が何人か、と見れば、KちゃんとTちゃんの変らない笑顔がありました。今年は車椅子の友達の参加も多いということでした。ともちゃんは部屋の隅に陣取って、お父さんに抱っこされて、開会式よりも(もちろん焼きそば作りよりも)、一足先にミルクの注入を始めさせてもらいました。寄宿舎は、ともちゃんにとって初めての場所なので、キョロキョロと珍しそうに見回しています。卒業時のクラスメイトのKzちゃんがともちゃんの隣の席に来てくれて、友達が集っている雰囲気を感じたり、お世話になった先生方に近況を報告したり、校長先生のお話や参加者紹介を聞いたりしながら、ミルクを飲みました。回りの様子に、笑顔もこぼれてきました。

 夕方はまた日常生活の予定が詰っていて、あまり活動できないともちゃんなので、会の途中ですが3時に帰ります。ともちゃんの注入が終ってから、別室の保護者懇談会に参加していたお母さんが戻ってきました。ともちゃんは、お父さんに抱っこされて眠っています。焼きそば作りを見ながら、ギャハハと笑ったり、先生に抱っこしてもらったりしていましたが、みんなが焼きそばを食べ始める頃から何度もウトウト眠っていたそうです。これから始まるビンゴゲームの景品も先に頂いて、長い廊下を玄関へと戻る時に、太鼓の音が聞こえてきました。夏のつどいに続いて、養護学校では地域の障害者の夏祭りもあります。その飾付けと太鼓の音に、ともちゃんはまた興味を惹かれたようですが、これくらいがちょうど潮時でしょう。楽しい時間が過ごせました。来年も必ず参加しますよ。

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2008年9月11日(木)

 ともちゃんが通っているデイセンターでは、クラブ活動があります。普段はそれぞれグループごとに過ごしているのですが、グループをまたいで好きなクラブに属し、グループの異なるメンバーさんとも活動を楽しむというものです。ともちゃんが高等部2年の体験実習でデイセンターに来た時、ちょうど「おしゃれクラブ」が活動をする日でした。ともちゃんも参加させてもらい、きれいにマニキュアを塗ってもらって楽しんだ、あのクラブ活動です。

 6月初めの土曜日、通園施設の家族懇談会に一人で参加したお母さんは、懇談会の後、ともちゃんを担当して下さっている職員さんと、お休みが続いているともちゃんの様子を話していました。その時、職員さんが「最近、園では参加するクラブ活動をそれぞれ決めたんですよ。ともちゃんは何がいいでしょう?」とクラブの一覧表を見ながら、おっしゃいました。「家に帰って本人に聞いてみます。クラブの一覧表をお借りしてもいいですか?」。それならと、園のメンバーさんにクラブ紹介をする時に使ったポスターを貸して下さいました。

 家に帰ったお母さんは、早速、お父さんに抱っこされているともちゃんに「今、園では、どのクラブに入るかを決めてるんやて。ともちゃんは、どれにする?」と、順番に画用紙に描かれたポスターを見せていきました。「プールクラブ、プールでプカプカします。」、「・・・」。「温泉クラブ、温泉に入りに行くんやって。」、「・・・」。「フラワーアレンジメントクラブ、お花のクラブやね。」、それまで反応無く聞いていたともちゃんが、急に声を出して「ギャハハハハ」と大笑い。「フラワーアレンジメントクラブにするの?」。ともちゃんは、フラワーアレンジメントなんてやったことがありません。それなのに、あまりの反応の良さに、両親はびっくりです。

 とりあえず、全部のクラブについて聞いてみます。「トールペインティングクラブ」、「おしゃれクラブ」、「音楽クラブ」。ゆっくりと近くを散歩して、喫茶店でスイーツを食べるという「散歩クラブ(ポレポレ)」。気合を入れてどんどん歩く、歩くの大好き「散歩クラブ(スタスタ)」。「パソコンクラブ」。それぞれに楽しそうな活動ですが、「フラワーアレンジメントクラブ」ほど反応を示したものはありませんでした。「この間、植物園行って楽しかったやん。それで、『お花』って聞いて、植物園に行くことやと思ったのかもな。」、家族の間では憶測が巡ります。連絡帳にこのことを書いて、園で決めて貰うことにしました。

 色々迷って頂いて、結局、園で決定したのがやっぱり「フラワーアレンジメントクラブ」。家での特別な反応を尊重してもらいました。そして今日はそのクラブ活動の日でした。前日から楽しみにしていて、自分たちの活動室では笑顔を見せていたともちゃんでしたが、活動場所のホールへ移動し、さあ活動するというところでウトウトと眠くなってきました。お花を生けている間もずっと眠そうで、たまに目を開けて「あれあれ、ここはどこ? 何してるんだっけ?」という表情をしていたそうです。お母さんが活動室を訪ねた時には、「目が覚めたら出来上がっていたフラワーアレンジメント」を前にニコニコとご機嫌で、ミルクの注入をしていました。出来上がったフラワーアレンジメントは家に持帰り、家族に自慢しています。

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2008年10月17日(金)

10月1日、ともちゃんは通っているデイセンターで、初めてのボーナスを頂きました。ウトウトしながらミルクの注入をしていたら、拍手の中ボーナスを渡されて、(前日は楽しみにしていたのに)何が起こっているのか分からなかったともちゃんは、びっくりした顔でキョロキョロしていました。

 ともちゃんが通っているのは生活支援の施設なので、就労支援のワークセンターのように毎日お仕事をしているわけではないのですが、日々の生活の一部に物品を作って販売するという活動も取入れています。例えば、ともちゃんのグループでは定期的に「まいどレーヌ」という名前のマドレーヌを作っています。ともちゃんのお家でもプレーンのものを買いましたが、しっとり生地でほどよい甘さが家族に好評でした。色んな味のマドレーヌも検討されていて、カボチャ味やサツマイモ味、抹茶味もあるとのことなので、今後ぜひ購入しようと楽しみにしています。

 その「まいどレーヌ」の売上げから材料費などを引いて、デイセンターのメンバーさん全員で割って、半年に1度ボーナスという形で配って下さるのだそうです。このところ、週1回の通園もままならいともちゃんが、みんなと同じように頂くのは申し訳なく思うのですが、「これから、どんどん『まいどレーヌ』のラベルシール貼りをするぞ!」ということで、お許し頂きましょう。前日の夕方、職員さんからの電話を受けたお母さんからボーナスの話を聞いたともちゃんは、ニャハハハーンと豪快に笑って、期待と意欲を示していました。

 今年の春、養護学校高等部を卒業して社会人となったともちゃんが、初めて貰ったお給料です。大切に使いたいものです。何に使いましょうか。

 10月12日、ともちゃんは、貰ったボーナスを首から提げるキティちゃんの財布に入れて、家族揃ってショッピングセンターに出かけました。朝食を頑張って食べ終えたともちゃんは、車に乗ってまずは一眠りで体力を回復します。機嫌よく起きてきて、車の中で「何を買お。」と楽しく過ごしていたのですが、ショッピングセンターに着く直前に咳込んでしまい、吸引をしました。これでまた、疲れてしまったようです。着いてすぐ、フードコートでミルクの注入を行ったので、この間にクタッと眠って体力を回復してくれればいいなとお母さんは思いました。しっかりと覚醒して買物ができるからです。けれど、傍では幼児用英語教材のテープが流れ、人の出入りが賑やかな店内では、ともちゃんは寝てはいられませんでした。

 さあ、お買物。ともちゃんが気に入ったものがあれば、ボーナスで(不足分は両親に出してもらって)買いましょう。サンリオでキティちゃんグッズを見て、秋の洋服を選び、ボーナスでの買物としては現実的な髪飾りゴムなどがたくさん置かれた店にも立寄りました。でも、今回のともちゃんには、「これ!ボーナスで買うぞ!」というような積極的な反応はありませんでした。大きなあくびをして、ボーッとしていることもありましたが、洋服を選んで似合うかどうか体に当てて貰うと、うれしそうな笑顔が出ていました。洋服は、お父さんに買って貰いました。ともちゃんにとって、今回は眠かったけど、ふんわりと楽しい夢心地のお買物でした。

 折角のボーナスです。ともちゃんがしっかりと覚醒している時に、気に入った物を選んで買いましょう。買物には、またこれからも何度も来ましょう。

 10月17日、ともちゃんは通園して個装袋のラベルシール貼りの仕事をしました。職員さんに袋の上にシールを軽く付けてもらった後、ともちゃんが手を持ってもらってペチペチと押さえて、貼付けました。この日の「まいどレーヌ」はカボチャ味。ほっくりしっとりとカボチャが濃厚で、とてもおいしかったです。

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2008年10月19日(日)

例年、夏には体調が安定するはずのともちゃんですが、今年の夏はそういう訳にはいきませんでした。少し体調が良いように思えても、その状態が長くは続きませんでした。よく熱を出しました。ウトウトとよく眠りました。痰が多くて、吸引が頻繁で、酸素吸入を長時間外すことができませんでした。体調の良いはずの夏にこのような状態だったので、これからの季節、心してともちゃんの体調管理を行う必要があると、お母さんは気を引締めています。

 ところが、10月に入ってから、ともちゃんの体調は安定しています。ボーッとして何度もよく眠るというのは相変わらずなのですが、痰の状態が良くなってきました。通院、通園、ヘルパーさんの訪問などを予定していても、ともちゃんの体調次第でキャンセルせざるを得ないという状況でした。でも今月は、今のところ全て予定通りにこなせています。ともちゃんが眠くなった時にタイミングよく寝かせると、起きてきた時にはしっかり覚醒できて、笑顔や声もたくさん出ています。

 今日は秋晴れ、まだまだまぶしい日差しに風が心地よく感じられます。久しぶりに、車椅子に乗って近所を散歩しましょう。上着を着せて貰って、「さあ、車椅子に乗るよ。」というところで、ともちゃんは眠くなってしまいました。そのままお母さんの抱っこで、クタッと眠込んだともちゃんは、5分余りでにこやかに目覚めました。それでは、張切って出発です。稲刈りの済んだ田んぼを眺めながら、他にも秋を探しながら、散歩することにしました。

 田んぼをバックに写真を撮ろうとしていると、先程まで笑っていたともちゃんが、フンガーフンガーと喉に力が入って、舌根沈下したような苦しそうな呼吸をしています。実は、家の中では酸素吸入をしていなかったので、散歩でも酸素なしでも大丈夫かなと様子を見ていました。もちろん、酸素ボンベは持参しています。いつも通り、毎分0.5リットルの酸素流量にすると呼吸状態も落着いて、ニコニコと笑顔で「楽になったよ。」と伝えてくれました。酸素もして、落着いて改めて出発。

 小学校から外に張出している栗の木の下に、茶色くなった栗のイガがたくさん落ちていました。お母さんが足で踏んでみましたが、中味はすでに空でした。ともちゃんが車椅子から仰ぎ見ている木の葉は、まだまだ緑色。畑の中に何か咲いています。近寄ってみると、百日草でした。「百日草って、夏の花やん!」、申し訳なさそうに、隣に小さな白い菊も咲いていました。大きな通りに出て、歩道を行きます。「街路樹も紅葉まだやなあ。あれは、少し色づきかかっているかも。」と近付いていくと、その前の民家の塀は一面に朝顔の蔓で覆われ、たくさんの花がきれいに咲いていました。

 両親とおしゃべりをしながら、あっちで立止まり、こっちで写真を撮りしながら、タラリ、タラリとしたお散歩に、ともちゃんはしっかりと覚醒して、楽しそうにしています。また、畑の中の農道に入りました。畑の作物はナス。隣は黄緑色で縮れた菜っ葉。菜の花には早いし、何でしょう? 畦には、濃いピンク色の粟粒のようなイヌタデと、カサカサして種になると服にくっつくアメリカセンダングサが咲いていて、その回りをモンシロチョウが何羽も飛んでいました。

 そろそろ家の近くに戻ってきました。ともちゃんは、まだ、もっと、もっと行けるよという顔をしていますが、今日はこの辺でおしまいにしましょう。秋探しのつもりが、夏の名残もたくさん見つかりました。ともちゃんの最近の元気さも、この辺に原因があるのかもしれません。

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