ともちゃん の日常53


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2015年10月以前(ともちゃんの日常52へ)

2015年11月

7日(土)
「フェスタ2015」
(2019年4月9日に掲載)

2015年12月

17日(木)
「2015年クリスマス会」
(2018年12月21日に掲載)

2016年1月

8日(金)
「初詣」
(2018年1月7日に掲載)

2016年2月

3日(水)
「バレンタインスイーツ」
(2018年2月3日に掲載)

2016年4月

6日(水)
「お花見」

2016年5月

5日(木)
「海の京都」

25日(水)
「プチ外出2016」
(2018年4月9日に掲載)

2016年6月

9日(木)
「ユニバ!! 」
(2017年10月9日に掲載)

22日(水)
「今年の嵐山は足湯」
(2018年5月16日に掲載)

2016年7月

7日(木)
「七夕会」
(2018年6月2日に掲載)

2016年7月25日以降(ともちゃんの日常54へ)


2015年11月7日(土)

今日はH園フェスタです。それなのに、朝、ともちゃんはてんかんの部分発作が頻発していました。ともちゃんは、6時10分に起きてきて、ミルクの注入を始めたのですが、その頃から間欠的に力が入リ出しました。ミルクの注入は力が入ると止めながら、ゆっくりと行いました。けれど、7時過ぎ頃からはずっと筋緊張が強く、時々「んん?」と口元に力が入って顔をしかめたり、「ぷー」と泡を吹いたり、眼振があったりしていました。心拍数も高くなり、110回/分台から140回/分くらいまで変動していました。8時20分頃、ようやく部分発作は落着きました。ウトウトと何回も短く寝ながら、少し口からお粥ペーストも食べて、昼食のミルクの注入も無事に済ませました。そして、12時から12時50分まで、ともちゃんは、ぐっすりと眠りました。

 ニューっと伸びをして、ともちゃんは目を開けました。良かった、元気を取戻したようです。フェスタは午後からで、お父さんの車で送ってもらいました。ともちゃんは車の中からニコニコして、意欲満々なのがよく分かります。H園に着いてすぐ、出て来て下さった職員さんを見かけると、車の中から笑いかけていました。ともちゃんの所属する「つむぎグループ」のお店は、恒例のカフェです。ともちゃんは部屋でバイタルサインのチェックを済ませると、早速張切ってお店番をしました。笑顔もたくさん出ていました。

 次は大好きなお買物ですが、お店番を頑張ったともちゃんは、ちょっと脳の休憩時間。しばらくは、ぼんやりしていました。でも、そらグループさんのお店でパールビーズのブレスレットを買って、支払いをする時には、ニコーっと笑顔を見せてくれました。「お買物だ!! 嬉しいよー!!」というアピールです。楽しいお買物が続きます。保護者会のバザーではH園の前身の施設から残り物のバレエシューズが出ていて、サイズが合えばとてもお買い得。ともちゃんにはぴったりサイズなので、前回も買いました。今回もニコニコ笑顔でこげ茶色の靴を選んでいました。久しぶりに養護学校の先生にもお会いして、満面の笑顔で、「元気で楽しくやってるよ。」と伝えていました。さおり織りで作った髪ゴムも買って、お買物を存分に楽しんでいました。

 H園フェスタは、通所しているメンバーさんやその家族だけではなくて、地域の方々も大勢来て下さいます。それで、毎年、H園の各グループの活動紹介ポスターが展示されています。今年のフェスタに向けて、ともちゃんのグループ「つむぎグループ」内での担当決め会議で、ともちゃんは笑顔で活動紹介の担当を引受けました。活動紹介写真を選ぶ時には、「沢山ありすぎて、選べないよう?」といった表情をしていたそうです。その出来上がったポスターを満足気に眺めました。そして、今年初の試み、臨時の自転車置き場を彩る壁画も見ました。壁画はそれぞれのグループ毎に模造紙に描いたものです。壁画を作成した日、ともちゃんは、「えー! なんで来て早々仕事?」と言わんばかりのキョトンとした表情でしたが、筆を持って大きな模造紙に色を塗り終る頃には、いつもの満面スマイルになっていたそうです。

 最後は恒例のメンバーさんのステージで締めます。今年はザ・ブームの「風になりたい」をみんなで歌います。「風になりたい」は、ともちゃんにとっては、あまり馴染みのない曲なので、園でも、家でも、ミルクの注入中に何度も聞いて、イメージを膨らませていました。つむぎグループでは、通園時に、ガチャガチャのカプセルでマラカスを作っていて、それをリズムに合せて鳴らしていました。恒例のグループ集合写真ではニコニコ笑顔で締めくくり。今年もフェスタを楽しめて良かったね!!

(2019/4/25追記)
 ともちゃんが亡くなって2年4か月、お墓に入ってから丸2年1か月が経ちました。 また、ともちゃんのお出かけシーズンが巡ってきて、麗らかな陽光の中、お墓でぼんやり過ごす時間が心地良いです。

 たった2年の間ですが、ともちゃんのお墓の周りも変りました。お墓の後ろの山の鬱蒼とした森は、昨年の台風21号の被害をまともに受けて、木々のない山肌が露出しています。お墓と高速道路の間にもたくさん家が建ち並びました。最初は高速道路全体がしっかりと見えていたのですが、今では道路の部分にぎりぎり屋根が被さり、高速道路を走る車とそれより上にある標識が見える程度になりました。

 私達の周りでも、否応無しに、ともちゃんの居ない時間が流れて行きます。2年前は、朝一番にお墓参りに行っていました。「今頃は朝の水分補給、ソリタの時間やなあー。」などと話しかけて、お墓からH園の送迎車や支援学校のスクールバスを見送ったりして、ともちゃんの日常の時間を追いかけていました。用事があって、夕暮れ時に1人で出歩いていたり、夜自転車で走っていたりする時には、ふと強い違和感に襲われました。ともちゃんが居る頃には、こんな時間にお母さんが外に出ることはありませんでしたから、それはともちゃんが居ないからに他ならないという現実を突きつけられて、辛くなったりしました。

 けれど今では、遅く帰った翌朝は、ともちゃんが居たらミルクの注入はもちろん、水分補給も口からのお粥ペーストも食べ終って、H園からのお迎えの車を待っている時間まで寝ていることもあります。毎日のお墓参りは欠かしませんが、お参りの時間はその日の都合に合せて流動的になりました。ともちゃんの居ない生活が身についてきたのかも知れません。ともちゃんと過ごした記憶を大切にしながら、ともちゃんが居ない世界でも、それなりに楽しく生きていけるようになりました。

 それでも、やはり、ともちゃんと過ごした日々ほど、毎日がワクワクしたり、充足感に浸ったりすることはありません。スマホやタブレットの中に残っているともちゃんの日常を読み返し、きちんとした文章として繋いでいく作業は、ともちゃんの思い出に浸り心穏やかで幸せなひとときです。同様に、季節毎のともちゃんの写真を大きくプリントしたり、フォトブックを作ることも楽しい時間です。これらの作業は、ともちゃんが存命の頃からお母さんが趣味として楽しんでしていたことなので、特段ともちゃんが亡くなった現実を感じることもなく、素直に楽しかった思い出を蘇らせることができています。

 スマホやタブレットの中にあった、ともちゃんの日常の原稿も、残り一話となってしまいました。大事に思い出しながら、これから、ゆっくりと文章にしていこうと思っています。また、何処かから書きかけの原稿が出てくるかもしれません。その時は、喜んでともちゃんの日常に加えていくつもりです。

 さて、今回の話題のH園フェスタですが、実は、ともちゃんが亡くなって以来、一度も行くことができません。フェスタの季節になって、すれ違ったH園の送迎車にフェスタのポスターが貼られているのを見ると、今年のフェスタはどんな様子かなあと気になります。皆様にもお会いしたいし、H園という思い出の場所にも行ってみたいのですが、いつも一緒に通ったともちゃんが傍に居ないのが辛くて、行くことができません。H園での楽しい光景の中には、いつもピンクの車椅子に乗ったともちゃんの姿がありましたから。もう少し時間が経ったら、いつの日か、懐かしい気持ちでH園フェスタを訪れたいと思っています。

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2015年12月17日(木)

12月とは思えない昨日までの暖かさが一転、予報では今日の最高気温は昨日の最低気温にも満たないと言われています。夕方からは雪が散らつくかもしれないと言われる中、ともちゃんは久しぶりにH園に通園しました。今日はクリスマス会です。

 今年は、ともちゃんの所属するつむぎグループだけでのクリスマス会です。規模は小さくなっても関係ありません。今年もグループ総出で、出し物を準備するところから全力で楽しんできました。出し物は当日演じるのではなくて、予めスライドショーにして当日みんなで見て盛上ります。クリスマス会の楽しみの半分は出し物の準備と撮影にあるのです。冬ごもり中のともちゃんですが、職員さんの訪問で出し物の準備をしたり、写真を撮ったりしながら、クリスマス会に参加するのを、とても楽しみにしていました。

 今年の出し物は「つむぎTV」です。ともちゃんの所属するつむぎグループでは、ともちゃんのような経管栄養で昼食を摂るメンバーさん達は、一つの部屋に集まって時間をかけて、ゆっくりとお昼ご飯を摂ります。経管栄養剤を注入している間、テレビをつけて、くつろいでいます。そこへ、向いの部屋で給食を食べ終えたK君がやって来て、いつも一緒にテレビを見ます。K君はテレビのリモコンを上手に操作して、チャンネルを色々変えては、気に入った番組を見つけて楽しんでいます。そんなつむぎグループの日常から出来たのが「つむぎTV」です。

 日常の光景から始まり、K君がチャンネルを変える度に、つむぎメンバーさんと職員さんの扮した様々なテレビ番組の画面が現れるという趣向です。ともちゃんの役は、携帯電話の三太郎のCMのかぐや姫「かぐちゃん」と、ミュージックステーションに出演のAKB48の一員です。かぐちゃんの衣装は、衿の部分だけをカラフルに何枚も重ねて、その上から和風の生地を羽織ると十二単風に見えます。ともちゃんの長い髪を垂らすと、一段とかぐや姫らしくなります。AKBの衣装は職員さんからお借りしたスカート一体物の上に紺色の上着を着て制服風に仕上げました。こっちは髪はいつもの様にお団子頭にしています。職員さんに訪問して頂いた時に衣装を着て撮影したり、訪問時に眠かった時は衣装をお借りして、起きてからご機嫌の表情で撮影したりしました。

 さて、今日の通園のために体調を整えたり、クリスマスらしい髪飾りを準備したりしてきました。当日の服はどうしようかと悩みましたが、寒いので防寒重視ということになりました。いつものともちゃんの2つのお団子結びの髪にはトナカイの角をつけています。ともちゃんは昨日から通園を意識して生活リズムを整えていったので、今朝は通園までにうまく少し眠って、ご機嫌で張切っています。心配していた天気ですが、寒いけれどいい天気なので、日差しが当たると寒さがマシです。車の中でもともちゃんはニコニコで、運転手さんから「ともちゃんのお出かけの時はいつもいい天気やなあ。」と、声をかけてもらっていました。

 園に着いたともちゃんは、職員さんに車椅子を押してもらって、部屋に入って行きました。「クリスマス会楽しんで来てねー。」と見送ったお母さんですが、途中からこっそりと出し物のスライドショーを見せてもらいに行きました。スライドショーはすでに始まっていましたが、人気番組有り、懐かしい番組有りで、メンバーさん、職員さんの扮装に思わず顔が綻ぶ、とても楽しい出し物でした。この後、他のグループとのプレゼント交換の代表者として、ともちゃんが登場してびっくりしましたが、ともちゃんはニコニコして大役を果たしていました。今年もスライドショーはDVDにして、クリスマスプレゼントにして下さるとのことです。繰返しこのDVDを再生して、年末年始もずっとともちゃんと一緒に楽しみたいです。DVDが届くのが待遠しいですね。

(2019/1/4追記)
 ともちゃんが亡くなったのは2016年12月3日です。ともちゃんの入院していた小児科病棟のナースステーションの前には大きなクリスマスツリーが飾られ、ナースステーションの隣のともちゃんの病室にも、病室から出られないともちゃんのために、クリスマスの飾り付けをして下さっていました。まだ9月の暑い頃に入院して、10月には卵巣腫瘍が悪性と分かりました。クリスマスにはお家に帰ろうを合言葉に、ともちゃんは本当に頑張っていました。日が暮れるのが早くなり、夕方の空気が肌寒くなっていくにつれ、頑張っていたともちゃんを思い出します。気管切開の手術の後、ともちゃんは頑張って1日でICUから出てきました。感染症や低気圧による不調と戦いながらも、新しく設けた胃ろうから注入する栄養剤の量を少しずつ増やしていきました。街にクリスマスイルミネーションが輝き出すと、クリスマス飾りが優しくほのかに光る病室で呼吸器を付けて、最後まで生きたいと懸命に頑張っていたともちゃんを思い出します。

 もう一つ印象に残っているクリスマスツリーがあります。ともちゃんは7月25日に1,530グラムの未熟児で生まれました。しばらく病院のNICUで過ごして、9月末には大きく育って、無事に自宅に帰ってきました。その間に脳に大きな損傷を受けていることが分かりました。「機能回復訓練は早く始めた方が効果があるし、将来背負うであろう障害を軽減できるかもしれない。」との病院の勧めで、11月から4週間、O整肢学園という施設に母子入園をすることになりました。母子入園とは、一日に4回行うボイタ法という機能回復訓練をお母さんが理学療法士の先生から指導を受けて学ぶための合宿です。訓練の合間には講義や整形外科の受診もあって、しっかりと時間管理された合宿生活でした。施設の外へ出ることもなく、施設にはコンビニも、部屋にはテレビもありませんでした。ともちゃんは訓練を嫌がって大泣きし、お母さんは指導を受けてもどこが悪のかよく分からないという、とても辛い期間でした。唯一、ともちゃんにだけ、しっかり寄り添えたのは良かったなと思います。毎週末には、お父さんとお姉ちゃんが迎えに来てくれていました。滞在中には気付かなかった玄関ホールに、いつのまにか大きなクリスマスツリーが飾られていて、家族一緒に見ながら帰ったことを思い出します。

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2016年1月8日(金)

昨年末、クリスマス会も終ってすっかり冬ごもりに入ったともちゃんは、例年のごとく職員さんに訪問して頂いていました。来年のH園の予定を聞いていた時、初詣の話にともちゃんが反応しました。「初詣に行ってみる?」との問いかけに、笑顔で「行きたい!」と答えています。「そうか~。行きたかったんやなあ~。」ということで、今年初めて、ともちゃんはH園からの初詣に参加しました。

 寒くなると、ともちゃんの活動力が低下するので、ともちゃんは冬ごもりをしています。この間はゆっくりとマイペースで過ごして、体力を蓄えることを大切にしています。世間では感染症が流行る時期でもあるので、あえて外出することはありませんでした。でも、ともちゃんが外出に意欲を示すのであれば、そこは大きく違ってきます。体調に無理のない形で、是非参加させてあげたいです。年末年始も初詣初参加を目指して、体調を整えてきました。

 H園のともちゃんのグループでは、年始休み明けの今週は初詣週間。数人ずつのメンバーに分かれて、近くのM神社まで車に乗ってお参りに行っています。いよいよ今日はともちゃんの番です。昨晩はしっかりと眠りました。昨日から寒くなってきたので、厳重に厚着をして、両ポケットには使い捨てのカイロを忍ばせました。靴はお父さんからクリスマスプレゼントにもらったムートンブーツで、ぬくぬくです。ともちゃんは、自宅から直接神社に向かい、現地でみんなと合流します。迎えに来て頂いた車に乗って、ニコニコ嬉しそうにしています。

 街道から神社の境内へ続く石畳の参道は車で通行可能です。鳥居をくぐり、お散歩の保育園の子供達を追越して、ゆっくり坂道を上りました。神社には、老人福祉施設のお年寄りの人達も、H園の他のグループのメンバーさん達も初詣に来ていました。ともちゃんは、H園から来る他のメンバーさんより先に着いたので、みんなが来るまでに一つお仕事。去年の破魔矢を職員さんと一緒に納めました。足をピンと伸ばして、新しいブーツをアピール。職員さんに褒めて貰って嬉しそうです。

 みんなが揃って、まずは集合写真。ともちゃんはいい笑顔でみんなの中にいます。H園での初笑い。みんなと一緒に初詣に参加できたものね。嬉しいよね。本殿の前までは車椅子で行くのは難しいので、支えて貰って歩くことができるメンバーさんが代表してお参りします。本殿の前まで木製のスロープが設けてあって、滑り止めに等間隔で傾斜に垂直に角材が打ち付けてあるのですが、その角材の高さと間隔が車椅子で乗越えようとするととても大変なのです。ともちゃん達はスロープの下で代表の人のお参りを見守っていました。ちなみに、去年は手作りのお賽銭箱に、ともちゃんはお家でお賽銭を入れて、初詣気分を味わっていました。

 お参りが済んだら、みんなでおみくじを引きます。社務所でおみくじを引きたいと六角形のおみくじ筒を貰おうとしたら、子供みくじの物を渡されました。お母さんは、見かけが小柄なともちゃんが子供と思われていて「宿題をちゃんとやると吉」とか書かれているのは嫌だなあと思いました。社務所の人に聞いてみたら、「(普通おみくじは難しい古語で書かれているけれど)簡単な言葉で書かれているものです。他の(H園のメンバーさん)の方もこちらを引かれていますよ。」とのことだったので、こちらを引きました。

 出た数字は6番。職員さんにおみくじに替えて来てもらう間、ともちゃんはワクワクして待っていました。職員さんがおみくじを持ってきて下さると真剣な顔つき。さあ結果発表。「中吉!!」で大笑いのともちゃん。「願い事:努力が実って叶う」そうです。今年も楽しいことがたくさんありそう。一緒に来たメンバーさん達もそれぞれ引いて、大吉の人も吉だった人もおられました。みんなとはここでお別れ。みんなは園に帰って行きました。ともちゃんは初めての初詣なので、記念にお守りも買います。「赤色と白色があるけど、どっちにする?」。ちょっと悩んで、ともちゃんは白色を選びました。通園カバンに着けましょうね。ともちゃんは、グループのメンバーさんとの初詣に大満足。笑顔で車に乗込んで、家まで送って頂きました。

(2018/1/7追記)
 2年前の出来事になります。ともちゃんは、寒い間の行事には参加しにくかったのですが、2014年にはお花見に参加して、今回は初詣に参加しました。これでH園の年間行事にすべて参加したことになります。ともちゃんが自分の意思で、園の行事に意欲的に参加したことは、私たちにとっても、とても嬉しいです。ともちゃんには社会的に参加する居場所があって、そこがともちゃんにとってとても心地よくて楽しいところだということだからです。園の行事に全部参加することができて本当に良かったです。ともちゃんは、楽しく生きていました。園の職員さんには心から感謝しています。

 亡くなったともちゃんは3日間お家で過ごし、お通夜の日に葬儀屋さんの寝台車で葬儀会場まで向かいました。お母さんが、ともちゃんの横に付添って行ったのですが、奇しくも、このM神社の裏の道を通って行きました。お母さんは「ここ初詣に来たとこやなあー。」と、ともちゃんと話しながら行きました。入院中、ともちゃんが呼吸器をつけて、胃ろうを形成して、「家に帰ったら、春には、園からのお出かけで、ともちゃんの好きなショッピングモールに行こうね。」と言ってもらっていました。ともちゃんは楽しみにしていました。ともちゃんは、できる限りの努力をして頑張っていましたが、残念ながらこの願いは叶いませんでした。葬儀の場所は、このショッピングモールのすぐ傍の会場に決めました。

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2016年2月3日(水)

例年この時期になると、ともちゃんは職員さんに訪問して頂いて、バレンタインスイーツを作ります。本当なら園でみんなで作るところですが、ともちゃんは冬ごもり中なので、訪問日に作るようにして貰っているのです。去年はチョコムースでした。今日はチョコレートプディングを作ります。

 冬ごもりで、家の中でゆっくり過ごしていたともちゃんですが、1月末にはてんかん発作で座薬を使いました。とは言っても、以前のような全身がガクガクなるような大発作は薬でうまく抑えられています。今回は部分発作の強いものでした。1月25日の夕方に筋緊張が強くなり、仰け反って顔をしかめて口元をピクピクさせ、ププーププーと泡を吹きながら息を吐くという発作です。眼振もあって、それと同時にクイクイと小刻みに首を振ります。このような部分発作が10分くらい続きました。この間、ともちゃんの意識はあって、緊張が少し緩むと泣き声のような声をあげていました。苦しそうなので迷わずダイアップ座薬を使いました。

 このような部分発作が間欠的に続くことは以前にもありました。間欠的に起こる部分発作なら30分くらい続いたこともあります。しかし、ンンーと緊張が続いても、1~2分くらいで一旦は筋緊張が緩んでいました。今回のように部分発作が連続して長く起こったのは初めてでした。今は薬でコントロールできている大発作ですが、このまま現行の薬を続けていると、再び大発作になってしまうのか心配です。注意深く見守って行きたいです。昨年のお正月にあったような胃からの出血は、最近は全く無くなっていて、こちらの方は安心しています。

 ダイアップ座薬を使うと眠くなるものですが、ともちゃんの場合は眠いのが当日だけでなく、数日に渡ってしばらく続きます。それで先週は、職員さんも、看護師さんも、ヘルパーさんも、訪問はどれもお休みして、昼間も寝たいだけ寝るという、一段とマイペースな日々を送っていました。今日も職員さんが来られた時、ともちゃんは眠っていました。でも、職員さんの声を聞くと、「チョコプディング作るよ!」と起きてきました。抱っこして貰ってにっこり。楽しみにしていました。

 さて、チョコプディングを作ります。ともちゃんは最初に職員さんとチョコを砕きました。小麦粉でチョコにとろみをつけますが、ともちゃんは小麦アレルギーがあります。それで、小麦粉をバターで軽く炒めて、牛乳と砕いたチョコを加えて混ぜながら煮るという工程は、お母さんに任せました。ともちゃんはラッピングにこだわり、カップにマーカーで文字や模様を書いたり、シールを貼ったり、職員さんと楽しみました。かわいいラッピングが出来上がると、ともちゃんは笑顔で大満足の様子です。

 お母さんが小麦を炒め、牛乳とチョコを加えて煮た固まる前のチョコプディングをともちゃんは職員さんと一緒に自慢のカップに入れ、お母さんに冷蔵庫へ入れてもらいました。後は固まるのを待つだけ。お父さんが帰宅する頃には、きっと固まっているはずです。ところが、チョコプディングは固まりませんでした。でも、取敢えず綺麗にラッピングしてお父さんにプレゼントして、喜んでもらいました。ともちゃんもニコニコ、「可愛いラッピングとチョコを砕いたのは、私がしたよー。チョコプディングが固まってないのは、お母さんのせいやでー。」。でも、トロトロのチョコプディングでも美味しかった。

 ともちゃんはチョコプディングを2個作っていたので、お母さんは1個残しておいて、翌日マグカップに移して電子レンジで2分間温めてみました。表面には膜が張っていて、固まりかけていました。冷蔵庫で冷やしたらしっかり固まり、目標通りのチョコプディングが出来ました。しっかり固まっていますが口溶けはすごくよく、クリーミーで一段と美味しかったです。「ごめんよ、ともちゃん!」、お母さんは小麦粉とバターが焦げ付くのを恐れて、炒める時の加熱が不十分だったようです。後日、園でみんなで作った時は、ちゃんと固まって最初から大成功だったようです。

(2018/2/7追記)
 ともちゃんが亡くなってから、毎月命日の頃に月参りをお願いして、家族が集っています。それに合せて、その月のともちゃんの生前の写真を大きくプリントして飾り、ともちゃんを偲んでいます。先月は初詣の写真を大きくして、たまたま初詣の文章をスマホの中に見つけたので、アップしました。

 今月はチョコプディング作りの写真を大きくしたので、その時の話をスマホの中に探してみました。ちょうど、2年前のことになります。季節の空気感とも合さって、健康に気を配りながら、訪問を楽しみに冬ごもりしていた様子が、より具体的に愛おしく蘇ってきました。

 この頃の写真の中に、記録としてともちゃんのニキビを撮ったものが何枚かあります。元々ともちゃんはニキビ体質ではなかったのに、ニキビと思われるものが出来てきました。「何か悪い皮膚炎だったら」と心配して、3月には皮膚科を受診、検査してもらいました。ニキビと診断され、薬ももらって安心していました。

 今から思うと、「卵巣に問題が起きてホルモンの分泌に変化が起こったので、ニキビが出たのではないか。卵巣癌は既にこの頃から発症していたのではないか。見つけてあげることは出来なかったのか。」、こんな思いが巡ります。

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2016年4月6日(水)

穏やかな晴天のお花見日よりの今日、ともちゃんはH園からのお花見に行きました。一昨年、初めて園からのお花見に参加できて、今年は2度目です。天気予報では明日は雨で、今日がお花見最後のチャンスらしいです。満開の桜の下で、ともちゃんは満面の笑みを浮かべていました。

 初詣に参加して以来、ともちゃんは例年のごとく冬ごもりでした。冬ごもりの間、お姉ちゃんに赤ちゃんが生まれて、ともちゃんは叔母さんになりました。里帰りしている赤ちゃんの泣き声が聞こえるとキョロキョロ探して、ニコニコ笑いかけてオーンオーンと優しく声をかけてあげる優しい叔母さんです。

 今まで、家族の中で一番小さくて一番か弱い立場にいたともちゃんですが、自分より小さくてか弱い存在に優しくしてあげていました。26年の人生の重みを感じます。小学部の頃まで、何度もあった療育手帳(知的障害)の判定等で乳児期前半の発達段階とよく言われていたのを思い出しました。知的発達については分かりませんが、感情はどんどん豊かに育って立派な大人になっています。

 4月になってお出かけシーズンが始まると、今度は自分が主役になって積極的に楽しむ番です。今年は暖冬のおかげもあって、1日からH園に通園することができました。今年度、ともちゃんのグループにも新メンバーが入って、その歓迎会にも参加することができました。今週に入って、テレビで桜満開のニュースを聞く度に、お花見に早く行きたいと張切っていたともちゃん。今日も朝から張切っていたので、お迎えの車の中の暖かい日差しにウトウト眠たくなっていました。しかし、現地に着いてみんなの声を聞いて気配を感じると、眠気も吹っ飛び嬉しくて仕方ありません。職員さん同士の愉快なやりとりを聞いて、また大笑い。心踊る季節の始りです。

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2016年5月5日(木)

快晴の子供の日、ともちゃんは新緑の美しい京都縦貫自動車道をドライブしました。予定していた目的地、京丹波パーキングエリアを遥かに越えて、「海の京都」の天橋立まで行ってきました。去年5月に京都縦貫が天橋立まで繋がって以来、お父さんは天橋立まで、お母さんは京丹波パーキングエリアに併設の道の駅「味夢の里」まで行きたいと思っていたのですが、開通当初は道路が混雑するだろうなあと落着くまで待っていたのです。今日はまず、味夢の里まで行ってみることにしました。久しぶりのドライブ遠出で、ともちゃんはトンネル内のオレンジ色のライトを浴びてニコニコです。

 大型連休中だというのに道路は空いていて、快適すぎるくらい順調な走行です。「こんな道路状況なら天橋立まで行けそうやなあ。」と言いながら京丹波パーキングエリアまで来たところ、「パーキングエリア内交通集中」の表示が出ていました。それならばと、お父さんが即断しました。両親の会話を聞いていたともちゃんは、天橋立行きが決った途端、目を閉じて眠ってしまいました。なかなか賢い選択です。天橋立は大阪在住時に一度、舞鶴自動車道を通って行ったことがあります。以前は宮津天橋立ICが終点だったので、今回は延伸された先の与謝天橋立ICまで行ってみました。ここから地道で海岸に出ると、砂州の真ん中辺りを望むことができます。

 いきなり来たので全く当てはないのですが、前に来た時のように海辺の駐車場で注入が出来たらいいなあと探しました。前回は天橋立南側の智恩寺近くの駐車場に停めたので、今回は北側の一の宮桟橋を目指しました。しかし、適当な駐車場所は見当たらず、駐車場のある食堂はあったものの車椅子で入るには店内が狭そうでした。仕方なく、大きな病院のガラ空きの駐車場の端っこに車を止めさせてもらい、点滴棒を窓から出してミルクの注入を行いました。ここからは海は見えませんが、風が爽やかで、ともちゃんも気持ち良さそうにしていました。もちろん駐車料金を支払うつもりでしたが、料金ゲートなどは無く、申し訳なかったです。

 病院の奥に海沿いに走る自転車道があったので、食後は車椅子で散歩をしました。天橋立を見ながら並行に歩きました。ともちゃんはご機嫌で、にこやかな笑顔を見せています。日差しはありますが、気温は高くありません。少し海の匂いがして、一見穏やかな内海でも、波が自転車道の下の排水管を逆流してコンクリートの壁を打つ音がチャポン、ゴボンと聞こえるので、遠くまでやって来たなあと感じます。

 散歩でリフレッシュした後は、お土産を買うのがともちゃんの楽しみです。帰りに京丹後パーキングエリアに寄ってみることにしました。しかしながら、相変わらず「パーキングエリア内交通集中」の表示が出ていて、パーキングエリアに入る誘導路が渋滞しています。帰る時間が遅くなるので、残念ですが今回お土産は断念しました。道路が空いていれは1時間半くらいで天橋立まで来られます。「海の京都」は近いです。これからも度々行けそうです。もちろんパーキングエリアも機会を見て再チャレンジしましょうね。

 因みに、「海の京都」は「京都府には日本海側に海もありますよ。」と宣伝するための京都府のネーミングで、宮津市・京丹後市・舞鶴市・福知山市・綾部市・伊根町・与謝野町のことを指すそうです。

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2016年5月25日(水)

5月も後僅か。これから6月にかけて、ともちゃんのお出かけが続きます。ともちゃんはとても楽しみにしているのですが、それに反して体調の方が今ひとつ優れません。朝晩涼しかったり、昼間は30度超えが続いたりで、温度調節の難しい季節です。夜中の室温調整がうまくいってないのでしょうか。夜中、布団を掛けないと鼻水、鼻詰りがあって、布団を掛けると暑くて汗を大量にかいています。いずれにしても夜の眠りは浅く、昼間もとても眠くて、眠っていることが多いです。さらに、先週は咳込みや痰絡みも多く、吸引も頻回に行っていました。

 プチ外出に向けて、ともちゃんは寝たい時に寝て、体調を整えていました。昨日の夕方、布団の上に置かれて、ぼんやりウトウトしていた時のことです。園の職員さんから、翌日のプチ外出についての電話がかかってきました。お母さんの電話の応対の様子から、プチ外出の件だと察したともちゃんは、しっかり目を開けてニコニコ笑って嬉しそうにしていました。前回通園した時も、プチ外出の話にすごく嬉しそうにしていたらしいので、本当に楽しみにしていることがよく分かります。

 今朝は「いよいよ今日がプチ外出だ。」と分って、張切ってニコニコしながら声を出していましたが、送迎車が来る頃には眠くなっていました。今回のプチ外出の行先は一昨年にも行ったアミューズメント施設。入っているゲームセンターの運営会社が変って、1階にプリクラやクレーンゲームが置かれているそうです。数人のグループに分かれて日にちを変えて外出します。ともちゃんは家から直接ゲームセンターに行きました。先に着いたので、園から来るメンバーさん達を待つ間、好きなクレーンゲームをやってみましょう。ともちゃんは頑張って目を開けようとしていますが、眠くてたまらない様子。 目が虚ろです。

 何回かチャレンジして、グレーと白のブチネコのマスコットが一匹取れましたが、まだ眠い様子です。ここで、みんなと合流しました。みんなで集合写真を撮って、プリクラを撮りましたが、ともちゃんはぼんやりしていました。けれど、職員さんがプリクラの加工をしているのを見ていた時、ともちゃんはしっかり覚醒してきて、楽しい雰囲気を感じて「そうだ! プチ外出に来ているんだ!」と言わんばかりに笑顔を見せてくれました。この後は、先輩のメンバーさんがクレーンゲームにチャレンジするのを見学して、景品が取れたらニコニコ笑顔で祝福したり、自分ももう一匹赤いネコのマスコットを取って大喜びしたり、プチ外出を満喫しました。園に帰ってミルクの注入をしている間、ともちゃんはまたウトウト。寝たり起きたりしていましたが、注入の終りには「今日は楽しかったよー。」と笑っていました。

(2018/4/12追記)
 H園のともちゃんのグループでは、1年間のフェスタでのカフェの売上げや、マドレーヌなどを作って販売した売上げの総額をメンバーさんの人数で割って、年度末にボーナスとして支給していただきます。今回のプチ外出の時期は少し遅めでしたが、ボーナスを頂いた後にお小遣いを持って、ショッピングモールやゲームセンターで楽しもうと、プチ外出が企画されていました。ともちゃんはボーナス支給もプチ外出も楽しみにしていました。

 2016年12月にともちゃんは亡くなりましたが、2017年3月末に職員さんが2016年度のともちゃんのボーナスを持って来て下さいました。お墓のともちゃんに報告して、ボーナスの一部でピンクのチューリップの花を買ってお供えしました。ともちゃんの仏壇の横のA4サイズの写真の中には、4月になってもまだ冬ごもり中だったともちゃんに、ボーナスを持って職員さんが訪問して下さった時の写真があります。職員さんに抱っこしてもらって、ボーナスの袋を開けて、ニコニコ笑顔のともちゃんです。

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2016年6月9日(木)

ともちゃんは念願だったユニバーサルスタジオジャパン(関西では「ユニバ」と呼びます)に行ってきました! ヘルパーさんと一緒にJRに乗ってです。毎年、年に2回、外出支援の制度を利用して、公共交通機関に乗って平日の繁華街やデパートにお買物に行っていたともちゃん。昨年秋には大阪梅田のデパートまで進出してきました。大阪駅で乗換えができれば、もうユニバです。「今年の春の外出はユニバに行こう。」とお母さんは年間パスを買い、冬の間、何度も何度も下見をして、ともちゃんと計画を練りました。冬ごもりのともちゃんを訪ねて頂いたヘルパーさんと下見の写真を見ながら、楽しみに過ごしていました。ユニバの混雑情報もチェックして、決行は6月の木曜日の今日になりました。

 さて、ともちゃんはユニバーサルシティ駅に無事到着。駅からユニバの入場ゲートまでは、ユニバーサルシティウォークというショッピング施設の非日常の街並みが続いています。楽しい音楽が流れる中、ともちゃんはずっとウキウキご機嫌な表情で移動していました。ユニバの入場ゲートで、「1ヶ月早いけれど…」と頼んで、誕生日シールをもらいました。左ほっぺの酸素吸入のカニューラを止めているテープの上にぺたり。入場ゲートを出たところに、ウッドペッカー達がお出迎えしてくれていて、寄って行きたかったけど我慢して、ズンズン進みました。

 ハリウッド大通りを経て、ユニバーサルワンダーランドの横を通って、ハリーポッターエリアも素通りして、ジョーズを見ながら進んだ先はジュラシックパークです。ダイナソーパニックで本物そっくりの恐竜を見ます。アトラクションの時間に間に合うように、急いでユニバの街並みを通り抜けてきたともちゃんですが、楽しい雰囲気をしっかり吸収して目を輝かせていました。恐竜が現れるのを大笑いして待っています。草食恐竜のトリケラトプスが出てくると人が群がって見えにくくなりました。けれど、巨体がともちゃんの横を通り過ぎていく時に、ともちゃんの反対側に向かって吠えて、迫力は十分。ともちゃんはちょっと緊張していたけど、恐竜が通りすぎると「エヘヘ平気だったよ。」と笑っていました。

 次に肉食恐竜が現れるのですが、それは待たずに、スタジオ・スターズ・レストランに急ぎました。レストランのテラス席で、リボーンパーティのショーを見ながら、ミルクの注入をするのです。少し離れたところでステージを横から見る形ですが、賑やかなパーティの雰囲気を存分に味わいました。ショーが始まる直前、キティちゃん達が出番を待ってるのも見えたし、ショーの最後の銀テープもたくさん飛んで来ました。クルーさんが寄って来てくれて、「初めて来たよ(1st vsit)」シールを頂きました。今度は右ほっぺの酸素吸入カニューラを留めているテープの上にペタリ。左右のほっぺにシールを貼って気分も益々盛上がります。

 ワンダーピックスへ行って、ドレスを着て写真を撮ってもらいましょう。キティちゃんの背景と合成してもらいます。キティちゃんの背景だけで3種類、ドレスもともちゃんのサイズが2種類あります。それで、お母さんが下見に来た時に事情を説明して、背景とドレスの写真を撮らせてもらい、家でゆっくりともちゃん自身が好きな背景とドレスを選んできました。お母さんがカウンターで申込みをする時に、「これやんな?」と横にいるともちゃんに確認すると、ともちゃんは誇らしげな笑顔で「うん、私が選んだのはそれやで。それで間違いないよ。」と答えていました。お家でまず、ともちゃんが選んだのはピンク系のキティちゃんのスタジオの背景。これはしっかりと選んで揺るぎません。ドレスはずっと迷っていたのですが、背景がピンク系なので、「ドレスは水色の方がオレンジより綺麗に映ると思うよ? 水色にする?」と勧めてみて、水色に決まりました。キラキラ笑顔の素敵な写真が撮れました。

 ここまでずっとハイペースでユニバを楽しんできたともちゃんですが、さすがに眠くなってきました。お土産屋さんに移動中にぼんやり。モッピーと写真を撮っても、目が虚ろです。キティちゃんのお土産屋さんの前では、もう目が塞がっていました。「しかし!」店内に入ると目がぱっちりで、ご機嫌でお買物もしました。帰りは、いつもお願いしている介護タクシーにユニバまで着てもらいました。お母さんの抱っこで、ゆっくり眠って帰るつもりが、楽しかった興奮で、ともちゃんはずっと起きていました。「これで、いつでもユニバに来れる自信がついたし、次はキティちゃんに会いにユニバに行こうね。今度はもうちょっと、ゆったりペースでね。」とか、「ユニバまで電車で来れたし、神戸も電車でお出かけできるよ。」などと最後まで楽しくお喋りながら帰りました。

(2017/10/9追記)
 この時は、ユニバ15周年記念や季節イベントを優先して参加するアトラクションを決めたので、常設のキティちゃんと写真を撮るアトラクションには行きませんでした。それで、秋の外出支援のお出かけ先もユニバにして、「今度はキティちゃんと写真を撮ろうね。」と話していました。

 入院して、ステージ4の卵巣癌であることが分ってからも、ともちゃん自身が楽で、安定した生活ができるように処置をして、家に帰れることを目指していました。もし家に帰ったらお出かけしたいところが2つあって、その1つがユニバでした。ストレッチャーに乗ったまま介護タクシーで高速道路を使って行くつもりでした。ちなみに、もう1つは京都縦貫道にある道の駅、「味夢の里」です。2016年5月の連休に天の橋立に行った時、駐車場に入る道が渋滞で行けなかった場所です。

 懸命な治療に応えるように、喘息や感染症や浮腫みと戦いながら、ともちゃんは頑張っていました。気管切開の手術の後に入った集中治療室を1日で出て、普通の病室に戻って来ました。胃ろうから腸に直接、経管栄養剤エレンタールを注入して栄養を摂ることも、濃度や量を増やしながら順調に進んでいました。私達はともちゃんがいつでも帰れるように、ストレッチャーを発注し、ヒートテックを前あきにリフォームしていました 。

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2016年6月22日(水)

5月25日のプチ外出、6月9日のUSJに続いて、2週間ごとのお出かけ3回目です。行先は恒例の嵐山。今年は足湯にチャレンジします。心配事は天気とともちゃんの体調。最近、咳込みやくしゃみが多く、ゼロゼロと痰が絡むことがあって吸引も必要になっています。

 ともちゃんは、今朝は5時前に起きてきました。ニコニコとご機嫌でしたが、音に過敏でビクっビクっとしたり、眼震があったりしています。今日はてんかんの痙攣の気配が強いので、少し眠った方がお出かけを元気で楽しめるでしょう。朝の準備の後、ともちゃんは30分くらい眠りました。その後、ともちゃんは車椅子に乗って、張切ってお迎えの車を待っています。直接、家に迎えに来て頂いて、そのまま嵐山に向います。車の中では、職員さんが下見の時に撮ってきて下さった写真を見ながら過ごして、楽しいイメージを高めていきました。嵐山が近づいてくるとニコニコの笑顔です。

 足湯は嵐電嵐山駅にもあって、ともちゃんは体験していませんが他のメンバーさんはそこで足湯もしています。でも、今回行くのは新しく出来た足湯カフェ。お土産屋さんと建物が一緒になっていて、少しの雨でも楽しめます。今回、一緒に来るメンバーさんよりもともちゃんは先に着いたので、先にお土産さんを覗いてみました。まずは、嵐山商店街のゆるキャラ、ともちゃんにはすっかりおなじみの「月橋渡」君の大きなパネルと一緒にパシャ。粒あん入り生八ツ橋のキャラの舞妓さんのパネルとも写真を撮りました。早速お土産も買います。キティちゃんのお土産がたくさんあるのを見てニコニコ。姪っ子とお揃いのキティちゃんのタオルも買いました。

 先輩のEさんと合流して、ストラップを選びました。ここでは、ストラップに付いている金属プレートに名前を彫ってもらえます。ともちゃんが迷っていると、Eさんが選んだものを見せて頂きました。カラフルな石の付いた桜のストラップです。「かわいい! ともちゃんもこれが良いなあ。」ということで、お揃いのものを買いました。名前を入れて貰ったので、間違えることもありません。思えば、Eさんとは昨年の映画村も一緒に行って、撮ったプリキューブ(立体プリクラ)のストラップもお揃いの緑の着物の舞妓さんを買いましたね。桂川の堤防で渡月橋と嵐山をバックに集合写真を撮って、いよいよ足湯です。

 ラッキーなことに、足湯には他のお客さんはいません。貸切状態です。足をお湯に浸けながら嵐山の景色が眺められるいい場所にあるのですが、風光明媚な景色をバックに腰を下すことにしました。ともちゃんは職員さんに抱っこしてもらっています。お湯の深さが、成人の健常者が腰を掛けてちょうどいい位なので、普段のともちゃんの横抱きでは足がお湯に全く届きません。縦抱きにすると、首も腰も座っていないともちゃんは全身に力が入ってしまいますが、少し頑張って縦抱きにしてもらいました。右足の足先がお湯に浸かりました。同行して頂いている看護師さんにお湯を足にかけてもらって、いつもは冷たくて白いともちゃんの足がいい色になりました。

 足湯カフェのテラス席でミルクの注入をしました。テラス席の横を通って人力車が続々と駐車場に集って行きます。10台以上ずらりと並んで壮観です。海外からの方達でしょうか、観光バスで着いたと思われる観光客を次々に乗せて、嵐山観光に出発して行きました。ですが、15分くらいすると、人力車は次々に戻ってきました。文字通りの駆け足での観光だったようです。こんな嵐山ならでは光景を見ながら、ともちゃんはゆっくりとミルクを注入しました。

 注入が終ると、再びともちゃんの大好きなお買物です。お父さんにはお漬物とレトルトカレーのお土産を買いました。キティちゃんの誕生日ストラップを見つけると、にっこり。ともちゃんの誕生日のを買いました。職員さんが買われたお土産のメロンのお菓子を見てニヤリ。ともちゃんが大好きな本物のメロンみたいですね。最後にもう一度、キティちゃんのお土産雑貨のあるコーナーにやって来ました。キティちゃんの靴下を見て大喜び。2種類ある中から、五重の塔と舞妓キティちゃんの柄を選んで買いました。心配していた天気も、ともちゃんの体調も崩れず、楽しい外出でした。ともちゃんは帰りの車の中で満足感に浸ってニコニコでした。

(2018/5/16追記)
 ともちゃんのお葬式の遺影は、この時の写真を使いました。キティちゃんの靴下を選んで、膝に乗せて、レジに運ぶ途中の満足気な表情のともちゃんです。スマホやタブレットに残っているともちゃんの日常を読返して行間を繋げていく作業は、ともちゃんと過した楽しい時間が蘇ってきて、ひととき幸せな気持ちにさせてくれます。しかし、その中に、今でならともちゃんを死に至らしめた卵巣癌に起因すると思われる健康状態の記述があると、心がざわつきます。どの時点で、どう行動していれば、ともちゃんの癌を早く発見できたのか、いつも考えてしまいますが、その正解は見つけられません。逆に、明確な正解が見つけられないからこそ、救われる気がしています。

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2016年7月7日(木)

 今週初め、園からのお手紙類を届けて下さった職員さんから、「七夕の短冊は何て書きましょう? ともちゃんが次に来るのは当日なので、代筆しておこうと思うのですが。」と尋ねられました。そうです、次の通園が七夕なので、先週からお母さんはともちゃんに「短冊には何て書くの?」と訊いていたのですが、ともちゃんの体調が優れず、ぼんやり元気が無くて、話に乗ってきてくれませんでした。「明日返事していいですか?」とお願いして、翌日のことです。

 覚醒している時、七夕の話をすると、目が輝いて話に乗ってきました。「短冊に何書く?」。体調不良が心配なお母さんは「『元気になってお出かけしたい。』とか『元気になってH園に行きたい。』とかはどう?」と勧めてみたのですが、ともちゃんの心に響かず却下。その後も「秋にもユニバに行きたい。」、「おしゃれをしてお出かけしたい。」など色々訊いてみたのですが、短冊に書くのはこれらではないらしく、ともちゃんが「アハハ」と決めたのは「姪っ子とイオンに行きたい。」でした。その後何度か確認しましたが、その都度ニコニコして「これにする!」と主張してくれました。

 最近は体調が優れないともちゃんですが、七夕会に絶対に参加したいと張切っています。この望みを叶えるべく、この一週間は、訪問看護、ホームヘルプ、口腔ケアもキャンセルして、眠い時に寝たいだけ寝て、体調を整えるようにしました。口からペースト状のお粥を食べさせようとすると激しく痰が絡みます。それだけで、ともちゃんは体力を消耗してしまいます。今朝は、朝食のお粥も全く食べさせないで、なるだけ寝かせてから通園できるようにしました。ですが、ともちゃんはニコニコ張切っていて、少し眠っては、にっこり起きています。ようやく眠ったらお迎えに来て下さいました。

 本番に強いともちゃんは、七夕会に楽しく参加しました。男子職員さんと男子メンバーさんの演奏をニコニコ聞いたり、短冊を読んでもらうとにっこりしていたそうです。(オモチャの室内用の)プラネタリウムも上を見上げて楽しんでいたとのこと。良かった! 良かった!

 「姪っ子とイオンに行く。」というのは、具体的なともちゃんの次のお出かけ目標です。初夏のお出かけを、ゲームセンター、ユニバ、嵐山と次々に楽しんできたともちゃんですが、次のお出かけはお父さんの夏休みに家族でのお出かけになります。「夏休みには、姪っ子とショッピングモールにお出かけしようね。」と、ともちゃんと何度も話ししました。ともちゃんの体調が落着いて、願いがかないますように。

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