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13日(日)
「遠足の下見」
21日(月)
「親子遠足 '97」
26日(土)
「複合ショッピングセンター」
27日(日)
「枚岡公園」
29日(火)
「潮干狩り」
11日(日)
「ヘイ、タンブリン」
13日(金)
「5年生との交流」
小学部の新1年生は1人です。お母さんもともちゃんも1年生のお友達とは今日初めて会いました。小さな男の子です。お母さんが「ひょっとして、ともちゃんの方が大きいかな。」と恐る恐る聞くと、「そう、ともちゃんは2年生ですもの。ともちゃんの方が大きいですよ。」と先生の返事が返ってきました。「ともちゃんが入学してきたときは小さい小さいと思ったけれど、ともちゃんも大きくなりなりましたねえ。」今まで、小学部で障害も最も重く、見かけも一番小さかったともちゃんでしたが、2年生のお姉さんになったようで誇らしい気持ちです。
ともちゃんの担任の先生は1年生のときと同じです。ともちゃんの状態は良くわかってもらっているのでお母さんは安心しています。1年生と2年生の計4人が去年と同じくひまわり組です。今年もどんどん新しい先生や新しい友達と接していけたらいいなとお母さんは思っています。今日は式日下校なので、小中高一緒に登校時のように下校しました。スクールバスでは乗車した順に下車していくというのが原則なので、ともちゃんの乗車時間は去年より少し長くなりました。ともちゃんのバス停では(地域の中学の養護学級からきた)高等部新1年生のお母さんがカメラを持ってお迎えに来られていました。ともちゃんのお母さんも去年はともちゃんが何をするところも珍しく感じて記念に記録したいという気持ちだったなあと思いました。お母さんも2年生のお母さんです。
緑地公園の入り口に花壇があり、近づくといい匂いがしています。ともちゃんのバギーを近づけると、ともちゃんがニコニコ笑っています。匂いが分かったのかもしれませんし、鮮やかな花の色が目に映ったのかもしれません。(ともちゃんは弱視ですが、色は分かるようです。)お母さんは花壇の中にパンジーもあることに気がついて、先週の図工の時間にともちゃんが先生と描いた絵のことを思い出しました。ともちゃんの選んだ色の絵の具をハンマーにつけて、先生と一緒に画用紙の上にとんとんとたたいて色を付けていったものです。絵を描き終ったともちゃんが先生に話したところでは(先生がともちゃんの表情を見ながら、話を作っていったら)、この絵は家族と一緒に見たパンジーの花だということだったそうです。まるで今日のことのようです。それで、笑っていたのかもしれません。
人工の山の上までバギーを押してもらって登りました。養護学校の方向を見ると、正面に学校が見えました。八重桜がまだ咲いていました。山を下って去年写真を撮った風車の前のチューリップ畑まで行こうと思いました。でも、その道は階段しかありません。階段の脇の木が植えてある坂を後ろ向きに、滑り落ちないようにお父さんに支えてもらいながら下りました。道には石ころや凹凸があってバギーはがたがた揺れましたが、その揺れが楽しいようでともちゃんは大きな口を開けて満面の笑顔でした。チューリップ畑は去年の遠足の時のように赤、黄、白三色ともにちょうど満開できれいでした。遠足の時まで三色とも満開の状態が続くでしょうか。遠足も楽しみです。
朝はいつも通りお母さんもスクールバスに乗せてもらいました。この頃ともちゃんは短いけいれん発作が朝によく起こっています。それで、バスはお母さんの抱っこで乗ることが多いのです。経験的に発作は抱っこしている方が起こりにくく、また起こってしまっても短く済むからです。バスが学校につく頃、ともちゃんは眠くなってきました。たまにこんなこともありますが、先生と一緒に教室に入ってしまうと目をぱっちり開けてお昼前の昼寝まで元気に過ごしています。今日もそういうつもりで、ともちゃんを先生に渡しました。
お母さんは学校に置かせてもらっている自転車に乗って、郵便局で用事を済ませ、コンビニエンスストアで自分用のお昼のお弁当を買って、釣り池公園で待っていました。他のお母さん達もぼちぼちと来られて話し込んでいました。お母さんが遊歩道の方を見ると、予定より早い時間なのに、1人の先生がお友達の車椅子を早足で押しながらやって来るのが見えました。お母さんが手を振ると、「お母さん、携帯電話切っていたでしょう。」と先生。確かに今日はともちゃんと行動を共にするので電源を入れていませんでした。「病気じゃないんですよ。ただともちゃんが眠っていて、先生と2人きりで学校に残っているので、お母さんも戻ってもらった方がいいということになりまして。」
お母さんは自転車を飛ばして、途中ぞろぞろとやって来る友達や先生に挨拶もそこそこに学校に戻りました。お母さんが学校に戻った時、ともちゃんは先生の抱っこでぐっすりと眠っていました。ともちゃんは朝教室に入ってからも元気がなく、さきに昼寝をしてから遠足の一団を追いかけていくことになったそうです。30分程眠り、自然に目覚めるとすっかり元気です。バギーに乗って、先生とお母さんと一緒に緑地公園に行く途中、ともちゃんはニコニコしながら大きな口を開けて、「アアー、アーー」と大きな声を出していました。「早く早く、みんなに追いつこうよ。」と言っていたのかもしれません。去年はずっと硬い表情だったのに、今年はこんなにお姉さんです。
去年もみんなで写真を撮ったチューリップ畑でみんなに追いつきました。記念写真を撮るためにみんなが待っていてくれたのです。今年は赤、黄、白の3色のうち白色がすっかり枯れてしまっていましたが、2色でもきれいでした。他にもお母さんが名前を知らない色々な花がたくさん咲いていました。おかゆペースト弁当を食べて、みんなでゲームをしたり、植木市を見たり、花の谷でもっとたくさんの花を眺めたり、後はみんなと一緒に楽しく過ごすことができました。
お父さんの運転する車で出かけました。2階の駐車場では入り口に最も近い車椅子用のスペースが空いていました。そこに車を止めてバギーを組立て、ともちゃんはバギーに乗りました。駐車場で車椅子専用のスペースがあると本当に助かります。
2階の入り口から入るとボーリング場とゲームセンターになっていました。ゲームセンターは空いていて、お母さんの好きなスタンプ倶楽部もありました。お母さんはともちゃんのスタンプをいくつも作って集めています。1組待って、ともちゃんはお父さんと一緒のスタンプを作りました。待っている間、とても大きな音で鳴っている音楽に対抗するかのようにともちゃんは「オーーーオーーー」と大きな声を出していました。
1階にはハンバーガー屋さん、ドーナツ屋さん、ホームセンターと食品スーパーが入っています。ハンバーガー屋さんでピンクの風船をもらって食品スーパーに行きました。このスーパーは売場面積が広くて、売っている食料品の種類がとても多い上に、通路がゆったりと取ってあります。ともちゃんがバギーに乗って両親と見て回っても楽々通れて、他の人の邪魔になりません。このゆとりはともちゃんと買い物に行くのにはうれしいものです。ともちゃんは初物のスイカを買ってもらいました。
ともちゃんがしんどいのなら帰ろうかと話していると、またびくっと発作になりそうな気配です。やっぱり帰ることにしようとお母さんは思いました。けれども、車内の暑さと直射日光がともちゃんのペースト弁当を傷めそうなので、とりあえず目の前にあったコンビニエンスストアで、弁当を冷やすためのお茶の缶を買うことにしました。ペーストにすると一段と痛みやすく、去年の夏もクーラーボックスに冷えたお茶の缶をぎっしり詰めてともちゃんの弁当を冷やしながら出かけたものでした。
コンビニの駐車場は日陰で、窓を全開するととても気持ちのいい風が入ってきました。お母さんに抱っこされながら待っている間に、ともちゃんはぐっすり眠ってしまいました。お父さんとお姉ちゃんが戻ってきても、眠っているともちゃんを起こさないようにじっと駐車したままでいました。20分経って、ともちゃんは自然に目覚めました。すっきりと元気な顔をしています。もう発作の方は大丈夫でしょう。枚岡公園に向かうことにしました。
枚岡公園は山の斜面を利用して、フィールドアスレチックがあったり、緑の中を散歩したりできるところです。ともちゃんはバギーに乗って散歩しました。舗装されていない道なのでがたがたと揺れるのですが、それがまた楽しいようです。木陰のベンチでおかゆペースト弁当も食べました。お腹も空いていたようで持っていった弁当はぺろりと全部食べました。両親やお姉ちゃんのお弁当はコンビニのおにぎりですが、このようなさわやかな緑の中で食べるのはとてもおいしいものです。
高速道路は空いていて、お父さんの運転する車はどんどん走っていきます。お姉ちゃんがテレビドラマの話をしていますが、ともちゃんは少し退屈なのか眠そうです。結局眠らずに潮干狩り場に着くと、人混みのざわめきを聞いて目がらんらんと輝き、ニコニコしています。バギーに乗ってともちゃんもワクワクしてきたことがわかります。砂浜はバギーが押しにくくて、お父さんは大変でした。暑くなるという天気予報を信じて、ともちゃんは今年初めて膝までの半ズボンを履いていったのですが、肌寒くて膝掛けをしました。
ここの潮干狩り場はアサリをまいていて、入場料を払って場内に入ります。帰りにはおみやげとしてアサリがもらえます。場内は大変混雑していましたが、バギーで場内へ入れてもらいました。端っこにバギーを止めてともちゃんはおとうさんに抱っこしてもらって、波打ち際を熊手で掘ってもらいましたが、出てくるのは石ころばかり。アサリがごろごろ出てくると思っていたので、みんな当てが外れた感じです。この辺りで掘っている人は誰もアサリをもっていません。ともちゃんはお父さんと貝殻を拾ったり、抱っこで足の先を少し水に漬けてみたりしました。水は冷たかったようで、ちょっと嫌な顔をしていました。
お母さんとお姉ちゃんはなんとかアサリを採ろうと会場内を偵察しました。アサリを持っている人は会場の真ん中辺りで半分水に浸かっています。潮が満ちていたからでしょう。お姉ちゃんは肩まで海に浸かって6個、お母さんは腰までぼちょぼちょになって8個採りました。場内には30分ぐらいいたでしょうか。ここではともちゃんがゆっくりできる場所がないので、帆船の形をした休憩所の2階のベンチに行きました。屋根もあり、周りがコンクリートなのでともちゃんのお弁当に砂が入ることを心配しなくてもいいからです。
いつもとは違いますが、今日は11時から昼食にしました。ともちゃんはトレーナも着て、寒くないようにしています。それでも、半分食べ終ったくらいから、「オーオー」と大きな声を出して何か訴えているようです。寒くなったのかもしれませんし、眠くなってきたのかもしれません。おみやげのアサリをもらって、車に向かいました。車の中ではお母さんが自分の濡れた衣服でともちゃんが濡れないように、バスタオルでカバーをしてともちゃんを抱っこしました。帰り道では短い軽いけいれん発作が起きた後、ぐっすりと25分眠っていました。別の高速道路を通って帰りましたが、12時に二色の浜を後にしたので、この道も空いていて1時間で家に着きました。
帰り着いたときはともちゃんも元気になっていました。おやつを食べ、お風呂に入って家でもゆっくりできました。やっぱりともちゃんのお出かけは、このペースです。初めての潮干狩りは貝は採れなかったけど楽しかったね。今度は潮が引いているときにまた行こうね。おみやげの貝とわずかに採った貝は貝ごはんと澄まし汁にして家族で食べましたが、残念ながらともちゃんは魚介類にもアレルギーがあるので食べることはできませんでした。
1時間ぐらいで行けるところということで、長居公園を目指して出発しました。お姉ちゃんが去年学校の遠足で行った公園です。実はこの近くに身体障害者スポーツセンターがあるのです。少し前まで改装中で、今もまだ工事中かもしれないけれど、場所だけでも確かめておきたいというのが、もう1つの(本当の)目的でした。
ともちゃん達は去年の冬クラブ活動の時間にボーリングをしていました。車椅子やバギーの前に滑り台のようなスロープを置いて、その上からボールをころがして(介助してもらってボールを手で押さえてもらっていたものを、手を離してもらって)、ピンを倒してその本数を競うのです。その時に学校の先生から、ここでは本物のレーンにスロープを置いてもらって本物のボールで競技できると聞いていたのです。
身障者スポーツセンターの場所はすぐに分かりました。もう改装後のオープンもされていたので、受付を覗いてみました。「今日は空いていますよ。」と言われたので、ともちゃんの身障者手帳を出して受付を済ませました。ボーリングとトランポリンをすることにしました。ボーリングはともちゃんと介助者1名は使用料免除、家族は大人150円、小人100円です。トランポリンのある小体育館に入るのには、ともちゃんと抱っこ係のお父さんは免除で、お姉ちゃんは50円、見学のお母さんは無料ということでした。
ボーリングの予約をして小体育館の方に行きました。トランポリンも空いていて、ともちゃんはお父さんに抱っこしてもらって、跳んでいます。このダイナミックな揺れが気に入って、ともちゃんは大きな口を開けて大笑いしています。この後はお粥ペースト弁当をセンター内の食堂で食べました。家族は食堂を利用できるし、周りには車椅子の人がたくさんおられるしで、気分的にゆっくりと食べられました。
いよいよボーリングの予約の時間です。お姉ちゃんはボーリングは初めて、お父さんとお母さんは約20年ぶりです。ともちゃんも本物は初めて。昨年度学校行事で学校の近くのボーリング場へみんなで行ったのですが、その時ともちゃんは体調が悪くて不参加でした。聞いていた通り障害者用のスロープも何種類か用意されています。パカーンというピンがはじける音にも、ともちゃんは平気です。最初は驚いて一瞬緊張しましたが、その後笑っていました。
ともちゃんから投球しました。思っていたよりもレーンは長くて、スロープの上に置いたボールを押さえている手を離しただけではボールに全くスピードがなく、必ずよれよれと溝に落ちてしまいます。しばらくガーターが続いた後で少し分かってきました。「ともちゃん行くよー。」と声をかけてから、ともちゃんの手を離すと同時にお父さんが軽くボールを押すと、その時のスロープの微妙な向きと、力のいれ具合でボールはうまく進むこともあってピンも倒れるようになりました。投球する度に「ともちゃんすごーい」と言うとともちゃんはごきげんです。ピンが倒れたらまたまた「すごーい」と誉めてもらっています。
お父さんとお母さんもだんだんと昔の感触を思い出し、お姉ちゃんも一度やりたいと思っていたボーリングをすることができて、家族みんなで大いに盛り上がりました。スコアは、ともちゃんが13点、お姉ちゃんが51点、お父さんが128点、お母さんが89点でした。ともちゃんの隣のレーンでは車椅子の方がスロープを用いて競技していたのですが、ちゃんとボールの行き先をコントロールされていてスペアも取ったりしています。ボールを転がすときの力のいれ具合なのでしょうか。ともちゃんもこれからどんどん上達するぞと思っています。
(5月5日分の補足)
今日はともちゃんは山田池公園に散歩に出かけました。翌日からの登校に備えてお弁当は持っていかず午前中で帰ってきました。昼からはゆっくり入浴したり休養しました。 数年前まではゴールデンウィークはともちゃんの喘息の季節と重なっていて、ゼロゼロと息鳴が聞こえて、喉元の陥没する呼吸をしていることが多く、たいてい家で休養していました。こんなに出かけられるようになって、随分元気になったと嬉しく思っています。
参観の時間は10時10分からです。その前に学部懇談会があって、お母さんは懇談の部屋に行きました。向かいのともちゃんの教室からともちゃんのお姉ちゃんが先生と話している声が聞こえてきます。お父さんとお姉ちゃんはもう来ているようです。今日の授業は音楽です。音楽室に行くと、ともちゃんは学校用の椅子に座り、一人だけ前に出て、こっちを向いています。ともちゃんを取り囲むようにマットが敷いてあって、車椅子の友達はマットの上に先生に抱っこしてもらって座っています。椅子に座れる友達はマットの横の椅子に座っています。
ともちゃんの担任の先生が音楽の担当で、それでともちゃんもこちらを向いていたのですが、お陰で表情がよく見えました。ヘイ、ラーラーラ、タンブリンの歌のヘイのところに会わせて、順番に一人ずつタンブリンを鳴らし(手を添えて鳴らしてもらい)ました。ピアノ伴奏の先生のテンポを狂わせるくらいゆっくりと間をとって鳴らすお友達、先生に鳴らす番だよと促されてシャンシャンシャンと力強く何度も鳴らすお友達、自分の番が来るのが待てなくてうずうずしているお友達、みんないろいろです。ともちゃんも先生に手を取ってもらって上手に鳴らしていました。
順番に歌いながら名前を呼ばれて返事をしたり、音楽に合わせて部屋の中を自由に動き回って(抱っこで移動してもらって)マットの上をころころと転がったり(手を添えて転がしてもらったり)、ともちゃんや友達の楽しい様子がよく分かりました。ともちゃんも何回も笑顔が出ていました。ちょうど、母の日ということで母の日にちなんだ歌を歌って、お母さん達は紙で作ったカーネーションの花を子供達からもらいました。最後に今日は何を頑張ったかを3つのマーク(マグネットになっている)から選んで、1人づつ黒板の自分の名前の所(みんな文字はわからないので先生に教えてもらった場所)に貼るということをしました。ともちゃんはいい表情で頑張ったというピンクのマークと頑張って動いたいう緑色のマークを選びました。
逆に前回はいつだったので、そろそろ注意した方がいいなどと大きい発作が起こるのを予想できるようにもなりました。ほぼその予想通りに、昨日の朝大きな発作がありました。その前日は地域の小学校との交流、前々日は通院だったので3日ぶりで学校に行きたかったのですが、眠った後も水分や食事が取りにくくて思うように予定がこなせません。少し無理するとむせるので、土曜日で下校時間が早いということもあり登校は諦めました。
翌日、つまり今日は市立体育館でなかよし運動会があります。これは市立の小、中学校の全養護学級と養護学校が一同に集まって運動会を楽しむというもので、ともちゃんの養護学校が市立だった頃からの行事です。去年は日曜参観と重なり、養護学校は参加しませんでした。昨日の朝発作があったので、今日は元気で朝からこれに参加できればいいと思いました。ところが、予想を裏切り、昨日は夕方にも大きな発作がありました。それどころか今朝も大きな発作があり、その後眠ったのでスクールバスでの登校は無理になってしまいました。
いつもと違って大きな発作が続くので、今日は家で休養した方がいいかとも思いました。でも、体調に無理がいかない程度なら、気分転換に出かけた方がいいかもしれないと考えました。様子を見ながら、ともちゃんの朝の予定次第で出発し、しんどそうなら昼食も食べずに帰ってくるということで運動会に参加することにしました。朝の予定はいつも遅刻して登校するときぐらいには終了し、10時の開会式には間に合わなかったものの、みんなが準備体操をしているころ体育館に到着できました。
最初は体育館のにぎやかな雰囲気がうれしくて笑顔が出ていたそうです。お姉ちゃんがバギーを押してくれて30m走に出場しました。お姉ちゃんは猛スピードでバギーを押して1位でゴールイン。「ともちゃん、1位になれてうれしかった?」と聞きますが、ともちゃんは迷惑そうです。いつもなら、力いっぱいバギーを押して振動が伝わると、満面に笑顔を浮かべて笑っていることもあるのですが・・・。次の種目の大玉転がしに出た後、休憩することにしました。
家族が来ていても、バギーは先生に押してもらって出場しているお友達がほとんどです。ともちゃんの場合はお姉ちゃんがバギーを押したくてしようがありません。けれども、今日のともちゃんの体調ではお姉ちゃんの頑張りは心配です。「せっかく家族で来たんですから家族みんなで出場したらどうですか。」という先生の助言もあり、大玉転がしはお父さんがバギーを押して、その両脇でお姉ちゃんとお母さんが大玉を転がすということにしました。
ともちゃんの足に大玉が触れると、ともちゃんは足をぴんと突っ張ります。それがちょうど大玉をうまく蹴っているようで、思わず「ともちゃん、上手、上手」と声をかけながら運びました。ひょっとすると、ともちゃんは足に触れたものを本当に蹴っていたのかもしれません。以前に家でごろんと寝転がっていた時、時計回りに回って足に触れたスーパーの袋を何度も蹴って、シャカシャカと音がするのを楽しんでいたことがありました。
大玉転がしのあと抱っこすると、ともちゃんはもう眠くてうとうとしかけています。でも、スピーカーから大きな音がするし、いろんな人がともちゃんに声をかけてくれるので、なかなかぐっすりとは眠れません。でも、そのうち眠さが勝って、抱っこで耳を押さえてもらった姿勢で眠ってしまいました。眠った時間は10分程度でしたが、さわやかに目覚めてともちゃん復活です。
タイミング良く今度の種目はみんなで踊ろうです。お父さんに抱っこしてもらって踊りの輪に加わりました。その後も先生とパン取り競争に出場しました。元気になったので帰りはお父さんの車で直接家に帰ることはせず、みんなと一緒にバスで一度学校に戻りました。学校で自分の席で寝ころんで休憩をしているときと、下校でスクールバスに乗込みスロープを降ろすピーピーという音を聞いたとき、とてもうれしそうな笑顔が出ていました。
今年お姉ちゃんは5年生になって、クラス替えがありました。お母さんは新しいクラスの新しい友達にもともちゃんのことを知って欲しいと思っていました。健常児だけの家庭では想像できない我が家の生活を理解して欲しいと思っていました。その方がともちゃんにも、お姉ちゃんにも、この地域で生活していく上で都合がいいのです。それで、ともちゃんの担任の先生にその旨お伝えしました。幸いにも、さっそく林間学校のキャンプファイアーの練習に参加しませんかとのお返事をいただき、喜んで参加させてもらうことにしました。
5年生全員がぐるりと輪になっていました。まずはお母さんがともちゃんの紹介をしました。なぜ歩けないか、なぜしゃべれないか、脳の広範囲に渡って損傷を受けていて重い脳性麻痺であるというともちゃんの障害について、小学5年生に分かるように説明したつもりです。ともちゃんのお母さんは障害児を理解してもらうには、「(医学的な)障害というものがあるために、この子はみんなと違って手助けが必要なのだ。」と語ることが必要だと考えています。
それから、先生が養護学校でのともちゃんの勉強の様子を話しました。みんなに注目されてともちゃんは口を大きく明けて笑っていました。キャンプファイアーの練習が始まって、5年生の輪の中に入って歌を聴いたり、ダンスをしたり楽しい時間を過ごしました。ともちゃんもご機嫌でした。最後に、みんなが「今日の日はさようなら」を歌っている時にともちゃんはバギーに乗って、みんなの周りをぐるりとまわって、一人ずつにそばで顔を見てもらって帰りました。今年の養護学校の宿泊学習は高学年だけでともちゃんは参加できません。代わりに良いキャンプファイアーが経験できました。
「ともちゃんが学校に来てくれるのは嬉しいけれど、お母さんがみんなの前で話をするのはカッコ悪いからいやや。」と言っていたお姉ちゃんです。お母さんが話している間は、ずっとうつむいていて目を合わそうとはしませんでした。けれども、帰ってからは「みんなまじめにお母さんの話をきいてくれたなあ。」「F君(お姉ちゃんの保育所、学童保育の頃からの友達。男子なのでこの頃は遊んでいない。)が『おばちゃんと知り合いやぞ』と言って『おばちゃーん』と手を振っていたんやで。」「ともちゃんが最初に踊った子のあだ名はなあ・・・」とたくさんたくさん5年生の話をしてくれました。
お姉ちゃんの林間は台風が来ていて天候には恵まれませんでした。でも楽しく行って来ました。「めちゃくちゃおもしろかったで。宿舎の料理もおいしかったし。」と帰ってきたお姉ちゃんは林間の間じゅう、寝るのがおしくて一睡もしなかったそうです。ともちゃんにとっては、お姉ちゃんが帰ってきたとたんまた家がにぎやかになりました。